07話:セイラを助け出せ!最後を奏でる旋律!!
文字数 3,452文字
お願いします、アルさん。
ディゼールさんに記憶の断片を渡してください…。
じゃないとここにいるナギさん、ヒョードさん、ティアラさんも危険な目に遭うのよ…。
早くー! アルさん!!
ディゼールさんに渡してここから出ましょう!!
この人何か怖いですよー。
ティアラ、ヒョードはディゼールの怖さを知ってしまった為
否定的に考えてしまい、早く記憶の断片を渡して欲しいと促しているが、ナギだけは違う様子…。
おい、アル。
こんな物騒な輩にお前さんの私物を渡す必要はない!
そういう事なんて言うか知っていますか…?
泥棒って言うんです。ですよね、ディゼールさん…。
人の物だと知っていて盗むのを…泥棒と言うんですよ!!!
1度だけじゃなく2度までも…。
セイラさん! こいつ等を捕えなさい!!!
アルと記憶の断片は後回しです…
分かってますよね、貴方の立場…!?
そういう事なので、申し訳ございませんが…貴方達を拘束させて頂きます!!
うーん、状況は最悪ですね…。
アル、拙者が助けてやる。肩に乗ってくれ!
ここを脱出する。ヒョード、ティアラも続いて来て下さい!
ヒョード、ティアラ、そして記憶の断片を持つアルを
連れて館を抜け出すナギ。ディゼールは完全に悪者で、その協力者がセイラ。
彼等を敵とみなし、まずは旋律の館を抜け出す事を最優先にして、地下室へ続く今にも壊れそうな
階段を勢い昇り、寝室を抜け出す…。
逃げていることが
"無駄"です。所詮逃げられません…。
早く捕まえなさい、セイラ!!!
ふぅ…。分かりました。
もう協力者として必要ありません、今までご苦労様でした…。
じゃあ、何が出来る? 人を殺す事が出来るのか?
物を盗める事でも出来るのか?
所詮協力者になった所で何にも出来ない愚か者の一人です。
そんな奴、協力者になった所で使えないんですよ…。
何度もミスを犯したセイラはとうとう協力者をクビにさせられ、落ち込みながら
地下室の階段を昇り、寝室を後にするー。
****
アルを連れたナギ、ヒョード、ティアラは館外に出て、音楽家がこの館に残した旋律を聞いていた。
そんな中、館から出て来たセイラを見て「ふん!」と苛立ちを隠せずにいる。
セイラさん、貴方…。
あのディゼールという男性の知り合いだったんですね…。
同じ女性として拘束という言葉を無暗に使うのはどうかしています。
ちゃんと常識を弁えていたら、こういう事出来ません…。残念です…
どんな事を言われても仕方ない…協力者としての肩書は消えない
それでもクビにされたセイラはまず皆に謝罪しようと近付こうとすると
ディゼールがやって来て、先頭切って逃げたナギに向かってスキルを解き放とうとニヤリと微笑む。
(やはり、ボスの元に連れて行くには…多少致命傷でも与えないとな…)
ディゼールが解き放ったスキルは弾となり、ナギに向かって放たれるが
セイラは咄嗟に危ないと思い、手で防ぐが、
まるで思い切り火傷したみたいな跡が残り負傷してしまう。
い、痛いっ…!!
すみません、ナギさん…。こういう形でしか…!
ヒョード、其方の力でこの上着の生地部分を引き千切って、
彼女の手に巻き付けてあげてくれ…。それで少しは対処出来る筈。
どんな時もナギは冷静な対応が出来る存在。ただ
ナギ、そして記憶の断片を渡してくれないアルに対して、ディゼールの怒りは相当な様子。
困るんですよ…。
裏切り者は死。邪魔する奴も死。ああ…腹が立つ!!
現実世界から来た?
そんな得体の知れない奴は俺等幹部からしたら脅威になり兼ねない…。
芽は速く刈らないといけませんね…
女性を傷つけるなんて最低です。
其方それでも一度はセイラさんを協力者として認めたんじゃないのですか?
いや、セイラを協力者にしたのは我等幹部のボスです。
何故彼女を選んだのかは分かり兼ねません。
セイラの他にもいるんですよ…。協力者は…
残り一人…。
拙者は例え協力者がいたとしても、アルを助けると決めた。
誰が其方なんかに渡すものか!
なら、致命傷でも与えてボスに差し出してやる!!!
アル、お前もな!!!
決してナギの決意は曲げない。その決意はアルにも響き渡り
スキル「着火」に新たな技が生まれる。
ナギさん、退いて下さいっ!
もう怒りましたよー。私の本気見て下さい!!
アルはスキル「着火」の新たな技を発動すると、
ディゼールの四方八方にとんでもない火柱が立ち始め、ナギ達が見えなくなり彼も
負けじとスキルを発動するが、火は物じゃないので「破壊」は使えない…。
ヒョード、ティアラ、そしてセイラ…。今のうちに逃げましょう!!
四人は旋律の館を後にする。館に鳴り響いていた旋律は彼等のお別れを告げているように聞こえる中
ディゼールは火柱の真ん中で逃げる彼等に向かってこう叫ぶ。
くそっ!!!
絶対に逃がしはしませんよ…。そしてもがき苦しむがいい…
この一件はグレイザー様、そしてエディール様に伝えてやる!!!!
****
旋律の館から少し離れた場所にある三叉路にいるナギ達。
彼等を背にして真っ直ぐ行くとビアンラボ、南に行くと木漏れ日の森…。
だが現在木漏れ日の森が"死の森"になっている事なんて知る由もない中、
何処に向かうか迷っている様子。
早くヒルハイドタワーに行きたいんだけど…どっちに向かえば早いのかな?
ヒルハイドタワーに行ってはダメです!
今の貴方達には成す術ないです…。
拙者には土地勘が全く分からん。
指示してくれたら何処へでも向かう。それが拙者の答えだ。
えーっ、早くお兄ちゃんに会いたいけど…。
でも、無理にヒルハイドタワーに行って捕まるなら、
正解のルートを行くのが賢明な判断だな…。
なら、ビアンラボへ向かいましょう!
私の知り合いがいるんです。安心して大丈夫です!
ナギ達が今後の目的地を話していると、木漏れ日の森方向から
二人の女性と一人の男性、そしてリリカルラビットが2匹がやって来る。
あら、ルドスじゃない。無事にブライドゼータ取り戻せたのね!
それに貴方の使命もきちんと果たせていて、嬉しいわ。
ええ…。確かティムちゃん、ティーネちゃんで、
リリカルラビットがアルムとユメですよね…。
初めまして、皆さん! 私はセイラよ。
あら、ティム。今すぐ着替えなさい! 服装汚いわよ…。
ティアラさん、妹さんアルムを助ける為に頑張ったんですよ!!
お前等、ここで長話したらいつ幹部にバレるか分からない…。
とりあえず、ビアンラボへ向かうぞ!!
皆も一緒に来てほしい…。
無事に木漏れ日の森小屋チーム(ティム・ティーネ・アルム)
旋律の館チーム(ナギ・ヒョード・ティアラ)と合流出来たナギ。そう彼がグライド研究所で
話していた行かないといけなかった場所は彼等との合流。
そしてビアンラボへと向かい始める。
****
ここは旋律の館。
火柱が収まり、ナギ達を逃した事に苛立ちを隠せなくスキル「破壊」の
凄まじい威力で旋律の館を崩壊し始めた。
おらああああああああっ!!!(スキル暴発)
くそっ! くそっ!!! くそっ!!!
旋律の館はみるみるうちに破壊され、
瓦礫となり、周辺からは砂埃も舞い、近くにある樹木も倒れていく…
何だ、ヴィルゼート…。
こっちはイライラしてるんだ!!
こっちもユメとブライドゼータ…くっ!!
思い出すだけで腹立つが、それとは別にこいつを捕らえた!!!
その時、お互いが持つ連絡ツールが鳴り出す。
しかしながら現在ボスは……と疑問に思う中、
その本に書かれた二名の人物を見てクロスは驚愕してしまう。
(げっ…。レイディアとアージェス…だと。こいつ等には絶対に言えない…。)
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