98話:怒涛のヒルハイドタワー!マイティーダーク壊滅劇開始!!(part5)
文字数 4,705文字
グレイザーが出している攻撃は「枯渇」の技ではなく
あくまで自分がトレーニングをしている最中に身に着けた体力系の攻撃。
*ラピッドジェネレイドとは
自分の脚力を最大限にパワーアップさせて
誰にも見えない速さで敵を翻弄し、懐(腹部)に鋭いパンチを連打し攻撃する技。
それに対してヴィルゼートはスキル「凝視」の所持者。
瞳孔を使い、様々な攻撃を出せる能力。主に状態異常にさせる事が出来て、
何らかの特殊な状態になる事があり、これによって様々な影響を受ける事になる。
*アジュールステアとは
瞳孔を紺色にしてジッと見つめる事で、相手を沈黙状態にさせる事が出来る。
どうだ、グレイザー!?
俺は生まれ変わったんだ。エディール様の名を
汚さない為に俺は色んなモノを犠牲にして来たんだ!!
瞳を見ないように、
サッと背後に回り
致命的な攻撃を与えようと、身体を思い切りガチッ と掴み始める……
アルバートの恨みを晴らすんだよ!!!
確かに太っているかもしれない。けれどそれをマイナスに考えない所が
アイツの良い所だ。頑張れば俺みたいな身体になれる……。
何を言いたいか分かるか、ヴィルゼート!?
そうか。それがお前の答えか……
だったら、ヴィルゼート。お前が最初の……
グレイザーの上腕二頭筋が一気に膨れ上がり
背中を掴んでいたヴィルゼートの身体を上空に投げ始める。
本当だったらその後、自分もジャンプしてバックドロップの用量で
頭を打ち付けないように、致命傷を負わせる事が出来たけれど……、やはりそう甘くはない。
もちろん、目の前でメンバーの無様過ぎる格好を見せる事
エディールは望んで居ない。都合の良いタイミングを見計らって
彼は再び、禍々し過ぎる闇玉を連発させて大ダメージを次々に攻撃を仕掛けて行く……
はぁ……、はぁ……
え、エディール様。な、何で……!!
俺はまだ戦えるぞ!!!
お前が上空に投げられた時点で負けだ……
言った筈だぞ、私達は成功の二文字しか無い事を。
これだけ言わせてくれ。ヴィルゼート……
脱落おめでとう……グレイザーの始末が終わり次第、
とっておきの方法でお前を葬り去ってやる……。
私に関わった人は無残に死んでいく。良い気味だ。
ヴィルゼート戦は終わりだ。
次、ノルドイド……お前が行くんだ。
ああ。グレイザー、さっきはよくも
この俺を踏んでくれたな。お陰でエディール様がくれた
この衣装が汚れたじゃねえか。割と気に入ってるんだぞ……
だから何だ? お前等の悪事の方がよほど汚い……
沢山の人を巻き込みやがって……!!
聞き捨てならないな、グレイザー……。
何が汚いか言ってみろ。
ナギとブルだ……。アイツ等は必死に自分と戦って悪に打ち克った。
それが正解だ。悪になんか染まらずに周りに沢山の友達がいた事で
居場所を見つけ、善の心に戻って行ったんだぞ。エディール、まさかお前……
…………!!!
その話は必要ありません。
ノルドイドさん、早くグレイザーを仕留めて下さい。
私の事は大丈夫です。今はグレイザーを
打ち負かす事だけを考えて下さい……
そうか。じゃあ、お構いなしにやらせて頂くぜ……
グレイザー、さっきの攻撃の倍返しだ。
もちろん、味わってくれるよな?
来いよ。どれだけ強く言っても無駄なんだな……
だったらこの手でお前等を意地でも止めてやる。
二番手に
ふさわしい結果を残さないとな……
最後のディゼールに何が何でもお前の首だけでも……!
さてと……、ディゼールさん、ノルドイドさん。
少しの間ヒルハイドタワーを留守にします。
邪魔者の徹底的排除、例えかつての仲間だとしても
気分1つ変えずに宜しくお願いしますね……
…………。
とある事を ″報告″ しに行くんです。
いつまで隠れているんですか? シルディート、ローウェンの弟でありながら……
小町「エジェテール」を崩壊に導いた張本人……、名は……
大広間の花壇の後ろでずっとルドスの兄、ジルバが
亡くなってしまう辺りから一部始終を目撃していたオルーム。
どうやら、ルドスとジルバの帰りと思ったせいで様子を見に来たのは良いけど……
その結果、ジルバを亡くした光景を目の当たりにしてしまったせいで
足をガクガク させながらマイティーダークメンバーの前に怯えた表情をしながら姿を見せる。
とぼけるんじゃねぇよ……。
花壇の後ろに居ようが、俺達の会話が聞こえる範囲に居た事は
間違いないんだ。それで良くそんな事言えるな……
ノルドイド……、言葉を慎め。
丁重にオルームにおもてなしをしないとな。
ちょうどお前には用事があったんだ。好都合だ……
じ、ジルバさんはどうなったんですか?
血を流してましたけど……
彼は死にましたよ。エディール様がトドメを刺したんです……
貴方も見ていたのなら事態を把握していると思いましたけど
あ、成程。この事実を受け止められないのですね?
ひ、酷いです……!
ジルバさんはずっとルドスさんと一緒に居たかった筈です。
家族、大切な存在を失った悲しみはずっと背負わないといけません……
オルーム、良く言った。
ただ、こいつ等には慈悲が無い……
どうせいくら言っても無駄だ。分かり切ってるけど
オルームには指一本触れさせないぞ。お世話しているリオルドが悲しむだけだ……
エディールの右手が瞬時に黒く染まり出し、手を前に出して
オルームの身体を徐々に15階の大広間の天井付近に浮かばせて行く……
その光景はまさに古城「フィンディル」で
磔にされているクロスそのもの。そう、これは禁忌の技の1つ「ダークグラッドストン」
く、苦しい……。
止めて下さい!!!
何でこんな事するんですか?
私に逆らったからだ……
素直に私の言う事だけを聞いていれば良いんだ。
そ、それがリーダーの在るべき姿なんですか?
闇が全て……、僕はそう思いません。
さっきグレイザーさんが友達の話に触れた時、口を噤みましたよね……!
エディールさん、磔になっていても
必ず皆が助けに来てくれる事信じてるんです……!
リオルドさんが優しく接してくれてなかったら、こうなってはいません。僕の願いは……
皆さんへの恩返し……、そしてエディールさんとお友達になる事です!
くっ……。オルームさん……
その言葉が吉と出るか凶と出るかは貴方次第……
それまで必死に抗って下さい。ノルドイドさん、ディゼールさん。後は任せます……
いや、私は逃げも隠れもしません……。
古城「フィンディル」に行くんですよ。
皇帝からの御呼出しと捉えて結構です。では、失礼します……
突如発生した煙と共に消えていくエディール……。
彼の行き先は小町「エジェテール」に聳える城、フィンディル。
皇帝との接触は本当に数カ月振りのようで、少し緊張をしている様子。
****
時は同じ頃、同じヒルハイドタワー15階研究室――。
特定した機械に剥製化したアルク、ゼルシードの譲渡エネルギーを挿入、
そしてビランの所持物であるブライドゼータを配置して
リオルドがパソコンに表示された 【開始】と書かれた文字をクリック。
いよいよアルクの蘇生に向けてカウントダウンが始まろうとしている中、研究室のリオルドの
デスクに飾られていたビリジロードが飾られた額縁を見つけたのは
リリカルラビット、木漏れ日の森を沢山冒険したアルム。
あの時、木漏れ日の森全域を枯らしたグレイザーさんの
手によって全部枯れ果てたと思ったんですけど……
やっぱり素敵な花ですねー。
何か幸せな気分になりますっ!!
あっ、もしかして……!
木漏れ日の森以外のビリジロードって……
ここで拝見したのかもしれません。どうですか、リオルドさん?
ご名答。ようやく思い出してくれたな……。
実はビリジロードの咲いている場所にはとある法則性があってね。
ちょっと寒くなって来たな。上着を着させてくれ……!
少し肌寒くなって来た為、椅子に掛けた上着を着始め――
よし……、ビリジロードの事だよな。
実は木漏れ日の森以外にも咲いている場所は後4か所あるんだ……
君達も良く知っている場所なんだけど、分かるかな?
そうだ。木漏れ日の森以外でビリジロードが咲いている場所は……
神秘の海、旋律の館、グライド研究所……、そして古城フィンディルの裏庭なんだ。
(えっと、ゲージの数値は35%……。
まだ時間が掛かるなら、″あの真実″ を語る事が出来そうだな。)
そう、リオルドがこれから語ろうとしている事は
本編リリカルラビットの冒険譚の本筋に当たる ″皇帝の正体″ に繋がる最重要事項。
ただ、彼は正体を知らない。
以前フィンディルで計画の手伝いに携わっていたけれど、
決して仮面を外す事が無かった為、知る事は絶対になかった……。
しかしながら、研究者の性と言えども徹底的に調査することをモットーにしていた。
それで、寝る暇もなく思いついた結果……
皆、心して聞いて欲しい……。
これは皇帝の正体に近付ける事なんだ!
えっ……、皇帝って
確かフィンディルを占領しているボスだよね?
き、聞きたいけど怖い……。
いや、皇帝の計画を阻止しないと
更に恐ろしい事がクロスウッドを待ち受けているんだ……。
このままだと大変な事が起きてしまう!!!
その瞬間、バリバリッ と物凄い音を立てて窓が割れて行く音が研究室まで聞こえて来た。
そう、大広間にてとんでもない展開を迎えようとしていた……。
****
ここは大広間――。
ディゼールの攻撃を諸に喰らい飛ばされ、割れた窓の淵に手を掛けて
グレイザーが塔外へと落ちそうになっていた……。
必死に踏ん張って落下するのを阻止するけれど、薄気味悪い笑いをしながら
グレイザーの手を正気でもない表情で何度も踏み始める……。
良いですね、この力……。
もう私の尊敬出来るグレイザーさんは居なくなりました。
後は塔外へと落とすだけだ。もう思い残す事無いだろ? オラッ!!
う”ぐっ!
や、止めろ……止めてくれ!!
ユズキの手が握れなくなったらどうするんだ?
あの生意気なガキか。
大丈夫だ。計画の算段に応じて始末する予定だからな!
さてと……じゃあな、グレイザー。
俺達も計画が終わり次第あの世へ行くから、それまで暫しの別れだ。
ノルドイドは、グレイザーの顔を思い切り踏み
塔外へと落とし始めて行く――。
俺には無理だったか……。
色んな事あったけど、楽しかったな。
もうアイツには会えないけど、最後に言わせてくれ!
彼はゆっくりと目を瞑り、いつでも死を迎える覚悟は出来た……。
強がりを言っていても内心では怖がっている彼の目から少量の涙が……
ノルドイドとディゼール2人の手によって
ヒルハイドタワー15階から落とされたグレイザーの運命は?
次回、いよいよマイティーダーク壊滅劇最終話。
そして古城「フィンディル」にて行われているゼルシード対ルディアのバトルの行方は?
決意のシャウトシグマ編の話も残り僅か。そしてエディールの身に何かが起きる……!!
次回(part6)へ続く――。
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