81話:エバスの豪邸の全貌!見え隠れするローウェンの企み!!
文字数 3,449文字
【前回のあらすじ】
海産業会社クランチャードの1幕。
大陸「クロスウッド」では知らない人は居ないほどの有名なギタリストで
ノルドイドの弟、レックスがまるで流しのように所長室にいるフロスト、グリアの前で
演奏する姿は天下一品。さすがにこれだけの技術を身に着けるまでかなりの時間を掛けたに違いない……
研究室のリーダーであるリュートもまた、ヴィルゼートの弟。
このストーリーは何故そこまで ″家族″ や ″友達″ が悪に染まってしまうのか、全て皇帝の思惑通り。
それを境に突如として古城にいるタナトスを助けたい友達、ブラスト……そして
ヒョードと共にビアンラボから姿を消したゼシアが
皆を裏切るような上から目線で当社の職員を罵る。
そんな中、ヒルハイドタワーに向かおうとしていたブリジスの弟、グリア。
フロストの苦渋の判断により、所長室の窓ガラスに向けて彼を投げ、何とか海に落下させる事に成功。
****
海産業会社「クランチャード」所長室の窓から見える海に見事に着水したグリア。
突然の出来事だった為、フロストの破天荒な行動に戸惑いを隠せずにいた……
ふーっ。な、何とか下が海で良かった……
それにしてもフロストさん、無茶し過ぎですよー!
でも、彼の努力を無駄にしちゃダメだよねっ!
えっと…、確かヒルハイドタワーだったよね。
それにしても、タナトスさん……
僕のスキル知りたがっていたけど、何が目的だったんだろー。
多分、何か言いたかった事他にもあったんだよね。気になるなー!
早く服乾かして行かないとー。
****
時は同じ頃、ここはヴィバールの一等地――。
元スカラダークの首領であるエバスがここの豪邸に住んでいる事が判明して以来、
彼の護衛としてチーム「カインドフォース」のメンバーである
エンディアとハディーサの2人がぎっちりとガードしている。
エンディアさん、ハディーサさん。
ここまでご苦労様でした。ここが私の自宅です……
もし良かったら、ほんの少しだけお茶飲んでいきませんか?
えっ、こ、これがエバスさんのお宅なのか……?
圧倒的存在。俺の家の数倍の敷地誇っているじゃないか……!!
エンディア、お前の意見聞かせてくれ。
感動している……!!!
こんな家に巡り合えたのも何かの縁だ。ハディーサ、お茶飲んで行くぞ。
こういう豪邸のお茶は高級茶葉を使ってるに違いない。いいな?
もちろん。せっかくのエバスさんのお言葉を断る訳にはいかない……
男として彼の丁重なおもてなしを無駄にする事なんて出来ないからな。
そして、お茶飲み終わったら
俺のキレッキレの裸体をここのプールでキンキンと……
ちぇっ、つまんないな。ここは空気読んでくれよ……。
ここはちゃんとエバスさんの許可を得てから
入らないと怒られますよ。もう、エンディア様。ちゃんと謝って下さい……
ああ…、確かにな……。
色々と羽目を外しすぎた。済まなかったな……
全然大丈夫ですよ。エンディアさんガタいが凄いので
一度その逞しい身体を拝見したかったです。お茶飲み終わったら是非とも
プールに入って下さい。今までの疲労を分散させて下さいね……
あ、そうだ。私の家内と執事を紹介しますので是非とも中に入って下さい……
ここは道場じゃないぞ。さっきからエンディア様羽目外し過ぎだし。
確かにこの豪邸を見たら、驚きを隠せないのは分かるけど……
お2人って楽しい方なんですね……
もっと早く知り合いたかったです。では、中へお入りください。
ガチャンッ と玄関の大きな扉を開けて
2人が通された部屋は、客人が最初に踏み入れる空間である大広間。
2階に続く階段付近の壁には当主であるエバスの肖像画、そして赤い絨毯が敷き詰められている。
凄すぎる。ってかシャンデリアまであるじゃん……
俺の予想だけど、物の1つ1つに掛けている
お金のレベルが違い過ぎるんだが、気のせいか?
俺から言わせたらグレートだ!
要するに良い物を揃えるんじゃなくて、自分が良い家庭環境を整える為に
その場の雰囲気に合わせた物を細部まで施しているんだ。これは良い豪邸だぜ……
ああ。見てくれましたか。
あの肖像画はロイジャスさんが描いてくれたんです。
私をここまで忠実に再現してくれるなんて、凄い絵描きを見つけました。
【???】
あら。せめて帰って来る際はいつも連絡して下さいって言ってるでしょ。
貴方達が私の主人を? どうもご親切にありがとうございます。ほら、貴方も言うのよ!
エンディアさん、ハディーサさん、ありがとうござ……
ちょっと貴方、感情が籠ってないわよ!
ほら、もう一回やって下さい……
ああ……、エンディアさん、ハディーサさん。
この度は心から感謝致します。それと色々迷惑掛けた事もお詫びさせて下さい……
男として当然の事をしたまでだ!!
なあ、ハディーサ!?
そうだな。こんな豪邸の主人だったなんて驚きだからな……
別に褒美はいらないぞ。守るのは義務だし、俺達はボランティアでやってる。
ちなみに困っている人を助けると言い出したのはエンディア様ですよ!
【?????】
へえー、凄いじゃん。困っている人を助ける……か。俺には出来ないけど
君達がボランティアでやってるんだったらクロスウッドは平和になる事間違い無しだな。
あ、自己紹介する事忘れてたよ……!!
大広間の存在感、階段付近の壁に飾られている主人エバスの肖像画に感銘を受けていると
左右の扉が同時に開き、久しぶりに帰って来た彼の元に男性、女性1名ずつ現れた。
もちろん護衛に就いていたエンディア、ハディーサにも
分かるように自己紹介を始めていく。
【ニリア】
本日は主人の付き人をしてくれて誠にありがとうございます。
改めて自己紹介するわ。私の名前はニリア、主人の家内よ。宜しくね!
【ローウェン】
そして、俺がここのバトラーを務めているローウェンだ。
バトラーって言うのは
執事で主に
このお宅や使用人の管理、洋服の準備、食事の給仕を筆頭にやらさせて貰っている。
お手伝いとはまた違うけど、少なからず教養が無いとなれないんだぜ。
ガッチリとした胸板、服から見える腹筋と上腕二頭筋、三頭筋……
こんな体型になるまでトレーニングと食事は徹底していた筈。
炭水化物は食べずにたんぱく質、言わばプロテインをかかさず
摂取していた効果が出てます。後でお茶と共に、豆腐や大豆、鶏のささみ入りの
サラダを提供するようにとシェフの方にお伝えさせて頂きます。
俺の見解はどうでしたか?
お、いいねえ。
正解だ。お前、まさかトレーニングやった事あるのか?
いいえ、ありません……。
しかし、この豪邸に就く前はトレーニング一家のお宅でバトラーを
務めていましたので、そこで色々勉強させて貰いました。
どんな事も興味を持ち、情報として自分の脳裏に叩きこむ。それが俺のモットーです!
もちろん、ハディーサさんにも同じ料理を提供させて貰います。
エンディアさんみたいに全体的に肌を晒してはいませんけど、
首筋が一般男性より太い。それと大胸筋の内側がきちんと露わになっているので、
バランスよく鍛え上げている証拠です。どうですか? 間違っていたら済みません……
凄いじゃん。ほんの少しの情報からそこまで導き出すなんて
よほどここの使用人もお前の事重宝してるんだな……! 偉いぜ。
じゃあ、せっかく逞しいお方が来てくれたんです。
後は任せて、ローウェンさんはお2人にこの豪邸を案内してあげてくださる?
さっきの料理に関しては私からシェフに言って置くわ。
それと、貴方……。後でお話があります!
今度は逃げないで下さいね……!!
エバスの家内、ニルス。
そしてこの豪邸のバトラーを務めるローウェン。
要するに執事。何でもテキパキとこなし使用人にも重宝されている。
更に博識でイケメン。完璧主義者と思うけれど、実は彼には超が付く程の ″とある弱点″ がある。
ここでの職に就く前にトレーニングに纏わる知識を得た為、
マッチョに置ける食事知識を身に着ける事が出来た。
別の部屋に案内しようとする際、2人に見えないように何か小言でボソッ と呟き始める……。
(シルディート、何故連絡して来ないんだ……!? 大丈夫なのか?)
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