06話:クロスvsヴィルゼート!意外な結末!!
文字数 2,923文字
【クロス】
お前が心配だから来てやったのに、そんな言い草はなくねえか。
お前に助けを求めたつもりはない!
帰れ!! 俺一人で十分だ…!!
その身体で何を言ってる? 強がりを言うな!
お前だって一人で勝てる相手ではない事、分かっているだろ?
悔しいんだよ…!
俺のミスは俺自身で取り返す! そう決めたんだ…。
俺はお前の本心が聞きたいんだ!
しっかりしろよ、ルドス!! 刻一刻と奴等は動き始めているんだ…。
ブライドゼータ、そしてユメと記憶の断片、全て守りたい!
それとお前に託された"例の件"だって…。
た、た…助けてくれないか?
その言葉を待ってたよ!
もちろんだ…。俺はその為にここまでやって来たんだ!
その時、3Fラボの扉からコツコツと音を立てて
クロス・ルドスの元にグラスがニヤリとした顔つきでやって来る。
おやおや、ルドスさん…。タフですね…!
ヴィルゼート様のスキル、私のパンチを真面に喰らってもなかなか倒れないなんて…
くだらん!! 早く降参して、この研究所から立ち去れ!!
所詮ブライドゼータ、ユメ、記憶の断片なんて取り戻すことなど出来ねえ…。
何だお前、外部者なら立ち去れ!
お前のような奴が出る幕ではない!!
ふん…外部者か…。俺は関係者だ!
ブライドゼータを盗む? いや、違うね…。正しく言うなら…
ブライドゼータを "取り返せ"…だ、グラス!!
この俺がルドスに指示したからな、その一件を。
お前を "ビアンラボ" に連行する! ヴィルゼートがダメでもお前なら…!
ビアンラボとは…
この大陸「クロスウッド」を管理する施設。ルドスとクロスはまさにこの施設のスタッフ的な存在。
まさにクロスが"ブライドゼータを盗み出せ"ではなく"取り返せ"とルドスに指示したのが彼。
悪いけど、ミフィールという研究員はもう既に避難して貰って
ビアンラボで取り調べを受けて貰う事になりました!
クロスは拳を一瞬で膨張させ、計り知れないパワーで殴り、
ラボの遠くに見える倉庫まで吹き飛ばされてしまう。
ウッ…、グハッ! 痛てぇじゃないか!!
な、なんだあのパワーは…。
グレイザー様に仕込まれたパンチの数倍の威力があったぞ!!
まさか、お前スキルの持ち主だな…!
ご名答。俺のスキルは
"膨張"。
一定の時間だけ身体の部位を大きくさせることが可能なんだ!
だからお前を阻止しようと拳を肥大化させたという事だ。分かったか、グラス…。
くだらん! だからどうした…。
勝ったつもりでいるのか…? だったらそれは間違っているぞ!!
ですよね、ヴィルゼート様…。
その時、3Fラボの扉がプシューと音を立てながら開き
ゆっくりと薄気味悪い笑いをしながらヴィルゼートが彼らの元にやって来る。
きちんとやれよ! それでも俺たちの協力者ですか?
返事をしろよ!!!!
グラスさん、色々とご苦労様でした。
もう協力者ではないので何処へでも自由に行っていいですよ…。
こう見えて心優しいんでね…。
ただボスがこの事態をどう受け止めるかだけは気を付けて下さいね。
グラスは悔しそうにヴィルゼートに深くお辞儀をし、落ち込みながら
自分の研究室に戻ろうと後ろを向いて階段の方に向かおうとすると、ニヤリと彼が笑い出す…。
この俺が、そう簡単にお前を解放すると思ってるのか…。(小声)
ヴィルゼートは物凄いスピードでグラスに近付き、何かスキルを唱え始めようとするが…
クロスはそれを阻止する為、彼に立ち向かい始める。
クロスは今にも攻撃を食らいそうなグラスを振り払い、ヴィルゼートの前に立ちはだかる。
急いでスキル"膨張"を用意し防御する。
ヴィルゼート、お前の相手はこの俺だ!!
グラス、退いてろ!!
ルドス、ここは俺に任せろ!!
お前は3Fラボに入り、ブライドゼータ、ユメ、記憶の断片を取り戻して来い!!
それと、ヴィルゼートに言って置くが
もう既にこのグライド研究所は我等ビアンラボの優秀なスタッフが制圧していますよ…。
****
グライド研究所、1階。
ここで働く開発部の職員、研究員を中心にクロスと共にやって来た
ビアンラボの優秀なスタッフが彼等を取り押さえている。
く、くそっ!
何で俺が捕まらないといけないんだよ!!
それと…。確かミフィールだったな…。
お前もヴィルゼートの協力者だったんだよな…。
いいえ…。私はとある人に雇われてその指示で
ユメの記憶の断片をとある場所から盗みました…。
そうか。その詳しい話はビアンラボで聞かせて貰うぞ!!
****
3Fラボ。クロスがヴィルゼートの猛攻を食い止めている中、ルドスが中に入って
ブライドゼータ、ユメ、そして記憶の断片を探し始める。
く、苦しい…。ここから見える装置の中に…。それと
この装置にブライドゼータ、記憶の断片もあります…。
とある装置を見つけるルドス。
この機械にはそれぞれ3つ何かを入れるスペースがあり、
そこにブライドゼータ、ユメ、記憶の断片が収まっていると確信する。
そして上の電子版には50%の文字が表示されている。
ルドスさん! 私に見せてくれたパンチでこの装置壊して下さい!!
意外にこの機械脆いと思いますよ…。
装置の制御盤をルドスの剛腕でぶっ壊す。
電子版の数値のカウントは停止し、3つのスペースから
ブライドゼータ、ユメ、そして記憶の断片が出てきて、無事に取り返す事に成功した。
こ、怖かったです…!
記憶の断片を取り戻してくれてありがとうございます。
ルドスさんも無事にブライドゼータ取り戻せてよかったですね…!
お前が無事で良かった。ようやくブライドゼータが返ってきたよ…。
でもユメのスキルがなければここに辿り着かなかった可能性もある。感謝するぞ!!
最終的には捕まっちゃいましたけど、
そう言ってくれるだけでも嬉しいです…!
無事に全て取り戻したルドスは3Fラボから出てくると、そこには
争った形跡はあるが、クロスとヴィルゼートの姿がない。どういう事? と疑問に思うルドス…。
けれどもクロスがヴィルゼートの手によってヒルハイドタワーに
連れて行かれている事なんてまだ彼には知る由もない。
俺に喧嘩を売った罰をきちんとしてやるから、覚悟しろよ!
(む、無念…。ルドス…お前だけは無事でいてくれ!!)
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)