30話:クロスピア崩壊!シャウトシグマの奇跡!!(前編)
文字数 4,216文字
クロスピアはビアンラボに向けて徐々に高度を降ろし、
爆発と言う名の崩壊まで後25分…。そんな中、3Fの研究室では
ブリジス達も気付かないうちに逃げ出していたルドスが兄であるジルバと再会し
シャウトシグマを遂に手に入れ、エバス率いるスカラダークの計画を阻止する為に大部屋へ急ぐ。
使い心地はどうだ?
ブライドゼータより重みがある筈だ…。
重いけどこれ位楽勝だ…。
それに攻撃1つ1つのダメージが絶大だから見てみろ…、あの二人を!!
(はぁ…。はぁ…。
ジルバ、やはり強い…。僕の星を全部交わすなんて…!
早く処理しないと、エバス様に何言われるか分からない…!)
(やはり…、彼の手にシャウトシグマに渡ったのが誤算だ…!
割とダメージを喰らった。くそ…。ここで爆発的な力を出すと
クロスピアに影響を及ぼしてしまう…。)
おい、もう終わりか…。
やはり俺があの部屋から出てきたのはお前等にとって大誤算だったようだな。
ルドス、シャウトシグマの強力技でとどめを刺せ…!
さっきからスキルの連発でへばっているようだ…。
ダメだ、兄さん…。ここには仲間がいる…。
ビアンラボのスタッフだぞ。俺は、全て守りたいんだ…。
こんな所で強力技なんてしたら、全員吹き飛んでしまう…。
ふん。何可愛い事言ってるんだ、ルドス? そんな綺麗事など聞きたくないんだ。
目の前でへばっている奴がいるのに攻撃をしないなんてどうかしている…。
もういい。俺が対応する!!
僕達を無視する方がどうかしている…。
良い根性しているな。くそっ! これでも喰らえ!!
会話を無視したせいか余計に苛立ちをしてしまい、怒りに満ちたブリジスは
無数の星をジルバに発射するが微動だにせず、その星の中からまるでホラー映画の様に
出てきた彼の右手が首を思いっ切りガシッと掴み、床に思い切り叩きつきられてしまい、
床が抜けたその衝撃で1階下である大部屋にブリジスの身体は落ちて行く。
ぐ、ぐはっ…。え、エバス様…。
ど、どうかお助けを…!!!
ぶ、ブリジスさん…。エバス様、どうか彼を助けて下さい…。
まだ計画の途中ですよね!? だったらお願いします…!!
ブリジスのスキル「星」で出した星状のリングによって拘束されているゼシア達は
突然天井からブリジスが落ちて来た事に驚きを隠せずにいた。ジルバの攻撃をもろに喰らった衝撃で
大部屋にいるエバスの前で横たわっている。もちろん、指揮官である彼からしたら目を疑うような光景。
貴方達、私の前で醜態を晒しましたね…。
これで良く助けを求められますね…。私に何か貢献したのですか?
いや、でも…。
同じスカラダークの…。す、すみません…。
私は弱い者と出来損ないの部下が苦手なんだ…
貴方達もそうですよね…。結局は何の役にも立たない…愚か者と一緒…。
そういう人は部下にはいないと信じていました。もう結構です…。貴方達はクビです。
ただ私の前で醜態を晒した罰は与えます…。
おい、そこの大きな扉を開けろ!!! この二人を落とす…
弱っている時はスキルは使えないからな。
この場所もいずれビアンラボと共に倒壊する…。どっちにしても同じだ…。
同じ組織でもエバスの言う事に逆らう、あるいは裏切り行為を見せるような
態度をとっても彼は怒りに満ち溢れ、容赦なく切り捨てる。
現実を突きつけられ絶望しかないブリジスとキルディーは目を瞑る…。
いくら指揮官に何を言っても聞いてくれないまま、彼はスキル「浮遊」で全く手を出さずに
大きな扉の前まで飛ばし、そのまま落とし始めてしまう。
さようなら、私の忠実な部下であるブリジス、そしてキルディー。
もう二度と会う事はないでしょう…。ただ1つ誤算は…
****
ここはビアンラボ、屋上。
空中からどんどんビアンラボが高度を降ろして迫っている中、何とか
無事に戻って来てジハイドはクロスを連れ医務室へ、そしてライオットはすぐさま屋上へ向かう。
それにしても、間近で見るとこんなにクロスピアはデカいのか…。
これを上空に浮かせるなんて、エバスも相当ヤバい奴だな!
ん? 今空に何か一瞬見えたぞ…。
えっ!? だ、誰か落ちて来る…!!
ジハイド、空から男性二人が…。
あ、そうだ。今居ないんだ…。何とかして助けないと!!
ライオットは落ちて来る男性二人を必死に助けようと、ビアンラボの屋上に円を描くように
何処に落ちて来てもいいように懸命に走り出す。少し、もう少し、あと少し…! の所で
空中から、いやエバスの手によって落とされた二人を助け出す事に成功する。
はぁ…。はぁ…。
だ、大丈夫なのか…。僕達は助かったのか!?
そうみたいですね…。
俺達を救ってありがとうございます…。
もし良かったら名前を教えて貰ってもいいですか?
ああ。俺の名はライオットだ…。ヒルハイドタワーの所長を勤めている。
今はあのクロスピアにどのように突入するか決めていた所なんだ…。
なあ、お前ブリジスだろ? その様子だと、お前達
ボスに切られて落とされた感じだな…。どうだ、なかなかの推理力だろ?
気に障る言い方をするな…、事実だけど。ただ、もうエバス様の忠実な部下じゃない…。
今日からは自由。お前、クロスピアに行きたいのか?
僕のスキル使えば行けるんだけど…。ただ1つ条件がある。
完遂出来る自信しかないぜ!
俺はグレイザーの妹を助けに行く。
そのついでだ。お前の条件を言ってみろ!!
1階奥にある鍵のかかった部屋…。
多分あの日のままだろう…。机の上に置かれた資料を取って来て欲しい…。
良いんですか、ブリジスさん…。
あの資料を提供するという事は、エディール様も敵に回す事になります。
覚悟があっての行為ですか?
うんっ! それともうイヤなんだっ!
敵になるってさ、人の人生を不幸にするだけじゃん。
そんなの間違ってるよねー。やっぱり僕は星が一番好きだから、
どんな時もキラキラで居たいんだよねっ☆ キルディー、もう止めようっ。
わ、分かりました!!
やっぱりブリジスさんはこうでなくちゃっ!
あっ、ごめんよー。
じゃあ、今から出すから必ずやり遂げて来てねっ!
ブリジス、そしてキルディーの二人は悪の素質が全く無く、ただエバスの指示に従っていただけの事。
スキル「浮遊」で落とされた時にそれを感じ取り、やっと自由の身になれると実感した様子。
クロスピアに行く方法を探していたライオットからしたら一石二鳥。
スキル「星」を使って侵入開始するが、彼はハッチから行くことなく
操縦室の窓をヒルハイドタワーの牢獄から逃げ出した時みたいに素手でガラスを叩き割る。
よし! まずは侵入成功だ…。
確か1Fの奥の部屋だな。鍵が掛かっているなら壊すまで!!
****
時は同じく空中要塞「クロスピア」大部屋。
エバスの手によって3Fの研究室の横にある部屋に監禁していたジルバ。
逃げ出して、尚且つルドスがシャウトシグマを背負っている事に更に彼の怒りは頂点へと達していた。
後15分みたいですね…。
さてと、ジルバさんにお話を聞かないといけませんね…。
あの部屋からどうやって逃げ出したんだ? 鍵は強く閉めて置いた筈なんだけどな…
粗方知っていたから、俺を閉じ込めたんだろ?
ルドス、さっきは強くあたって済まなかった…。
お前の事情を知らなかった俺を許してくれ!!
おい、エバス…。
俺はお前の計画を阻止する為に "あの場所" からやって来た…。
額にこんな刻印まで入れられて、気分は最悪なんだ…。
という事は貴方、リリカルラビットの情報を手に入れようとあそこに侵入したんですね…
レイディアさん、アージェスさんには会えたのか…?
会えた…。ただ、彼等はヤバ過ぎる。
立ち向かったが、全く歯が立たなかった…。何て強さだ!!
彼達に貴方が勝つとでも思ったんですか…?
哀れな考えです…。ただ気を付けて下さい。
この刻印を付けられた以上、貴方はもう逃げられませんよ…
だけど、お前の計画を阻止ぐらいは出来るだろ?
ここにもリリカルラビットの情報がある事は知ってるんだ。
さあ、続きを始めようじゃないか。
ルドス、シャウトシグマの準備をしろ…。エバスを倒す!
ジルバさん、クロスピアは間もなくビアンラボと共に消滅するんですよ…
戦いなんてやっている暇はありませんよ…。
ここに連れて来てくれたブリジスさんも、もう私の部下ではありません。
さあ、無事に逃げ出してみて下さい…、私は先に失礼します。
では、また何処かで会いましょう…
どのような仕組みかは分からないが、エバスは徐々に透明になって行き
クロスピアの大部屋から姿を消えてしまう。そう、この空中要塞に取り残されたのは
リリカルラビット含むゼシア組、後にブリジス達に連れて行かれたライト組、そして遂さっき
侵入したライオット…。ここは空中、飛ぶ事も出来ない彼等はどのように脱出するのか、そして
ビアンラボとクロスピアとの消滅は免れるのだろうか、事態は最悪な方向へと入っている。
****
ここは1Fの奥にある鍵のかかった部屋。
やはり厳重に鍵が掛かっているな。
そんな部屋こそ重要な物が眠っているんだ…。
ただ、俺の腕に掛かればこんな物…他愛もない!!
鍵が掛かった扉はライオットの爆発的な力により壊され、中へ入る。
****
ここはリオルド元所長が使っていた資料部屋。
自宅に置けない量のクリアファイル、研究別にデータ化した資料が所狭しと並んでいる。
す、すげぇ…。きちんと整理されているじゃないか…!
リオルドは本当に本好きなんだな! さすが研究者!!
えっと…、机の上…っと。
あ、あれか。何の資料かな!?
ちょっと待って! これが本当ならリリカルラビットの正体って…。
その時、何かの気配を察知して机の引き出しに資料を咄嗟にしまう…。
そして、ライオットの動きをずっと漆黒の目付きで監視していた
如何にも怖そうな雰囲気を持つ人物に遭遇してしまう。
俺はアージェス…。貴様に用がある!
来て貰うぞ、こっちの領域(エリア)に…。
ライオットがいる位置の真下に突如として黒い影が発生し飲み込まれてしまう。
頼まれた資料、そしてグレイザーの妹であるユズキも助け出す事が出来ずに
アージェスの思うがままに罠に掛かってしまった。
もちろんその事は、資料を取って来てと頼んだ
ブリジス、キルディーの二人、更にビアンラボの所長ジハイドも知らない…。
ジルバ、そしてライオット、刻印を付けないといけないのは…
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