05話:ルドスvsグラス!ユメを守り抜け!!
文字数 3,565文字
ちっ!
意外に早かったじゃないか、グラス!!
逃げ切ったと思ったのになあ…。
それと…ユメ。お前そこにいるな!
スキルは透明。ふん、お前の居場所など手に取るように分かるぞ…。
グラスが装着している眼鏡の名前は
「サーチグラス」。
幹部を束ねるボスが"ユメのスキル対策"にとヴィルゼートに渡した献上品。
サーチグラスは透明になった物を対象に捜索する事が出来る眼鏡。
その為、グラスには透明になったユメを見つけられた…。
ダッセえ、眼鏡だな…。
そんな眼鏡、俺の拳で粉砕してやる!!
ユメ、お前は何処かで隠れていろ!! 数分で終わらせてやる…
こいつには俺の武器の在り処を吐いて貰わないといけないからな!!!
(ぐ、グレイザー…!! あいつは絶対に許さん…。
頬に傷を付けたのはいいけど、態度が気に食わん!!)
さあ、眼鏡は一先ず外したぞ。かかって来い、ルドス…!!
う、うるせえー!!!
言われなくてもお前を倒す…!!!
眼鏡が壊される可能性も高いと踏んで、グラスはいったん眼鏡を外しルドスとの直接対決に挑む。
まず先制攻撃を仕掛けたのはルドス。
数発のパンチを彼の腹部に入れるが表情1つも変えない…。
くっ、強靭な腹筋…。これもやはりグレイザーの…。
くそっ…、ダメだ!! 奴の事を考えちゃダメだ!!!
お前のパンチはこんなもんか、ルドス…!?
ふん。俺からしたら弱いパンチだ…。
もうルドスはグラスを食い止めることに頭がいっぱいで、攻撃に置ける冷静な対応が出来ずにいる中
グラスは拳に物凄く力を溜めて、飛び掛かってきたルドスの
腹部に会心の一撃を入れ、会議室の窓付近にある壁に
ぶっ飛ばされてしまう…。
うっ!【血を吐く】
はぁ…。はぁ…。こ、こいつ……強い!!
これじゃあ、ブライドゼータの元には辿り着けないぞ…。
目眩もするし…、一体どのような鍛え方すれば
こんなパンチが打てるんだよ!! 恐るべし、グレイザー…。
さあ、とどめを刺して欲しくないなら武器の詳細を喋る事とユメの譲渡だ!!
だ、誰がお前なんかに…!
俺は行かなくちゃ行けない場所がある…。
こんな場所で負けてたまるか!! はぁ…、はぁ…。
そんな身体で何を言っているんですか?
それこそ愚の骨頂…。ブライドゼータも取り戻せないまま、
ここで終わりを迎えるんだ…。ざまあねえなあ…
ふん。こっちにはまだ打つ手があるんだ…。なあ、ユメ!?
あっ、はい!!
じゃあ、ルドスさんの計画通りにやらせて頂きますねっ…。
ルドスは最悪なパターンの事も考え、
グラスと対決する前にユメととある計画について話し合っていた。
それがやっとルドスの指示により、実行されようとしている様子。
ユメ、行け!!!!
俺は後で合流する。今はお前の無事を祈りたい…!!
ユメはまだグラスがスキルが透明という事に知っただけで
扉をすり抜ける事が出来るのを気付いていない事を逆手に取り、ユメだけブライドゼータと
彼女の探し物がある3Fのラボに先に行かせる…それがルドスが考えていた計画。
ルドスは傷ついた身体で果敢にグラスに挑む…。
そしてユメは無事に会議室? を抜け出し、通路に出て3Fラボに向かい始める。
ふぅ…。何とか持続時間切れずに3Fラボに到着出来ました…!
さてと探し物は何処だろう!?
(えっ!? な、何でこのお方、私の姿が…!!
い、意識が遠のいて…いく…)
ヴィルゼートに見つめられた瞬間、
ユメの身体に何か衝撃が走り、ゆっくりと姿を現しながら倒れていく…。
もしかしたらその衝撃こそが彼が所持するスキル!?
そして近くの扉からその様子を見ていたミフィールが倒れたユメの元にやって来る。
ようやくユメを捕らえたのですね…ヴィルゼートさん!?
グラスさんに連絡して下さい…。
"ユメの捕獲完了"と。
****
激しい殴り合いをしているグラスとルドス。
だがグレイザー様に鍛えて貰ったグラスが一歩リードしていて、
ルドスは身体中に痣が付いていたり、息が荒々しく、押され気味の様子。
はぁ…。はぁ…。何で倒れないんだよ!!
こいつの身体…、硬すぎる!
ちょっとストップだ。連絡が入ったので少しの間待ってろ!!
ルドスが繰り出す全ての攻撃に耐え、疲れを見せないグラス…。
会議室? に置かれている電話が鳴り、受話器を取り会話をし始める。
その間傷ついた身体を休めているルドス…。
ユメの捕獲完了だ!ルドスを3Fラボまで連れて来てくれ!!
グレイザー様仕込みのパンチで、ルドスは弱っている事でしょう。
さすがです、グラスさん!これでこそ我等の協力者です。
有難き幸せ…。
ルドスを連れて3Fラボへ向かいます。では、失礼します…!!
ヴィルゼートとの連絡を終え、身体を休めているルドスに話し掛けるグラス。
そういう事だ、ルドス…。
ヴィルゼート様の指示だ。一緒に3Fラボへ来て貰おうか…!!
う、うるさい…。はぁ…。はぁ…。
お、俺に指図するな! 行ってやろうじゃないか、3Fラボ…!!
ルドスはまだユメがヴィルゼートの手によって捕獲された事を知らない状態で、3Fラボへ向かう…。
****
3Fラボに入るグラスとルドス。
そこで見たのは檻に閉じ込められているユメ…。
る、ルドスさん…、ごめんなさい…。
わたし、捕まってしまいました…。
嘘だろ、おい!
お前のスキル"透明"だろ!!
それがあって何故逃げられなかった!?
グラスさんの両手、そして彼の両手にはめてある
手袋…。
多分一度触れれば私のスキル無効になるのかもしれません…、ごめんなさい…。
お疲れ様でした、ルドスさん…。
これで2つ揃いました…。ですよね、ヴィルゼート様!?
いや、3つです、グラスさん…。
1つ目はブライドゼータ、2つ目はユメ。そして残り1つは…。
ミフィール、ユメの失われた記憶の断片を出せ!!
まさか、お前が持っていたとは…。もちろん渡して貰いますよね!?
言いましたよ…、我々幹部の言う事は絶対に服従…。
ちっ!! 仕方ありません…。
あまり女性には手を出したくないのですが、逆らった罰です…。
ヴィルゼートに飛び掛かろうとした彼の動き、そしてミフィール…
同時に二人の動きを止め、ルドスとミフィールの腹部に強烈なパンチを入れ、3Fラボ近くの通路に
飛ばされ…ミフィールは気を失い、ルドスは倒れこんでしまう…。
そしてゆっくりとヴィルゼートはミフィールに近づき、胸ポケットからユメの記憶の断片を奪う…。
良い気味です…この俺に逆らう事など…!!
これで3つ揃いました…。
しかしながら、ブライドゼータの事を聞けなくなりました。
どうするおつもりですか!?
ヴィルゼートさん…ブライドゼータの元所有者を捕らえる事に成功しました…
無事にユメの記憶の断片は手に入れられましたか?
はい。やはりボスが思っていた通り、ミフィールが隠し持っていました!!
そうですか…。
どうやら所有者を捕らえて正解だったようですね…。
ずっと研究所の様子を見させて貰いました…。
やはりルドスさんは口を割らなかった。残念です…
もうすぐ所有者の尋問が終わります…。
ヴィルゼートさん、そしてグラスさんは研究の準備を始めて下さい。良いですね?
****
あれから30分後…。ここは3Fラボに続く通路。
グラスのパンチを真面にくらい、ミフィールは気絶。
そしてルドスは近くにある窓から外を見ている。
何とか攻撃に耐えたが、今までの疲労のせいでついさっきまで倒れこんでいた…。
そして、何にも結果を得られず彼は前を見失ってしまう。
くそ! くそっ!!
くそーっ!!! ブライドゼータも取り戻せない…
ユメも助けられない…。はぁ…。はぁ…。無力すぎて笑えないぜ…
自分の無力さに気付き、グライド研究所を後にしようと階段を降りようとすると
誰かが物凄いスピードで階段を昇ってきてルドスの頬に強いパンチを入れてきた。
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