77話:リフィーとシルディート!手厳しい過去のジャッジメント!!(前編)
文字数 3,365文字
【前回のあらすじ】
小町『エジェテール』を覆い隠すように古城に施された山岳地帯の
ホログラムシステムが途切れ皇帝や暗躍組織の悪事が明るみになろうとする中
一番近くの村『クリストビレッジ』がオルームに扮装した
シルディートの殲滅衝動により崩壊――。
一方、ヒルハイドタワーでは後合流したビアンラボ精鋭部隊と合流済みで
一夜を一緒に過ごす事に。そこで明らかになったのは……
シルディートの弟がオルーム。
ブリジスには隠された兄弟がいる事。
幹部『マイティーダーク』メンバー、グレイザーの裏切り行為。
決意のシャウトシグマ編、第2章もいよいよクライマックスへ向けて動き出す――。
****
ここは早朝のビアンラボ――。
皇帝がまだ寝ている間に、こっそりと古城と抜け出したシルディートは
過去の事、そしてリフィーに謝罪するべく訪問していた。まさに、鬼の居ぬ間に洗濯……。
睨むように周りの女性陣は彼をジーッ と見続けている。
名前はシルディート、皇帝を支援する
暗躍組織『アンドルディシア』のメンバーよ。
先程、オルームさんに変装したのも彼のスキル……。
そして私とリオルドさんを皇帝達の計画の為に使わした張本人。
今まで沢山の所業をして来た犯罪グループみたいなもんよ。本当、信じられないわ……。
済まないって言う話じゃないのよ!
貴方、さっきオルームさんに変装してティーネの両腕に重傷を負わしたんです。
信じられない所か、呆れたわ。まだ未成年の女の子よ……!
暗躍組織とかどうでもいいのよ。人として最低よ。少しは謝ったらどうなの?
一方的に女性陣の口鋭い発言により、2歩程引き下がりシルディートは何も言えないでいる。
さすがに今までして来た仕打ちは惨いし、どれも見過ごせなく、ある意味心に残るような物。
ティーネもその被害者。両腕を傷つけられたせいで彼の事が嫌いになり
彼女の心にも傷を負わせてしまった。ただ、リフィーだけは彼を庇うような形で必死に思いを叫び出す。
皆さんっ、すみませんっ!!
シルディートさんを責めないで下さい。彼がこうなったのは私の責任なんですよー!
止めて下さい、リフィーさん。
結局私のせいでああいう事になってしまったんです……。
全て自分に非がありますので、貴方が謝る必要はありませんよ。
…………!
ま、まさかヒルハイドタワーに私も含む
関係者が収集されたあの日に何かあったのかしら!?
確かリフィーさんの兄弟であるアルクさん、オルガさんの2人も居ましたよね……。
ご名答です、セイラさん。
それと…、この左眼の傷もリフィーさんの手によって入れられました……。
やられて当然ですよね。オルガさんを幹部の協力者にしたのは私の責任ですから……
シルディートが語る過去は
今から数カ月前、幹部「マイティーダーク」が結成され、
当時働いていた従業員を ″協力者″ に就任する時の出来事――。
****
数ヶ月前の出来事。
ここは雲行きが怪しいヒルハイドタワー。
ちょうどその時、兄であるアルクにお弁当を渡そうと弟のオルガを連れてやって来た。
この場所にはエレベーターが無く最上階に向かう方法が階段だけ。
偶然にも皇帝や、暗躍組織のメンバーも勢揃いしていた……。
さてと、皆さん……
いや、ヒルハイドタワーの従業員と呼べばいいですね。
揃って貰ったのには訳があります。皇帝、お願いします……
その前に、エディールさん……
ネルフの姿が居ないようだ。どうしたんだ?
地下の収容施設です……。
先日の機械誤作動の際に、リリカルラビットとリオルド達共に裏切り脱走。
何とかネルフさんだけ捕らえる事に成功しました。
気を付けろ。それと…
次そのような裏切り行為を見せる奴がいるなら闇に墜とせ。
貴方には期待しているんですよ。私を悲しませないで下さい……
さてと、本題へ移ろう。
まずは関係者各位、ヒルハイドタワー最上階へご足労頂きありがとうございます。
点呼をしたい。貴方達、名前を言ってくれませんか?
おう。俺はアルクだ。
このヒルハイドタワーではニャタリウス始め
実験に成功した生物の監視を担当している……!
次は俺だな……。
名はグラス。ここではさっきのアルクと言葉が重複してしまうけれど
俺は生物実験の施行を担当している。だな、アルク?
もちろんです。裏切ったなんて信じられないが
リオルドさんのシステムがこんなに革命を起こすなんて従業員の冥利に尽きるぜ。
次はセイラ、お前だ。ほら、早く自己紹介しな……
私はセイラ。このタワーでの役職は
システム室で塔内の監視よ。
さすがエディール様。あちらこちらに監視カメラを施しているから
侵入者が入ろうとすると警報が鳴り響く。これもリオルドさんのシステム……、
恐るべし。さてと、ラストはスティードさん。貴方のようです……
そうだな、俺はスティード……。
システム室のリーダーを務めている。
これで全員分の点呼を終えた。どうですか、エディール様…!?
ご苦労様です。
皇帝、この方達が任務を成功に導く適した者です。私の目には狂いがありません。
彼達なら幹部の協力者に打ってつけです……、如何でしょうか!?
えっ!?
アルクさん、グラスさん、セイラさん、スティードさん…、合計4人です。
幹部は4人。十分間に合っていると思いますけれど、何か不満でもあるんですか?
いざと言う時の保険です。
エディールさんにも協力者を付けさせて戴きます。
だから5人必要なんですよ。何、腑抜けな事言ってるんですか?
必要ありません…、私は幹部を纏めるボスです。
絶対的な強さを誇っています……。いざと言う時は……
おい、エディール。さっき俺が言った事忘れたのか?
皇帝が5人必要だって言ってるんだぞ……。
さっきから反発的な態度を取って、どうした? そのうち消されるぞ……!!
良いんだ…、兄上……。
それ位覚悟を持って此処にいるんです。本当ならしたくない。
ただ、皇帝に選ばれた以上心を鬼にしないといけないんです……
私の過去を変えてくれるんだったら、どんな事だって……!
エディールは昔の自分とずっと葛藤していた……。
両親に酷い仕打ちをされていた事。
スクールに通っていても友達など全く出来ない事。
自分の性格を認めてくれない事。
自宅じゃなく外でも色んな人と触れ合いたい好奇心旺盛な彼を見る周囲の目が
まるで蛇を見るかのような鋭い目付きで追い詰める。
彼は家族の事が大好きだった。しかしながら虐待ばかりの毎日に
耐えられなくなっていた部分も少なからず……。いつの間にか
心の何処かでは両親に対して ″いつか復讐してやる″ と思っていたに違いない。
ただ、どんな時も笑顔を絶やさないように常に善の気持ちを前面に出していても
皇帝だけは心の底にある何処か薄気味悪い ″悪″ の心を
見つけ出してしまい彼をスカウトしてしまった。
そんな時、システム室に映し出された2人の人物が
塔内に侵入した為、警報が最上階まで鳴り響く――。
さあ、幹部の皆さん……。と言いたい所ですけど
どうやらこのヒルハイドタワーに侵入者が入って来たようだ……。
リフィー…、そしてオルガ。お前の身内だろ、アルク!?
えっ、リフィーにオルガ……!
す、すみません。今追い返して来ます……。
その必要はありません。シルディートさん、貴方が行って下さい。
アルク、分かってるだろうな。これからリリカルラビットを使った計画が始まるんだ。
邪魔するモノはどうするんだっけ?
じゃあ、行ってくるぞ。リフィーって女だろ?
私は男女関係なく無差別に攻撃するのが好きです……。
そうですね。皇帝、アルクさんの兄妹のどちらかを ″協力者″ にするのはどうですか?
人手が足りませんから、良しとしましょう……。
ただ、これから苦楽を共に過ごすメンバーとなります。
シルディートさん、貴方のお目に掛かった人物をお願いしますね。
良いだろう。皇帝のお膝元としてご尽力させて頂くぜ……!!
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