35話:シャランアゾールの帰還!リオルドとの再会!!
文字数 3,803文字
ヒルハイドタワーへ侵入する為にはあともう1つ必要な物がある。
まずはシャランアゾールにあるクオーツリミテッドで保護されているリオルドの元に向かうべく
息子のライトとオルームが向かう。それと同時刻、エディールの闇の力により
幹部として再び動き出そうとしていたグレイザー…、ただ前とは明らかに違う。
どうですか、グレイザーさん…。
膨れ上がった私の闇の力…、気持ちいいよな?
貴方はもう完全なる闇だ…
私から1つ質問をしよう…。道に迷っている子供がいたら貴方ならどうする?
子供…、ガキか。迷えない身体にする…、それだけだ。
素晴らしい…
私の最高傑作です。ではグレイザーさん、ヒルハイドタワーへ帰りましょう。
貴方には "やって貰いたい事" があります。
****
シャランアゾールのクオーツリミテッドに向けて
ビアンラボを後にしたライトとオルーム。シチェード大草原を出ようとしたその時、
ユズキが目の前から走って来る光景を目にしたので、女の子一人で森にいるのは危ないと思って
オルームが話しかけ始める。
ユズキさん、この森は彷徨ったら危険な森です! 早くビアンラボへ戻って下さい。
俺達はシャランアゾールにあるクオーツリミテッドに向かっている最中なんだ。
父さんがそこで保護されてるから、迎えに行く…。
もし来るなら俺のスキルで守ってやる! どうだ?
えっとー、私も行きますよー!
ライトくんのお父さん見てみたいです!!
ビアンラボに今すぐ戻る必要もなさそうなんで…、お願いします。
よし! じゃあ彩りが加わった所でシャランアゾールに向かうぞ!
ユズキも加わってシャランアゾールへ向かい始めるライトとオルーム。
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ここはヒルハイドタワー。
ブリジス、キルディー、ジルバの3人により
追い返されたノルドイドとディゼールはエディールに見られたら何を言われるか
分からない為、戻って来てすぐ様医務室に行き軽傷ながらも治療して貰った。
くそっ…!!
あの3人のスキルを食い止めるのにこんなに骨が折れるとは…。
さすがエディール様に選ばれただけの事はあるな…
こんな掠り傷、痛くも痒くもない…。
ただこんなモノをエディール様の前で見せる訳にはいかない…!
次会った時は仕留めてやる…!!
ノルドイドさん、ディゼールさん…!
傷口が開いてしまう恐れがあるので、当分は戦いを避けて下さい。
口答えするのか…!?
俺達はエディール様に選ばれた幹部だぞ…。
戦う運命なんだ。どんな卑怯な手を使ってでもな…!!
それなら何故医務室に来たのですか?
エディール様の前で傷を見せるのがイヤだからですよね…。
俺は医者です。貴方達を完治させるのが任務です。
お願いですから言う事を聞いて下さい。
仕方ないですね…。
ノルドイドさん、早く完治して最上階へと向かいましょう。
痺れを切らして待っていると思います!
そうだ。ディゼール…、お前ジルバと戦っていたけど
アイツ本当にルドスの兄なのか? そんな雰囲気なかったけどな…
間違いないと思います…、あの方からの連絡がありました。
ルドス、ジルバ…2人は「フィラドール」の姓を持っていると…
両親はこのクロスウッドで有名な科学者だったと聞いていますよ。
彼等が幼いうちに他界しています。
ルドスとジルバの両親は2人が幼い頃、
不慮の事故により、若くして亡くなっている事が発覚。
ただディゼールとノルドイドがこの事実を "あの方" から
教えて貰っている事から立場的に彼等より、相当上の地位に就いている事を醸し出している。
****
時は同じく、ヒルハイドタワー最上階。
エディールの闇の強大なパワーにより新たな姿に覚醒したグレイザーを連れて戻って来ていた。
彼の豹変ぶりにブル達は驚きを隠せずにいる。
こ、怖すぎるだろ…。
お前、本当にグレイザーなのか?
あまりの迫力に言葉を失いそうだ…。
よう…、ブル。俺は生まれ変わった…!
またこれでお前達と一緒に動けるな…、宜しくな。
エディール様の闇の力がお前に力を与えたのか…。
ふん。正直に言おうじゃないか…。驚いているぞ!!
グレイザーは手も何も使わずに、枯渇のパワーが攻撃を察知して
ナギが繰り出した氷結の技を枯らしてしまう。今の彼は無敵状態…。
唯一この状態でも勝てるのは、痛みも悲しみも全て闇に変えて
パワーに変えてしまうエディール、ただ一人。
お見事です、グレイザーさん。
貴方達、本日から再び彼が幹部に就く事になりました…
ただ気を付けて下さい。私の闇のパワー、全て彼に渡しましたので
時に暴走を起こす可能性があります。不必要に怒らせない方が身のためです…
さすがです、エディール様。我々に次の指令をお願いします。
今のグレイザー様がいれば、百人力だよな…。
何だ。ユズキでも殺すのか?
闇の力が善のグレイザーの心を阻む…。
それは妹であるユズキがいた事も忘れてしまう程。
木漏れ日の森を「死の森」に変えていた頃の非情な彼へと戻ってしまい、
彼の目には闇しか見えていない。
****
シチェール大草原からシャランアゾールへ向かうルートを使って少しでも早く着く為に
速足で森を駆け抜けているライト、オルーム、ユズキ。
正直いくら速足で駆け抜けていても森の広さは異常。何日か掛けないとシャランアゾールへと着けない。
そんな時、ディゼールとノルドイドの戦いを終えたブリジス達が彼等の元に近付く。
乗ってー!
ごめんよー。遅くなっちゃった!
えっと、シャランアゾールだよね?
あっ、ブリジスさん!
でも何故目的地がシャランアゾールだと知ってるんですか?
ディゼールとノルドイドとの戦いを終えて一旦ビアンラボに向かった。
そしたらライト達がシャランアゾールに向かっていると
聞いたから駆け付けたんだ! ブリジスさんの星ならひとっ飛びでしょ?
安心して、目的地はちゃんとシャランアゾールだから!
善は急げって言うでしょー!?
ほら、乗って! 早く乗らないと置いてっちゃうよー!
僕、空飛ぶなんて初めてです。
星に乗るって言うのはちょっと複雑ですけど、宜しくお願いします!
ライト、オルーム、ユズキの3人を
ブリジスのスキルである「星」に乗せて貰い、シャランアゾールへと早急に向かい始める。
そんな道中、一緒に同乗していたジルバがオルームを見てあの場所で見た何かを思い出す。
クロスピアの時は急を催していたけど
オルーム…、俺の事覚えていないか?
え、えっ…と、すみません。
覚えていないです…。ゼルシードさんに無理矢理スキルを習得させられたせいで
僕の記憶が一部欠如しています。多分そのせいだと思うんですけど…
そうか…。俺の推測が間違いなければ、お前のスキルは「断割(だんかつ)」だ!
やはり禁忌のスキル…。
断割は名前の如く立ち割ったり、切り裂く事が出来るスキル。
ただ1つ厄介な事がある。それを習得すると、重装備なしで生身の身体で
色んな物を壊せるけどその分死ぬまでダメージが畜産され、
死を迎える時に絶対にもがき苦しむ事になる…
皆ー、シャランアゾールが見えてきたよー!
大丈夫だよ。クオーツリミテッドの屋上に辿り着くようにセットしたからねー!
ライト達を乗せた星はシャランアゾールのクオーツリミテッド目掛けて物凄い勢いで飛んでいき、
その光景を館内の窓から見ていたデルシアは保護しているリオルドに話し掛ける。
リオルドさん、貴方にご来客のようだ…
屋上に着くみたいなので、そこにある階段から上に向かってくれ…!
息子のライト、そして一緒に手伝いをしてくれたオルームと久しぶりに再会出来る喜びから
階段を急ぎ足で上り、目の前にある扉のノブを思い切り掴みながら開けて、外へ飛び出す。
ブリジスの星は屋上へと無事に到着して、リオルドは感動の再会を果たす…。
ライト、オルーム、おかえり…!
こんな父で済まないな…。
父さん…、俺こそ黙って家を飛び出したりしてごめん…!
ライト、お前が無事ならそれで良いんだ…。
オルームをしっかり守ってくれたようだな…、ありがとう!
僕に課せられた任務、開始します!! 良いですよね、皇帝…?
一部の記憶はないが、皇帝に授かった任務は覚えてるんだ…。気付かないお前等が悪いんだよ、バーカ!!!
突如として動き出すオルーム、彼の正体を怪し始めるジルバ…。
とうとう「決意のシャウトシグマ編」は全ての思惑を乗せてヒルハイドタワーへと動き出す。
****
ここはヒルハイドタワー15階にある専用実験室。
よし…。後は
"これ" を専用台に設置して
この機械に表示されているゲージの数値が100になれば…。
ブルが何か怪しい動きを見せていると、その部屋の扉をノックして誰かが入って来る…。
もちろんその声の持ち主を知っている為、内心ビクビクしている。
お前、ここで何してる? その設置したモノを見せろ…!
だ、駄目だ…。
グレイザー様、み、見ないで下さい!!
ブルを振り払い、意地でも無理矢理にその機械の元に行ってグレイザーが見たモノとは…
木漏れ日の森で彼がスキル「枯渇」を使い、剥製のまま姿を
留めているアルクの遺体…。
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