14話:ブルとの再会!ミフィール・グラスとの合流!!(後編)
文字数 5,357文字
ユズキの突然の告白
幹部「マイティーダーク」のメンバーであるグレイザーの妹。
そして動揺を隠せないでいる男性陣と女性陣。
えっ…。ユズキちゃんの
お兄ちゃんって木漏れ日の森とデュードフォレストを
枯らしたグレイザー…様なんですかー?
えーっ…! 信じられないよー。
お兄ちゃんはいるって前聞いたけど、まさかあの方だったなんて…
お兄ちゃんを酷く言わないでよー。
入りたくてマイティーダークに入った訳じゃないと思ってるんだ。
その理由を知る、そしてお兄ちゃんを阻止したくてビアンラボに勤め始めたんだよー。
じゃあ、せめて俺達ビアンラボのスタッフには言うべきじゃなかったのか?
ユズキ、どうなんだ!?
そうだ。確かゼシアと言ったな!
どうした? お前何か知ってるのか…。言ってみろ!
これからゼシアが話そうとする事は
グレイザーとゼシアの関係。彼等は友達同士だが、それ以上に彼の過去に繋がる入口でもある。
それは幹部「マイティーダーク」へと誘われたきっかけにも繋がる。
まず、お詫びをしなければならないな…。
ユズキ…、元々は俺がマイティーダークのメンバー候補生だったんだ…。
その時はまだグレイザーは目を付けられていなかった。
えーっ! そうなんですかー。
ちょっとビックリです…!!
だが、候補生だけが集まる武者修行で全てが変わった…
ユズキ覚えてないか? 俺はその時お前と初めて会ったんだぜ!
そう、忘れもしないあの日…
****
そう…今から二か月前の出来事。
ゼシアが幹部「マイティーダーク」の候補生として武者修行の
最終日直前に行われたエディール主催の「ファイナルバトルオーディション」。
それはパンチやキック、まるで総合格闘技みたいな身体一つで勝ち上がっていき、Aブロックから
Dブロックの優勝者が幹部入り出来るというイベント。
もちろんゼシアもDブロックから出場する形だった。まだ幹部入りをしていない
ディゼール、ノルドイド、ヴィルゼートの姿も確認できる。
ここは建物内の薄暗い場所。
そこにはエディールとこの「リリカルラビットの冒険譚」のラスボスと思われる人と話している様子。
でも、いいのですか?
こんな形で幹部「マイティーダーク」を結成しても…。
時は待っていてくれませんよ、エディールさん。
リリカルラビットの正体を知る為に、貴方の協力が必要となります。
一人だと荷が重いでしょう。
もし幹部になれた人にはこの方からスキルをお渡しします。
来なさい、ゼルシードさん…。
はい。このような仮面を被っての会話をお許し下さい。
あまり表舞台には立ちたくないもので…。
ゼルシードはエディールの前に手を翳し、
スキル「???」と唱えながら仮面の目辺りを光らせ
彼の周りに禍々しそうな黒い煙を発生させた。スキル習得時に起きる現象の1つである。
なるほど…。それが貴方の力なのですね…!
重々承知しました。もうすぐ始まりますので私はこれにて失礼します…。
どんな時も冷静で大人な態度を取るエディールは、これから幹部を纏めるボスとしての任務に就く為
責任重大でもあるこのファイナルバトルオーディションを見届けなければならない。
そしてバトルオーディションは開幕し、次々に熱戦を繰り広げて
Aブロックの優勝者、ディゼール。
Bブロックの優勝者、ノルドイド。
Cブロックの優勝者、ヴィルゼート。
彼等は相当タフな存在で、身体を見ただけでヤバそうな風格を持っていた為、
対戦相手もこれは負けだな…。悔しいな…。と声を揃えていた。
【Bブロック優勝者/ノルドイド】
ふん。弱すぎる…。骨のないザコどもが…!!
お前等も優勝者か。初めましてだな、俺はノルドイドだ。宜しくな…。
【Aブロック優勝者/ディゼール】
初めまして、残り二名の優勝者の方…。
私はディゼールです。骨の無いザコなんて言わないように。
彼等も頑張ったんです…まあ私に敵う相手ではなかったという事ですよ。
【Cブロック優勝者/ヴィルゼート】
強いな俺…! 他の候補生もどうって事なかったぜ…!!
あ、名前はヴィルゼートだ。これから苦楽を共にするメンバー同士だ。
後もう一人誰が優勝するか、見届けようぜ…。
****
その時、まだ幹部入りも果たしていなく、普通の日々を過ごしていた兄グレイザーと妹のユズキは
ちょうどファイナルバトルオーディション会場近くの公園で二人で散歩をしていた。この頃はまだ
グレイザーも笑顔で振る舞っていた。
パシャッとカメラの撮影ボタンを押し、
公園の綺麗なお花畑の風景と共にお兄ちゃんの笑顔も一緒に撮影する事に成功するユズキ。
また俺の笑顔写真か!
何枚も持ってるんだからもう良いだろう…。
だって私の自慢のお兄ちゃんなんだもんっ!
何枚でも笑顔の写真は欲しいよー。
そうか…。自慢のお兄ちゃんか…!
じゃあ、お前の為にもっと頑張らないとな…。
****
その頃、ファイナルバトルオーディションもクライマックスに差し掛かっていて
ゼシアと最終相手と熱いバトルを繰り広げていたが、ゼシアの身体には物凄いダメージを負っている。
負いながらも幹部になりたいという気持ちが強く、一生懸命に立ち上がるが対戦相手は
ゼシアの腹部に物凄いキックをおみまいし、会場内、そして外にも聞こえるような悲鳴を上げる。
もちろん公園にいたグレイザーとユズキの元にも聞こえていた。
な、何だ…。この悲鳴…! ゼシアが何処かにいるのか!?
今日のアイツ、どこか変だったな…。"もう後戻りは出来ない" と言っていたな…。
グレイザーとユズキは二人でその会場に向かい、
まるで道場破りのように扉を物凄い勢いで開けると
そこには血を吐いて倒れているゼシアの姿が。
グ、グレイザー…!
お、お前ここに何しに来た?
俺は…あ、あいつに…勝たないといけないんだ…。
ゼシア…。血吐いているじゃないか!
もう無理をするな…。それに…お前が傷ついている姿は見たくない!!
その時、笑顔をしていたグレイザーの顔を思い切り踏む対戦相手。
その光景を間近で見たユズキにも戦慄が走る。
邪魔だ…。部外者なら消えろ!!!
笑顔だと…。ここにいる皆は死に物狂いで頑張っている。
そんな場所で笑顔なんてやられると困るんだよ!!
顔を踏んでいる足を掴み始めるグレイザー。友達であるゼシアを
傷つけた対戦相手を睨みつける彼の目は凶器へと変貌を遂げていた。
おい!!!
足を離せ…。ゼシアを傷付けたのはお前だな。
何の会場かは知らんが、お前だけは許さない…。
顔を踏んでいた足を手で掴んで離さずにいたグレイザーは、思い切り対戦相手を振り落とすかのように
物凄いパワーで地面に叩き付ける。そして笑顔を踏まれた恨みとして
両足を掴み振りまわしながら、バックドロップ的な技を繰り出し
対戦相手を見事にノックダウンさせた。
その様子を見ていた優勝者3人【ディゼール/ノルドイド/ヴィルゼート】、そして
ラスボス、ゼルシード。そしてエディールもまた然り…。
へぇ、彼なかなかやりますね…。
確か、グレイザーって言ってましたね。
俺アイツ気に入ったぜ。
俺達のメンバーにはかかせない存在だ…。ですよね、ノルドイドさん?
ふん。どうでもいい…。
でも勝手に入って来た人を優勝させるのもどうかと思うぞ!
ここは主催したエディール様に聞いてみないと…
突然乱入してきたグレイザーの勝利で終わったDブロック。要するに優勝者はグレイザーになるが
彼にはここが何の会場かも分かっていなく、彼は傷付いたゼシアを抱え会場を後にしようと
思ったが、ここの大会の主催者エディールがグレイザーに近付き始める。
部外者が勝手に入ってしまうのは困るんですよ…
まあ仕方ないですね。これでも貴方は優勝者ですから
もう二度と笑顔が出来ないように…
幹部の一員になってもらうぞ…!!! 恨むなら自分の身勝手な行為に…
こいつ只者じゃない! と察したグレイザーはゼシアをユズキに渡し、妹にこう伝えた。
ゼシアを連れてシャランアゾールに行け!! 看病任せたぞ…!!
笑顔を見て一安心したユズキはゼシアを連れて全速力でシャランアゾールに向かい始める。
そして会場内ではエディールがグレイザーに向かって謎の力を解き放していた。
お前の笑顔はこれまでだ…。笑顔が出来ない身体にしてやろう…!
目覚めなさい、グレイザー!!!
今日から貴方は幹部「マイティーダーク」の一員です…。
そして非情になりなさい…。
もう既に計画は始まっている。私の名はエディール。お前等を束ねるボスだ…!!!
はい…、エディール様…。俺の名はグレイザー。
幹部「マイティーダーク」のメンバーだ! お前等、宜しくな。
【幹部(ノルドイド/ディゼール/ヴィルゼート)】
こちらこそ…。
それ以降、グレイザーは幹部として動き始めていてユズキとは疎遠状態が続いてしまった。
そしてあの時以来、笑顔も彼自身で封印する事に…。
****
再び舞台はシャランアゾールへ。
グレイザーの過去を知った男性陣・女性陣は「妹思いなんだね!」と感心をして
少しずつ彼における心境が変わり始めていた。
森を枯らしたのはやってはいけない事、
けれども彼のユズキちゃんに対する気持ちはきっと本物よ。
ユズキちゃんの想いがもっと伝わったらグレイザーさんも心入れ替えるはずよ。
うん。お兄ちゃんがやっている事は間違ってるっ!
皆で協力してお兄ちゃんと幹部さん達がやっている計画を阻止しようねっー!!
その時、フフフと薄気味悪い声を出しながら
シャランアゾールでグレイザーの過去について話をしていた男性陣と女性陣の元にエディールが遂に
姿を現した。彼は一体ここに何の様子を見に来たのか…。
それはこの物語の序盤戦の終わりを告げる終了ベルみたいな物。
そして悟られないようにブルと後誰かにアイコンタクトを送り始める。
皆さん、ごきげんよう…。
ティムさん、ティーネさん、そしてアルムくんの御三方はお久しぶりです。
他の皆様はお初にお目にかかります…。
あっ、あの時の…。確かエディールさん…でしたよね?
な、何しに来たんですかー。アルムは渡しませんよ…。
男性陣、リリカルラビットを是が非でもっ!!!
名前を覚えてくれていたんですね…。光栄です。
大丈夫ですよ。リリカルラビット残り3匹はいずれ捕らえます…。
ただ…ここにいる "協力者" から御報告を貰ったので来ただけですよ。
覚えていませんか? ディゼールさんが言いましたよ、協力者は後1名いると…。
ですよね、ビアンラボのスタッフである…
スティードさん…。
はい。
お陰様でビアンラボのスタッフとして潜り込む事に成功し、クロスウッドの各地を
見渡せるモニターで色々と確認させて貰いましたよ。そしてやっと見つけました…。
モニター越しに映ったほんの一瞬…。彼の姿が。
そう名はリオルド!!! 意外な場所に隠れていましたよ…。
アルク、オルガ、セイラ、グラスに続いて明らかになった協力者…。
まさかビアンラボのスタッフであるスティードまでもがエディール側の人間。
驚きを隠せないでいるルドスとユズキ…。
スティード…てめぇ!!!
ふん。やっぱお前も敵側の人間なのか…。残念だ。
えーっ!
信じていたんですよー。ショックです…
普通に振舞ってくれていたのにー…
という事は木漏れ日の森で幹部と対峙したのも、
俺を信じてる! って言ったのも演技だったのか…?
何とか言ってみろ…スティード!!!
ふん。当たり前だろ?
同じ職員は愛さないと…なあ、ルドス…!!
それと森の近くでお前がユメと一緒にいるのも見つけた。始末しても良かったんだが…
ジワジワと追い詰めるのが俺のセオリーだ…。
まあ、良いだろう。おい、聞こえるか!?
スティードの呼びかけに問い始める、姿無き声。
だけど発信元はシャランアゾールではなく、クロスウッドの何処か。
だ、誰だ…!
声だけなんてズルいぞ!! ちゃんと顔を見せろ…。
ブライドゼータは是が非でも手に入れないといけないんでね…。
俺が用意しましたよ…。ルドスから剣を奪う暗殺者を…
さあ、彼をクロスウッドの何処かに飛ばしなさい…!!
姿なき声の持ち主に導かれて、シャランアゾールから姿を消したルドス。
****
ここは大陸「クロスウッド」の何処か。
フワッと降り立ちルドスは周りを見渡し、何処か寂しそうな雰囲気が漂っている事を感じ始める。
寒い…。ここは何処だ!!
誰かいるなら出て来い…。隠れているなんて卑怯だぞ!!!
面を見せろ…。俺を飛ばした奴…!!
だから…姿を現せ!! どうせ俺を始末する暗殺者なんだろ?
いいぜ、何処からでもかかってこい…。
【?????】
ちょっと待て…! 俺は自ら攻撃はしない。
まずはお話からしようじゃないか。まずは自己紹介からしよう…。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)