57話:ビアンラボの精鋭部隊!決戦直前のラストブレイク!!(出会い編)
文字数 3,440文字
前回のあらすじ
暗躍組織「アンドルディシア」のメンバー、ルディアに捕らえられたクロスは
地下にある牢獄で出会ったインバという男性と話をしていた。その最中、彼の口から
聞き慣れない4人の名前を口にする。彼等は元からのエディールの仲間である事が分かり、幹部は
いざという時に皇帝が準備した保険のようなモノと発覚した。ヒルハイドタワーでは彼等らしき人物と
喧嘩しているけど、同じ目的を果たす者同士の為、今は納得するしかない――。
エディール様、あの方達とは何処でお知り合いになったのですか?
いや、何でもありません…。
私同様、彼等もエジェテール出身なんです…。とある夜、突然悲劇が起こりました…
その際にオルームの"殲滅する"という一言により町は見る影を失い、
住民も無残に殺されました。この左目の傷はその時に負ったんです…
あれ、待って下さい…エディール様。
一つ疑問があるんですけど…、オルームは今もこの記憶は覚えているんですか?
確か…、記憶の一部がないと…。あ、まさか…!?
そうだ、ヴィルゼート…。
彼は皇帝の正体と共にこの記憶も無くしてしまった…
確かに彼等を傷付けた事とエジェテールを滅ぼしたのは許し難い…。
後にこの仕業がリリカルラビットという事を知った。そう、要するに皇帝の仕業だ…
エジェテールを崩壊させたのは許し難い行為…
ただ、泣いていた彼等はもちろん私にも帰る場所などありません…
時には心を鬼にする必要があります。闇に飢えていた
私からしたらオルームのお陰で両親を…
これ以上の長話は無用だ。
私の過去は例え貴方達でも話す事が出来ません…
聞いている暇があるのでしたら、いつここに辿り着くか分からない
ビアンラボの精鋭部隊を始末する対処をしたらどうです?
ああ…、そうする事にしよう…!ノルドイド、ディゼール、ヴィルゼート…、そしてナギ。
ブルは裏切った。お前等がやる事分かってるよな? 言ってみろ…!
ああ、まずは
ブルの始末…!
裏切り者には制裁を加えないとな…。後は何だ、ディゼール?
精鋭部隊の排除。裏切り者はもちろんですけど
邪魔者もエディール様からしたら迷惑な存在です…
所詮私達の敵ではありません…、楽勝に片付けてみせます。
後2つありますけどヴィルゼートさんとナギさん、分かっていますよね。
ああ、さっき聞いたぜ…。
元ブライドゼータ所持者、名はビラン。
頑なに言おうとしない剣の秘密を無理矢理にでも聞けば良いんだよな…。
さっきエディール様も言っていたけど、時には心を鬼にしないとな!!
後1つは何だ、ナギ!?
この計画の為に
資金援助してくれたネシアの始末…
言ってしまえば計画に携わった関係者も、利用終了後は証拠を残さず排除。
消して足取りを追う事が出来ないようにする…、さすがエディール様です。
もっと褒めて欲しいのなら、私の為にきちんと働いて下さい…
これは何度でも言いますけど、もし貴方達が無能だと私が判断した時は…
闇へ墜ちて貰うからな…。決して日の目を見る事がない深淵の世界で、もがき苦しみながら死んでいく…
良い気味ですね。私をそうさせたのは"両親"のせいだ…
少なからず、感謝しないといけねえなあ…
"闇"それはずっと昔からエディールが抱き続けてきた物。
彼の過去の割とあらゆる場所に芽生えている…。
グレイザー以上に笑う事や楽しいという感情表現が、彼の表情に浮かんで来ない…
そこまでして何故闇を追い求めるのだろうか?
****
ここはビアンラボからヒルハイドタワーに少し迂回しながら辿り着いた小町「テディシア」。
少し歩き疲れたようで、地面に座り込んでいる。
つ、疲れた…。
ヒルハイドタワーは見えているのに
結構距離があるなんて、聞いてない…!
それにしても足が痛い…。少しマッサージしよう…。
とりあえずもう日が暮れて来たからテディシアで一夜を過ごそう!
この町にある宿屋のスタッフとは顔馴染みなんだ。
ちょっと話を付けてくるから、少し休んでいてくれ…
あの…ジハイドさん! ちなみにこの町ってどういう場所ですか?
結構熊のぬいぐるみを持っている方が多いですね…。
あっ、テディベア…!
熊のぬいぐるみ…ですね。懐かしいなあ…。
ああ見えてうちのお兄ちゃん、好きだったんだよな…!
あっ、ごめんなさい…。話続けて下さい!
それでこの場所にはシアという熊のぬいぐるみを愛して止まない男性がいます。
もちろん俺より年下ですけど、立派な町民です。
彼の願いは「テディべアをもっとクロスウッドに広めたい」。
その一言から心を動かされた人達の資金援助でこの町が誕生したんです…。
良い話ですね。あっ、ジハイド所長…
どうぞその宿屋に向かって下さい! 俺が面倒を見て置きます…。
テディシア…、テディベア(熊のぬいぐるみ)の愛好家である殿方シアが誕生させた町。
ジハイド所長より年下と言うのに、一つの目標に向かって頑張る姿勢を見せた
シアの行為に感銘を受けている。
****
数分後、宿屋に行ったきり戻って来ない地べたに座っている彼等の元に
一人の色黒の男性が会話を遮るかのように話し掛けて来る。
【????】
よう、お前等…元気か?
地べたに座るな。着ている衣服に土が付着するぞ…
さすがにシアもそこまで頭が回らなかったか。そりゃあ、そうだな…!
ジハイド所長がいないようだな…。ちょっと用事があったんだけどな!!
突然話し掛けてきた男性にアルバートが手をボキボキさせながら攻撃の準備をし始める。
誰が敵で、誰が味方か分からない為、常に用心する事を心掛けている。
だ、誰だ…!?
もし敵なら容赦はしないぞ…。
仲間に指1本でも触れてみろ。弓で射抜いてやる…!
ちょっと待て…! そんなつもりで言ってる訳じゃない。
ジハイド所長に言われてずっとヒルハイドタワーの近くで監視してたんだ…
アイツには黙ってろ! って俺が志願したから密かに動いていただけだ…
お願いだ、信じてくれ…!!
アイツって言われてもな…
信じて欲しいならそいつが誰か…、教えてくれるよな?
おいおいおい…弓が怖いのか? 情けないな…。
俺は
武器全般苦手なんだ…、こう見えて
平和主義、体力も無い…、
弟にも臆病者って言われてるんだ…。
情けないよな、俺…。本当イヤになるよ…。
ただ、アイツとは違って知能指数は多い。それだけが取り柄だ…!
それを活かしたいだけなんだよ…!
すみません、遅くなりました…って
アルバートさん…、ストップして下さい!
ヒルハイドタワーの監視ありがとうございました…、グレイスさん。
【グレイス】
あっ、ジハイドさん…。
ご支援の程ありがとうございました…。お陰様で
俺なりの方法でヒルハイドタワーの内部事情が色々入って来ています。
さすがです。慎重に動いているから安心して任せられます…。
そうだ、せっかくですのでここの宿屋に泊まりませんか?
ほんの数時間ですけど、仕入れた内部事情も聴きたいですし…
ただ明日にはヒルハイドタワーに向かいますので、半日位になりますね…。
ジハイド所長、グレイスさんの事をもっと知りたいんですけど…
弟さんがいるんですね。多分"アイツ"と同一人物だろう…
教えてくれないか? 一体誰なんだ?
グレイスさんの弟は…、
クロスさんです…。
肉弾戦が好きな彼とは違い、頭脳戦の方が大好きなお方なんです。
ヒルハイドタワーに無理に入る必要無く、誰かを引き入れて
密かに内部事情を仕入れているとんでもない逸材なんです。
ちなみに誰を引き入れているんですか?
ブライドゼータの元所持者、ビラン…旋律の館に住んでいた音楽家の息子、ラディー…
木漏れ日の森奥にある小屋所持者、ロイジャス…
エディール様に資金援助しているティム・ティアラの父、ネシア…。そして…
ティーネの兄、エルディスだ…。それにしても本当に兄弟姉妹キャラが多いな…、覚えるのが大変だ…。
幹部、そしてエディール様の猛攻が向く前に対処出来て良かったよ…!
そうだったのか…。色々疑って済まなかったな!
俺達の為に必死に自分なりの方法で内部事情を手に入れていたなんて…
やるじゃん! あのエディール様から逃げ切れるなんて十分に強いじゃん。
臆病者じゃない、俺が保証してやる…!!
お前等、今日はグレイスを歓迎しようじゃないか。
さあ、宿屋に行こう。ジハイド所長、良いですよね!?
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