38話:オルームとエディール!シャランアゾール崩壊!!
文字数 3,724文字
解き放たれた暗殺者オルーム…。
素早い上に、圧倒的な力を誇っているせいか、
ブリジス達はクオーツリミテッドの壊滅と共に屋上から崩れ落ちてしまう。
非情な顔付きでシャランアゾールで住民を無差別に殺し始め、一つの家の前に辿り着く。
そこに隠れていたのはさっきまで一緒にいたユズキ…。
うわーっ! み、見つかっちゃった…。
こ、怖いですよー。オルームさん、止めて下さいっ!
ギャーギャー喚くな…。
そんな可愛い声出しても無駄だ…。お前、ビアンラボのスタッフだろ?
だとしたら僕に殺される運命だと言う事知っているのに、知らんぷりか…。
貴方なんか嫌いですっ!
オルームさんの事、信じていたんですよー!
お前今何て言った?
聞こえなかったな…。悪いな、耳が遠くて…!!
オルームの怒号と共に自宅の窓を素手で割り、ユズキに脅しを掛ける。
割った右手から流れ出た血を拭おうともせず、そのまま冷酷な目付きで彼女の元へ迫る。
僕の事嫌いって言ったよね? なのに来ないでって言うのは可笑しいんじゃないか…?
馬鹿にした報いしてやるから、目瞑れよ…!!
数秒で終わるからさ…。ほら…!!
お、オルームさんなんか…
お兄ちゃんがいれば一発で倒してくれるんだからねっ!!
残念だったな…、グレイザーは闇の底に落ちた…。
彼はエディール様、そして皇帝のお墨付き…!
絶対に切り捨てる事が出来ない逸材だ。もちろん僕も慕っている…
奴の枯渇は綺麗だ…、俺が保証する。
長話は嫌いなんだ…。時間だ!
僕で良かったら最期に言い残す事があれば聞いてやるぞ…。
お、オルーム…。ゆ、許さない…!!
女の子を傷付けるなんて…。
クオーツリミテッドの屋上から身動きが全く取れなかったブリジス…。
彼は意地でも足を引きずりながらオルームの暴行を阻止しようと来るが、
逆に返り討ちにされてしまい、着ている服が破れてしまう。
ブリジス…、邪魔すんなよ!!
お前、自分で強いと言ってるそうだな…。
僕からしたらお前なんか弱いんだよ…! だって立場が違うんだからな…
格の違いを見せ付けてやるから、よく見とけよ!!
見えない
"何か" がブリジスの洋服を容赦なく破って行き、
その痛みが身体にも伝わり、じわりじわりと大ダメージを与えていく。
ぐっ…。や、止めろ…!
い、痛い…。これで気が済んだか?
もうこれ以上、ユズキを襲うのは止めろ…。
ダメージを喰らっているのにも関わらず、平然な態度で対応する。
明らかに苦しそうな顔付きをしているけど、女性を傷付けようとしているオルームを許せないでいる。
ぶ、ブリジスさんっ!!
に、逃げて下さい…。オルームさんは私を殺そうとしているんですっ!!
お兄ちゃんに会えなくなるのは嫌だけど、彼の狙いは私です。
こ、怖くなんて無いんだからっ…
大粒の涙を流しながら覚悟を決めるユズキ…
兄であるグレイザーも今はエディールの手によって
闇の底に落ちて幹部に戻ってしまったが、かけがえのない家族。
ふーん。威勢がいいな…。
だったらお前のお望み通り殺してやる…!
今更悔やんでも遅いからな…!! ようやく女の血が見られるな…。
スキル「断割」の攻撃がユズキに当たろうとした直前、
オルームの周辺に砂煙が起き始め、彼が繰り出した技は無効となり、当たらずに済んだ模様…。
しかしながら、何事も無かったかのように無傷で現れる。
お前だな、キルディー。
スキル「砂塵」。服が汚れたじゃないか…。
どう責任取ってくれるんだ?
(だ、駄目か…。俺のスキルでも
オルームには対抗出来ない。どうすればいいんだ!?)
話聞けよ…。スキルを使っても僕には敵わないと思ったのか?
言っただろ? 格の違いを見せ付けてやるって…
聞いたぞ。お前等エバス様に逆らった事。
そのままビアンラボ崩壊させていれば、僕の傘下になれたのになあ…。
悪魔だな…、お前。
殲滅する上に、ユズキまで手を出した。
それと家族であったライトとリオルドにまで攻撃を…。
どんな事したら、そこまで非情になれるんだ?
エディール様のお陰なんだ…。
こう見えて僕は両親から虐待を受けていた。
両親を好きになった事なんか一度もない。憎しみしか残らなかったな…
そんな時、彼が現れて僕の目の前で闇に落として亡くなっていった…。
良い気味だったなあ…!!
そうでしたね…、オルームさん。殲滅の方は順調ですか?
薄気味悪い雰囲気に包まれ、突如として周辺に暗雲が立ち込め
その中からエディールが皆の前に姿を現し始める。
エディール様…、殲滅は順調だ!
リオルドは大量出血、ライトは骨折…。次はユズキです…
どういう殺し方をすればいいんだ?
オルーム、もっと手っ取り早い方法で片付けましょう…。
ここにはリリカルラビット、記憶の断片、シャウトシグマはありません…
でしたら、この街を破壊するのはどうだ…?
そうか。壊せばいいんだな…。
この街の住民は僕が全滅させた…
後はお前等だけだからな…! エディール様の意見に賛同する。
有難いですね、オルームさん。もう変更はしません…
さあ、後5分差し上げます。その間に逃げるんだったらどうぞ…
ただ、逃げる先がどのようになっているかどうかは保証しません…、
それだけは言って置きます。
遅くなりながらもクオーツリミテッドの屋上から落下して
足を負傷してしまったが、何とか痛みを堪えながらルドスの兄、ジルバがやって来る。
は、はぁ…。い、痛てぇ…。
エディール、それはどういう事だ?
貴方がルドスの兄、ジルバさんですか…。
よくオルームのスキルを二回程喰らったのに、立っていられますね…。
意外とタフなんですね…!
そんな事より、逃げる先が…。と言っていたけど
まだ何があるのか? はっきり言ったらどうだ…。
ああ…。僕はもちろんだが
他にもアンドルディシアのメンバーがいるんだ…。
その一人がビアンラボに向かっている最中だ…。
僕とは違う任務を課せられているけどな…!
早く行ったらどうなんだ?
どうせ僕とエディール様はどう足掻いても倒す事が出来ない…
そんな事目に見えている。ここは見逃してやる…! 早くユズキを連れていけ!!
大ダメージを喰らっているブリジスは痛みと戦いながらも
右手から皆が乗れるサイズの星を出し、キルディー、ユズキ…そして負傷中のリオルド、ライト。
その時、崩壊したクオーツリミテッドの瓦礫の中からデルシアも
やって来て、乗せて貰えるかブリジスに聞き始める。
す、済まない…。俺も乗っていいか?
し、静かに! 奴等まだ気付いていない…。
う、うっ…。で、デルシアか…。
お、お前何でここに…!! てっきり逃げたのかと…。
俺は逃げないさ…。
ほら、お前が大事にしていた資料持って来たぞ…!
ブリジスって言ったな…。ビアンラボに急いでくれ!!!
皆を乗せた星はシャランアゾールを飛び出し、物凄い勢いでビアンラボに向けてスピードを上げていく。
それを見送るように彼等二人が残り、周りにはオルームが殺した遺体だらけ。
ここは様々なお店やギルド、ドロアが勤めていたBAR「ラブリーデイ」があり、
盛り上がりを見せていた街。しかしながら今日を持って見納め…。
はい…。本当にこの街を破壊するんだよな?
ここは幹部のブルが生まれ育った街だぞ。沢山の犬に囲まれて生活をしていると聞いた。
それでも良いんですよね…。
良いんですよ…。
最近のブルさんはちょっと挙動不審でしてね…。
また犬を殺したと言えば、彼の闇も更に深くなるでしょう…
分かりました。じゃあエディール様もお付き合いお願いします!!
そうだ…。オルームも良いオーラじゃないか…。
さあ、後はこの街を壊す事だけ考えて下さい。
賑わいを見せていたこの場所も今日でおしまいだ…。
オルーム、エディールの闇のオーラが共鳴し合い
2人の強力過ぎるパワーから火花を出しながら、周辺の建物が次々と壊れて行き
跡形も無くなり、シャランアゾールがあった土地の地面に大きな穴が開いてしまう…。
これこそ本当に殲滅衝動。抑えきれない暗殺者オルームの劇はとりあえず幕を閉じる。
****
ここはシチェール大草原。
南にあるミナージュフォレストの木陰からビアンラボを見ている謎の影の確認出来る。
【ルディア】
あれがビアンラボか…。
確か所長の名前はジハイドだったな。
来い、ライオット…。お前の出番だ…!!
所長ジハイドとシャウトシグマを持つルドスの目を掻い潜り、
リリカルラビットの4匹…。名前はアルク、ユウマ、アル、ユメ。
その4匹を連れて来い!! もし誰かに見つかったら容赦なくぶち倒せ…。
これはエディール様、そしてアンドルディシア…皇帝からの依頼だ。
俺が必要な時は呼んでくれ…。もちろんやってくれるよな?
再びビアンラボに再び脅威が迫ろうとしている。
暗躍組織「アンドルディシア」のメンバー、名はルディア…。
オルームとは違ってそこまで非情ではないが、強そうな貫禄を持っている。
ライオットの脅威が、今まさに牙を剥こうとしていた…。
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