29話:ビアンラボ危機一髪!消滅へのカウントダウン!!
文字数 4,737文字
空中要塞「クロスピア」3F、研究室。
何とかユメのスキルを駆使しながらも辿り着き、シャウトシグマを目の当たりにしようと
した瞬間、タイミングを見計らったかのようにブリジスとキルディーが現れた。もちろんそこには
エバスの姿もあり、彼の指示にてスキル「星」で拘束し始める。
レサリアさん…、貴方ここで何をしているんですか?
何で大人しく掴まってくれないんですか…。私は貴方に言った筈です…
"私に恥をかかせないで下さい" と…。
貴方何回目ですか? 逆らってばっかりですよね…。
エバス様は間違っています…。
ビアンラボの消滅なんて止めて下さい!!
間違いを正す為だったら、心を鬼にして貴方の計画を阻止します…。
よくそんな面(つら)下げて言えるな…
貴方今の状況分かっているんですか…?
捕まっていますよね…。それと私に口答えした罰を与えます。貴方達も同罪ですよ…
ブリジスさん、彼等に罰を与えてやりなさい。
そうですね…、もがき苦しむ程度で良いですよ…。
ブリジスのスキル「星」のパワーは徐々に上昇し、
彼等を拘束している星状のリングは更に強さを増して苦痛を与えていく。
女性達、リリカルラビットにも容赦なく発動し、苦しんでいる光景を見るが、何とも思わない3人…。
く、苦しい…。
ぶ、ブリジスさん、何で!?
私達、友達って言ってくれたじゃん…! 忘れたのー?
ブリジスさん…、俺を利用して何をしようとしてたんですか?
今の貴方を見てると信じられなくなって来た…。
ああ、そうだ…。
ライトは知らないと思うけど、お前の父さんはリリカルラビットの情報・資料を
保持する元クロスピア所長…。あの時はまだエバス様が彼の補佐を務めていましたよね?
そうでしたね…
エディール様が来た時、私が代理として受け答えしただけです…
もしリオルドさんが対応していれば、私はこんな風になっていません…。
ただ、私もリオルドとは話がしたかったんですよ…
このクロスピアにある "とあるシステム" を使いたくて…。
皆さん、コントロールルームに来て下さい…
私が何故ブリジスさんにライトの監視をさせたか教えてあげましょう…
****
ここはシチェール大草原、休憩スペース。
意識不明状態のクロスを助けたシドルフの元に、ビアンラボの所長であるジハイド、
そしてその部下を連れて何とか助け出す事に成功。
君がクロスさんを助けてくれたんですね…。
普通血を見ると怖がりますが、それも物ともせずに綺麗に拭き取るなんて
なかなか出来るものじゃないです。俺はジハイド…。是非名前を聞かせてくれないか?
はい。俺の名前はシドルフです。宜しくお願いします!
シドルフか…。宜しくな!
ちなみに君はこの大陸を冒険しているのか?
それとも何か成し遂げたい事でもあるのか?
ビアンラボの所長として、聞いてみたいぞ…。
ジハイドさん、聞いてくれ…。彼は元スキル所持者なんだ。
所持していたスキルは幹部「マイティーダーク」のグレイザーが持つ「枯渇」…。
だとしたら、シドルフさん…。あっ、駄目だ…。
クロスさん、現在ビアンラボに向けてクロスピアが徐々に高度を降ろしている。
このままだとビアンラボは倒壊し、クロスウッドのバランスが崩壊する…。
どうすればいいのだ? 成す術なしだ…。
おい、ジハイド。
俺達が何とかしてやる!! 久しぶりだな…。
無事にヒルハイドタワーの監禁施設から出られたんですね!
お久しぶりです、ライオットさん!!
そうだな…、ジハイド。
お前にちょっとしたサプライズだ…。来てくれ!!
ビアンラボの所長「ジハイド」は久しぶりにヒルハイドタワーの所長である
ライオットと久しぶりに再会出来て嬉しそうな様子。そしてライオットからのサプライズは
ヴィルゼート以外の幹部「マイティーダーク」メンバー大集合。まさかこんな場所にいるとは
思ってなく、驚いている…。
お前がビアンラボの所長「ジハイド」だな…!!
話は聞いた。相当頭が冴え渡るんだろ? 俺はそういう奴が嫌いだ…。
だが、今はそんな事言ってられない…。
ユズキを助ける。たった一人の妹なんだ…
いくら俺が幹部のメンバーだとしても、見捨てる事が出来ない。
あいつも助けに来てくれるのを待っている筈だ。
兄としての自覚なんだ…、分かってくれ…。
グレイザー様…、良いんですか?
あの空中要塞「クロスピア」の計画はエディール様が企てた物です。という事は…
私達の計画に少なからず影響が出て、ボスに反抗する事になります…。
それでもいいのですか?
俺が責任を取る!!
ユズキの兄だからな…。それで良いんだ…
さすがグレイザーだ。お前らしいぜ!
ちなみにあそこにはどうやって行くんだ?
…………。
グレイザー様、きちんと考えてから発言してくれ!
しかしながらクロスピアにグレイザー達を行かせないように
シチェール大草原にブルとナギ、そしてゼロシードの3人が彼等の前に立ち尽くす…。
グレイザー、ノルドイド、そしてディゼール…。
エディール様の指示が下された。「失敗続きのグレイザー達の更生」
ブライドゼータを振った時のお前はカッコ良かったのに…、残念だ。
何やってるんだ、お前等?
エディール様が怒ってるぞ…。
ただでさえ、リオルドを自滅させた責任は重いって言ってた…
何だ、ブル…。
俺を誰だと思ってるんだ? 歯向かうなら枯らすぞ…!
俺等はエディール様に認められて動いているのを忘れたのか?
だったら俺含むこの3人にその実力を見せてくれ…。
もうグレイザー、そしてお前達の事を信用してないんだ…
お前等の代わりにゼロシードが新たな幹部候補とエディール様が言ってるんだよ。
さてと、まずは…ブル。
お前に魔法の呪文を唱えないとな…。
エディール様がお前の愛犬を殺した…
…………。
デキソコナインダヨナアー。ダッタラコウセイシテヤルカラカカッテコイヨ!!!
仕方ないな…。
俺はゼロシード、ディゼールはブル、ノルドイドはナギを頼む。
こいつ等に俺等の実力を見せ付けてやれ!!
グレイザー、ユズキは俺等に任せてくれ!
お前とは敵だけど、妹は大切なんだろ?
だったら必ず連れて帰って来てやる。約束だ!!
事態は分かりました。
皆様とは敵ですけど、グレイザーさんが妹を助けたい気持ち伝わりました。
ビアンラボの所長として必ず妹を連れ戻します。それが役目です…
そんな事ぐらい分かってるさ!!
ジハイド、まずはクロスをビアンラボに連れて行くぞ…。
****
空中要塞「クロスピア」。
指揮官であるエバスに見つかり、連れて行かれた場所は2Fの奥にあるコントロールルーム。
元々は麓町「オークステリア」の郊外にある施設で
元所長のリオルドが何かあった時の為に作った部屋でもある。
どうですか…?
ビアンラボ到達まで後どれぐらいですか…。
到達まで後30分です。少しずつ高度を降ろしています…。
ちゃんとエバス様の計画通りの手筈となっております。
ありがとう…。
例のシステムを出してくれ。ライトさんを連れて来ました…
コントロールルームの運転席に着席しているエバス様の忠実な部下が
タッチパネルを操作し、とあるシステムを起動する画面が表示される。
エバス様!
例のシステム画面を表示しました。これから自動運転モードに切り替えて
ここを脱出させて貰います。"例の場所" で待っています!!
コントロールルームを退出する二人の部下。
そしてブリジスの星状のリングに締め付けられているライトが
エバスの指示通りにモニター画面に連れて行かれる。
さあ、ライト…、ここに表示されている指紋機能のシステムにタッチしなさい。
リオルドさんが勝手に設定してくれたんですよ…。
そう、レサリアさんが私を逆らった理由…、
エディール様とのやり取りを扉の隙間から見ていて
それを当時所長を務めていたリオルドさんに言いふらしたからです。
このクロスピアに何かあった時の為にこのコントロールルームを設立、そして
とあるシステムを投入したみたいですけど、余計な構築をしてしまって困っている所、
ボスの口から彼には"ライト"という一人息子がいると聞かされ、
ブリジスさんに頼んだんです…
嫌だとは言わせませんよ…ね?
逆らったらライトさんも窓から落ちて血まみれになるだけです…
それでも良いなら、足掻いても構いません…
う、うぅ…。わ、分かった…。
押せばいいんだな!!!
ライトは何が起きるか分からない状況下で、彼の指示通りに
ビクビク怯えながらタッチパネルに表示されている指紋認証に、彼の指紋を押し付ける。
そして、ニヤリと微笑むエバスとコントロールルームに響く嫌なアナウンスは
ゼシア達を恐怖へと導き始める。
[アナウンス]
認証成功。爆破装置を起動致します。
クロスピア爆発、そしてビアンラボ到達まで残り25分です…。
え、えっ…爆発!?
ここ上空だよね…! 逃げる場所ないじゃん!
どうするのー。 ライトくん止める方法ないの? 助けてよー。
お願いだよー。死にたくないよー!!
こんな時、ルドスさんがいれば、貴方達なんてやっつけてくれるのにっ!!
ルドス…!?
ちょっと待て…。おいブリジス、キルディー。
大部屋にいなかったぞ…、どうなってるんだ?
ま、まさかライトとオルーム以外にも逃げ出した奴がいたとは…
す、すみません…。全く気付きませんでした。
何やってるんだ、貴方達…。必ず見つけ出して
ブリジスさんは「星」キルディーさんは「砂塵」で痛め付けてやれ…
時は待ってくれないぞ…!!
当の今までルドスが居なかった事に気付き、ちょっと動揺を隠せずにいるエバス。
早急な対応を始めるブリジスとキルディーはクロスピアが爆破する
10分前までに見つけ出そうと努力し始める事に…
(困りましたね…。ルドスさんが居なくなったのは不覚です…。
例の "彼" が動き出してしまいますね…。何しろ彼はルドスの…)
****
ここは3F研究室。
開けっ放しのロッカーに収められているシャウトシグマを手に持って眺めている彼が誰かを待っている。
そしてクロスピアに到着して速攻隙をついて逃げ出したルドスが迷いながらも辿り着く。
遅かったな、ルドス…。
お前が来るの待っていた!!
ブライドゼータがない今、お前がこれを持つ資格がある…。だろ?
ジルバ兄さん…!!
やっと会えた…。こんな不甲斐ない俺で情けないよ…
ブライドゼータは盗られる、グレイザーにはしてやられる…。俺はまだまだ弱いんだ…!
【ジルバ】
確かにお前は先走りする癖がある…。
だけど、強さを求めるならどんな覚悟も背負わないといけないんじゃないかな?
盗られるのはらしくないけど、負けてからこそ強さに変えるいいチャンスなんだ…
ほら、くよくよするな…。まだいくらでもチャンスは取り返せる!
エバスの事だ。大部屋に皆を集結させるつもりだ…。彼は俺に任せてくれ!
止める策がある。ただ、唯一の心配は…
やはりここか…。えっ、じ、ジルバ…!!
逃げ出したのか、あの部屋から。ほ、星になって貰うからな…!!
キルディー、こいつには気を付けろ…
ああ…。分かってる!
俺達の脅威になりかねない。ブリジスさん、早急に対応しましょう!!
ブライドゼータより遥かに重みがあるシャウトシグマをルドスに投げ、空中でキャッチ。
そのまま床に突き刺し、ブリジス達を睨む。
さあ、ルドス…。
大部屋にいるエバスの元に向かうぞ!!!
準備はいいか!?
ああ、良いぜ…!
こいつ等にシャウトシグマの威力を思い知らせてやる。
まだ使った事ないけどな…。
その意気だ…。
さあ、始めよう!!
形勢逆転という名の劇を!!!
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