07話:デュードビレッジ・ダイアリー in スカピーノ(part1)
文字数 5,229文字
ブルにデュードビレッジの
宿泊施設「スカピーノ」と訓練場「チャートラス」を案内して貰っている最中
ライトという男性と激しいバトルをした後のお話ー。
ライトくんって凄いんですねー。
スキル「獣拳」ですか。俺がもし持っていたらどんなスキル貰えるのかなー。
そうだなあ…。
名前がヒョードだから、表土…。土のスキルって言うのはどうだ?
あっ、この世界では土のスキルは
"禁忌"なんだよー。
意味分かるかなー? いわゆるタブーだね!
あれ、何で土のスキルがタブーなのですか? 是非教えてくれませんか…。
"土砂崩れ"や
"地震"のような災害を起こす技を使えるからだよ!!
他にも色んな禁忌のスキルがあるんだぜ。
(そう…。グレイザーのスキル「枯渇」も"禁忌"…。)
あっ、あの…。向こうの方が活気溢れているみたいですよー。行ってみませんかー?
あ、そうだったねー。話脱線しちゃったねー。ごめんよー!
じゃあ、村の案内の続きといこうー。
****
ここは武器、防御、アイテムのショップがズラッと並んでいる。
様々な企業が開発した物が陳列している為、冒険者はお気に入りの企業を色んな場所で
情報収集し、クロスウッドの各地にある店舗へ出向く傾向がある様子。
ちなみにデュードビレッジにあるのは「テトラキリス」「ジャハードヴルグ」。
テトラキリスは可愛いデザインで有名、
そしてジャハードヴルグは「狼」のロゴが入っていて、
紫や紺みたいなダークな色を多いに使っている事で有名。
洋服、鞄だけじゃなく、
このようなモノにも様々な企業が開発に携わっているんですね…。
テトラキリス…。あっ、あのブローチ可愛いですわね…。
ティム、買ってあげましょうか? これ位なら構いませんわ。
一方、男性陣はシャザードヴルグ社の武器・防具を食い入るように見ている。
剣かあー。
カッコイイけど、俺には使いこなせないような気がする…。
やっぱり剣ならルドス君…だよね?
確かにカッコイイぞ!
だけど、俺はこのブライドゼータで十分だ!
"元の所持者"に返すまでは…。
(ルドス君が持っている剣って『ブライドゼータ』って言うんだねー。)
一通りデュードビレッジを案内し終えたブル、そしてルドス達。
その時、ルドスの元に二人の女性がやって来る…。
あーっ!
ルドスさんだー。久し振りに会えたよー!!
そ、その声はユズキじゃないか…。お前、何しに来た? いつもと服違うぞ…。
お前の私服か! 初めて見るけど、割と可愛いじゃないか…。
えーっとね…スティードさんに二日間お休み貰ったんだよー。
だから友達連れて遊びに来たんだー!
紹介するねー! レシールちゃんだよっ!!
【レシール】
初めまして、皆さんっ…。
ん? あ、あれー。何でブルがいるの…!!
その時、レシールが連れていた猫がブルの元へ近付こうとしている。
しかしながら、こう見えて実はブル…大の猫嫌い。
ニャーオ…。ニャッ!?(訳:ブルー。久しぶりだねー。)
うわあああああああ。こっち来ないでー!!!
と、鳥肌がああああー。鳥じゃないけど…。
もうっ! 僕は前から犬派って言ったでしょー。
ルドスくん、オルガくん、ヒョードくん、ナギくん!
そしてリリカルラビットのユウマ、アルクくんー、早くスカピーノに行こう!
レシール、ぼ、僕に…。
一通りデュードビレッジの紹介を終えた彼等は宿泊施設「スカピーノ」で手続きを行い
男性陣は外泊用のテント、後から合流したレシール、ユズキも加わり
女性陣は建物内の部屋に泊まる事になり、思い思いの時間を過ごしている様子。
取り乱しちゃってごめんねー。僕、猫嫌いなんだよー。
猫嫌いな人ってあまり聞かないけど、珍しいんですね!
でも何で嫌いなんですか?
嫌な思い出が蘇るー。もう思い出したくないから言わないんだけどー
猫見るだけで鳥肌が立っちゃうんだよー!
あっ、話変わるけど、ライト…。
スキル「獣拳」をブリジスから貰ったんだよな。彼とはどういう付き合いなのだ?
行方不明になった父を一緒に探して貰っているんだ。
昔から父は研究熱心で、何処かの施設で働いていたんだけど、
不慮の事故に遭いそれ以降姿を消したと聞かされていてね…。
そんな時にブリジスさんに出会い、
このクロスウッドは危険と隣り合わせだと聞かされて、スキルを頂いた。
あんなの父じゃないし、認めない!!あっ、取り乱しちゃってすみません…。
もう嫌な事は忘れようっとー。
そうだ! スカピーノの中にある露天風呂っていうのに行かないー?
さっきちょっと覗いたんだよー。気持ちよさそうだったからさー。
えっ、えーっと…
お風呂は分かるけど…露天風呂だよね…。どういう意味なの?
露天風呂と言うのは、屋根に覆われていない外にある風呂の事を言うのじゃ…。
外の景色を見ながらのお風呂も格別じゃ!
詳しいんですね、ナギさん…。
もしかしてブリジスさんが言っていた現実世界から来た来訪者って言うのは…!
確かに、拙者は現実世界からこの世界にやって来たぞ。
はて、ブリジス殿にこのような事言ったかな。覚えておらん…。
部屋の名前が凄いですね…。グラマラス…。調べたことがあります。
確か"魅力がある"とか"魅惑的な"っていう意味でしたわ…。
聞き慣れない言葉だよねっ!
でも多分、ティムやミント、
ユズキちゃんにレシールさんの事を言っていたんじゃないかなー。
あら、ティーネさん…。私は「可愛い」には入っていないんですね…。
いやいやいや、そんな事はないけど、ティアラさんは
「可愛い」って言うより「大人しい」のイメージが強いだけですよー。
あら、そう言ってくれるなんて嬉しいわ。ありがとね!
そういえばレシールさんっ!
まだブルくんとの関係教えて貰ってないですよー。
そうでしたね…。実は私もブルくんと同じシャランアゾールに住んでるんですよー。
とある雨の日にね、捨てられた1匹の犬と猫を見つけたんだ。
その時、初めてブルくんと出会ったのよ!
そしたらね、ブルくんったら
「親元を離れて悲しんでる動物は見たくないよー。」って
捨て犬を彼が、そして私が猫を拾ったんだよ。
す、素敵な話ですよー。ブルくんの犬に対する気持ちが素晴らしいですー。
あっ、もしかして…。
あ、気付いた? そう、その捨て猫がこの子なのよ!
名前は「ルシア」って言うんだ。
【ルシア】
ニャーオ! ニャー!!(訳:宜しくお願いしますっ)
ブルくんが拾った捨て犬も、さっき見させて貰ったあの犬なのかなー。
いや、ミントさん…。
ブルくんが拾った捨て犬はもう亡くなっちゃったのよ…。
どうやらそれが猫嫌いになったきっかけなんだけど、頑なに喋ってくれないんですよー
ブルが拾った捨て犬はもう既に亡くなってしまっていた。
それがブルが猫嫌いに、そしてその他にも理由があるみたいだけど、明らかになるのはまだ先のお話。
そして場を盛り返そうとユズキが露天風呂に行こうと提案を出してくる。
あっ、そうだー。
皆でお風呂に入りませんか?
こんなブルーな気持ちも吹き飛ばす程気持ちいいみたいですよー。
いいですね。是非そこのウサギさんも一緒にどうですか?
この子達とも沢山お喋りしたいです。
確か、このスカピーノでは動物の入浴も大丈夫と張り紙があってありましたよ。
はい。もう色んな場所に行き過ぎて
身体が汚れちゃったー。洗い流そうっと。
****
そして同時刻、男性陣、女性陣はスカピーノ内にある露天風呂へやって来た。
※ ここからはセリフと読者の妄想でお楽しみください。
今まで通りアイコンはそのまま服を着た状態で表示しております。
男性陣、脱衣所にてー。
や、ヤバいよー。
最近運動してないから、少し太っちゃったよー。
こんな時は、お腹周りをタオルで隠してっと…。えっ、ルドスさん…。な、何見てるの?
ってか、ルドスさん…す、凄い…!
余計な脂肪なんかなさそうですよねー。良いな―。
おい、タオルを外せ、ヒョード!
男なら女みたいにタオルで隠すな!!
ほら、ブルもライト、ナギ、オルガももう
先に中へ入って行ったぞ…。後はお前だけだ!!!(タオルを勢いよく外す)
え、えっ、えっ…。うわ、やめてえええええええ!!!!
気付いたらもうとっくに身体を洗い流し終えていたナギ、オルガ、ライト、ブルの4人は
大浴場じゃなく、露天風呂へと移動していた。
****
露天風呂。
ルドス殿、さすがに風呂内に
ブライドゼータを持ち込むのは如何なもんとだと拙者は思うぞ…。
あぁ、済まないな…。ただブライドゼータは狙われているからな…。
でもいつものように背負ってはいない。
ただ手に持っているだけだからあまり気にしないでくれ!
それにしてもルドスくんって、ガタイがいいなあー。(自分の身体を見る)
負けていられないよー。もっと僕も頑張らないとー!
うーん。気持ちいいけど
皆ガタイが良くて複雑だ! 多分俺がこの中で年下…。という事は
まだ成長期。頑張ればルドスさんのような身体になれる…と言っていいのか…。
ちょっ、ちょっと…! 皆、凄い奴が現れた!!
る、ルドス…。お、お前も十分凄いけど…、いやいやいや確実に彼の方が上だ!!
だって背筋、腹筋、胸筋、肩、いや全てにおいて
オールパフェクトなマッチョが…!! こ、こっちへやって来る…!!!
ここは湯気が立ち込める露天風呂、ガラガラっと扉を開け
大浴場から二人の男性が現れる。そう、彼等はルドスもお世話になったあの幹部二人である…
騒がしいな…。風呂位ゆっくりと入らせてくれないか、ルドス!?
そ、その声は…グレイザー…!!!
それにディゼール…!!!
(ってかグレイザー…、どんな鍛え方すればこんなマッチョになれるんだよ!!)
よう、ルドス。安心しろ、風呂ではさすがには襲わん。
風呂は体を癒す場所だからな、な、ディゼール?
はい、グレイザー様。仰せの通り…!
皆さん初めまして…、おや、ナギさんにヒョードさんじゃないですか…。
お久しぶりですね…。
ほらっ、ティム。いつもように身体を流してあげるからこっち来なさいー。
もうー! 冗談言わないでよー。
いつも一人で洗ってるんだから大丈夫だよー!
そして、ミントはセイラの横に座り身体を洗い始めるが、
どうやらミントは彼女の胸をずっと凝視している。
どうやったらお胸って大きくなるのかなーって思ったんだよー。
あら。単刀直入なんですね…。良いわよ、教えてあげる…。
じゃあ、まずは私のハミングバードにご挨拶をしてから…っと…。
ちょっと、セイラさん…!
ミントちゃんに不埒な事を教えないで下さいっ。まだ子供なんですよ!!
その一方、ティムとティアラ、ティーネの
行為を見ているレシールはユズキにしてみようと企み、背後からこっそりと忍び寄り
彼女の背後をタオルで洗い流し始めた。
ひゃぁ!
もうー、レシールったら…!
や、やめてよー。くすぐったいよー!!
そんな事言わないのよー。お姉さんが洗ってあげるからさ!
シャワーで洗い流し、レシールから逃げ出すかのように露天風呂へと急ぎ早に向かって歩き出す。
そしてユズキは男性陣が入っている風呂場の方で聞き慣れた声を耳にする。
※ここから元に戻ります。
グレイザーの完璧すぎる身体を見てリリカルラビット"アルム""ユウマ"も驚きの目をしている。
(ああいうのを逞しいって言うんですかー。知らない世界です…。)
(うひょー。グレイザーっちゅう奴、ゴリやないかい。凄すぎるわ!)
さてと充分に温まったから俺は先に出る。ルドス、忠告して置く…。
明日、今度こそブライドゼータとリリカルラビット、
そして記憶の断片を奪ってやる。必ずな…!
邪魔したな! ディゼール、行くぞ…!!
(グレイザーの奴…、今度こそ勝ってやる!!!
そして全てを守り切ってやる!!)
男性陣の露天風呂でのやり取りを聞いていたユズキ…。
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