99話:怒涛のヒルハイドタワー!マイティーダーク壊滅劇開始!! part6前編
文字数 4,209文字
ヒルハイドタワー15階から落下してしまうグレイザー……
妹ユズキとの別れを胸に秘めて、死を覚悟する姿勢にいつの間にかなっていた。
しかしながら、突然ヒルハイドタワーの象徴するガラス張りの窓に
空から飛び降りて来た一人の男性が着地し、物凄い勢いで走り始め
もう少し…、あと少し……の所で手を差し伸べ始める。
″お願いだから、誰か助けに来て″。
彼は少しの希望を持って、ゆっくりと目を開ける。
そして、グレイザーが見た光景とは――。
フォザードを筆頭に上空を飛んでいる最中、彼が落ちている光景を見てエンディアだけ独断で飛び降りる。
シャランアゾールにあるトレーニングジムで一緒に身体を鍛えた仲の為
どんなピンチに陥っても、必ず助け出す……。
それがエンディアの流儀――。
そして、ヒルハイドタワー付近に一足先に無事に着陸したのは
ハディーサ、機動警察隊「セクションゼット」のメンバー、フォザード。
普通の炎は熱を帯びている為、火傷を負ったり中に入ると燃えてしまうけれど
この炎は命を守るモノ。エンディアの静かなる闘志から編み出された ″救助技″。
それに彼はクロスウッドで悪事を犯している者を全員助けようとしている。
不屈、そして強靭な心が無いと絶対に成し遂げられない所業。
特にグレイザーとはトレーニング仲間としてはライバルでもあり、大切な友達……。
そう……。絶対に助ける!
と決めたあの日からエンディアの想いがグレイザーの心に届くその時まで。
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10分後――。
助け出したのも束の間、彼の何気ない一言により ″笑顔″ に纏わる
何かを思い出そうとしていたけど、言葉を詰まらしてしまう……。
しかし、塔内で起きている事から逃げる事は決して出来ない。ましてやクロスウッドを
地に墜とすような行為をしているマイティーダークや皇帝、
アンドルディシアを野放しにする事は以ての外。
そして今ここにいるのは
他大陸 ″グランバード″ からやって来た機動警察隊セクションゼットのメンバーであり、
古城 ″フィンディル″ の所有者の一族の1人であるフォザード。
確かに一緒に行って戦力が増えても、最上階に待ち受けてるのはエディールだ。
対策を考えない限り、彼には勝てない……。だから
一先ず用事を終えたら戻って来るんだ。大丈夫か?
悪事を行っている最中でもずっと妹であるユズキ、そして
笑顔を絶やす事を忘れずにいた。その姿勢が彼の中に潜む悪に打ち克ったのかもしれない……
その想いを胸に秘めて自分が今やらないといけない事を果たしに
補強された非常階段を使い、アルクの蘇生が行われている
15階の研究室へと急ぎ始める。
****
その頃、古城フィンディルでは――。
ヒルハイドタワーの15階、大広間にある花壇の後ろに隠れていた
オルームの更なる素性がバレてしまい、皇帝がシルディートを追い詰めながら
その後ろの方ではルディアとゼルシードの2人の拳が交わり合い、バトルを加熱させていた。
皇帝、シルディートサイド
情報を横流ししていたのは、ビアンラボから突如として
姿を消してしまった2人のうちの1人、ゼシア。
海産業会社「クランチャード」――。
そこもビアンラボやヒルハイドタワーと同じようにクロスウッドの
環境や治安を守る施設。徹底的な排除を目論む皇帝の指示により
訪問はしたけど、結局何も出来ずに退散してしまった……。ただ、それも皇帝の手筈通り……
攻撃を避ける際に自分の姿を消したり、自分が出した攻撃が
相手に見えない様に繰り出すように、隠蔽工作を施す事が出来るスキル。
アンドルディシアが今まで企てて来た計画を誰よりも素早く熟すのは彼、ルディアの為
皇帝からもかなりの実力者として認められている。
相手の目の前で見せ付けるように姿を消し、尚且つ足音も消しゼロシードに近付き
容赦ないパンチを無音状態でひたすら連打していく……。
獲物を追い詰めるようにそっとゼルシードに近付いていく。
彼からしたらいつのタイミングで攻撃を仕掛けに来るのか分からない為、
常に用心しているけれど、予想も付かない……。
ただ、その時……
突然目にも見えないスピードでルディアの腹部目がけて
猛ダッシュしながら遅れてやって来たのは、機動警察隊セクションゼットのメンバー……アッシュ。
100話:怒涛のヒルハイドタワー!マイティーダーク壊滅劇開始!!(part6・後編)へと……
クロスウッドの ″とある場所″。
雰囲気は苔が生えていて、蔦があちらこちらに絡まっている洞穴。
ひんやりとした空気に包まれている状況下、何かを見てブラストは最悪な表情を示していた……。