22話:運命の歯車!ヒルハイドタワーの過去(後編)
文字数 3,764文字
ここは今から1カ月前のヒルハイドタワー。
リリカルラビットの実験中に起きた事故で幹部の狙いは失敗に終わる…
実験に関わったリオルドも幹部を裏切ったネルフと共に外にある非常階段を使って逃げるが
メンバーの1人であるヴィルゼートに見つかり、リオルドは左目を負傷…。
何とかビアンラボのスタッフと名乗る人に出会えたお陰で彼は助かるが、突如起きた謎の攻撃により
非常階段は倒壊され、ネルフは落下…。更にはボスに見つかってしまい、
エディールは彼の目の前に人差し指を出し…
禍々しい闇のオーラを纏った針が目にも見えない速度で彼の右目を斜め方向から深く刺し込む…
ぐっ…! い、いてぇ…!!
み、見えなかった…。おい、エディール! お前今何やった?
言いましたよ…、罰を与えると。
だってネルフさん、幹部止めるんでしたよね?
そうだ…。俺は弟に会うためだったらこの右目負傷しても必ず…!
だから、ここで引くわけにはいかない…。
でしたら、私が弟の元に向かいます。
確か、名前はヒョード…だったよな! なあ、ネルフ…!?
連れてきて目の前で殺すんです…いわゆる、公開処刑ですよ…。
そうすれば、貴方も私の言う事聞いてくれますよね?
や、やめろ…!
弟は関係ないだろ…。手を出さないでくれ!!
嫌だと言ったらどうするんですか?
私を攻撃するんですか?
貴方は私を裏切ったんですよ…、それぐらいは当たり前です…。
右目を負傷しながらも必死で弟のヒョードの元に帰るため
攻撃を繰り出しその隙に逃げ出そうと策を考える。
ネルフは両手を前に出し、複数もの岩石を手から放出し
エディールの腹部に全てクリーンヒットさせるが、彼からしたらこんな攻撃痛くないと
言い聞かせながら喰らっている様子。
痛くねえぞ、おい…!
お前の攻撃はこんなもんなのか?
やっぱり…。俺のスキルじゃ奴には敵わない…!
逃げる隙がない。どうすればいいんだ…。
貴方…、幹部という割にはこの程度のレベルだったんですね…。残念です…。
幹部を辞めた奴は俺が全て葬ってる…
次はお前だな、ネルフ。お前等、奴を葬れ!!!
手柄を上げようじゃないか。弟のヒョードに会えずに死ぬんだよ!!!
ボス、エディールの怒号により
幹部「マイティーダーク」のメンバー全員が不気味な笑いをしながら
ネルフの元に近付き、猛ダッシュして来たグレイザーはネルフの腹部を目掛けてとんでもない
破壊力を誇るキックを繰り出し近くの柱に叩き付けられ、大量の血液を吐きながら倒れこんでしまう。
おい、ネルフ…。お前幹部止めるんだってな…!
残念だ。俺のキックはどうだ? 痛いだろ?
おい! 何とか言えよ…。
倒れこんだネルフはグレイザーの鍛えられた身体の重さで腹部を
まるで空き缶を重機で潰すかのように思い切り踏みつけられてしまい、また更に大量の血液を吐く。
うわああああっ!!!
い、痛い…。ぐ、グレイザー様、止めて下さい!
お、俺を弟の元に返して下さい…、お願いします。
ダメだ。エディール様の指示は絶対服従…
それと報告があった。お前ヴィルゼートの左目を傷付けたそうだな…。よくも…!!
おい、ノルドイド…。
こいつに見せろ。お前の金縛りを…!
あまりスキルは使いたくないんだ。
ただ、エディール様の顔を立てる為なら…
どうだ、ネルフ?
俺の目きちんと見れるか? おい!!
ネルフは何も出来ない絶望に立ち尽くしている為、もう前がきちんと見えてない。
更にはノルドイドはスキル「金縛り」を使っていても
グレイザーに腹部を踏まれたせいで吐血してばっかり…
俺の声が聞こえてないのか? ふん、笑わせる…。
グレイザー様、ネルフの髪を掴み上げろ!!
倒れ込んでいるネルフの髪の毛を引っ張り上げて更に痛め付ける。
や、やめ、やめて下さい…グレイザー様。
もう、降参です…! 殺して下さい…
悪いな、ネルフ。
幹部を辞めた以上、まずは苦痛を味わって貰う…。
おい、ディゼール! お前の力も見せてやれ!!
分かりました…。
おやおや、ネルフさん。無様な恰好ですね…
幹部を裏切ったんですからそれぐらいの覚悟があってやったんですよね!?
ただ、エディール様の計画に泥を塗った貴方を許すことは出来ない…。
さあ、前を向け!!!
右手で髪の毛を力強く掴み、左手で顎を上に押し上げる。
もうネルフは無情にも成す術なしで弱々しい声しか出ない…
ディゼールはニヤリ顔で彼に近付き、人差し指を光らせ右目を粉砕してしまう。
もう…、や、やめて下さい…。
もうこんな顔じゃ…、弟に会わせる顔がないよ…。
大人しく降参します。申し訳ございません、エディール様…
(兄からのお願いだ。必ず帰るからその日まで待ってくれるよな、ヒョード!)
ネルフさん、これが幹部を裏切った貴方への罰です…。
ただ、私も鬼ではありません。右目の手当てはきちんとしますので
私達の任務が終わるまで、ヒルハイドタワーの地下にある
収容施設に監禁させて頂きます。いいですよね…?
それと、貴方達はまだその辺にリオルドさん、
リリカルラビットがいるかもしれませんので捜索の続行お願いします!
私はネルフさんを連れて行きます。では、失礼します…。
物凄いダメージを喰らわしてまで殺そうと企んでいたが
エディールはネルフをヒルハイドタワーの地下にある収容施設に監禁する事を決意する。
この後、リオルドとビアンラボのスタッフが幹部「マイティーダーク」に立ち向かっている最中
リリカルラビット4体が逃げ出してしまうが、今はまだ明かす事が出来ない…。
****
現代、ヒルハイドタワーの地下収容施設。
まるで思い出話を聞かせるかのように喋るエディール。
いかがですか、クロスさん?
これが私がネルフさんをここに閉じ込めた理由です…
それでも逃げ出そうとしているんでしたら、哀れなので止めて下さいね。
だから何だ!?
ネルフに同情しろと言うのか…?
そんなの当たり前だ! 俺だって大切な存在がいるんだ…。
彼は死にましたよ…。
グレイザーさんがやってくれたんですよ…
もちろんゼロシードさんのお手柄でもあります…。さすが貴方の元職員である
スティードさんが用意した暗殺者ですね。私も彼はお気に入りでしてね…
スティードもお前も絶対に許さない…!
お前等がやろうとしている事は間違っている。
俺はまだルドスが生きていると信じている!! 今度は彼等を俺が守る番だ…。
その為に意地でもこのヒルハイドタワーからネルフ、そしてユウマを連れて逃げる!
もちろん!!
クロスさん、ユウマさん…。一緒に逃げましょう! そして…、
【ライオット】
おう! エディール、悪いな…。
俺達は行く場所があるんだ! さらばだ!!
目を覚ましたのですね…
く、くそ…! こ、これでも喰らいなさい…。
ライオットは拳に物凄いパワーを込めて、彼等が閉じ込められた収容施設の壁を全てぶち壊し始める。
エディールにとって彼は少し厄介な存在…。
遂にクロスとネルフはユウマと共に念願だった大脱走を始める中、ライオットはエディールにこう呟く…
スキルが無くたって一生懸命にトレーニングすれば
これ位の力は得られるんだ…。お前等とは違う!! じゃあな…、エディール。
とうとう大脱走を始めた彼等はお世話になった収容施設にお別れを告げ、
いよいよヒルハイドタワーから舞台は外の世界へ…。けれども
エディールはまだ薄気味悪い笑いをしている。まるで嘲笑うかのように…
ライオットが動き始めたか…。
なら、仕方ありませんね…。こういう時の為に
グレイザーさん達とは別に彼等を用意したんです…
私を怒らせた罪をビアンラボの職員に知らしめるがいい…。
****
ここは大陸「クロスウッド」の上空から見てもその辺一帯霧で包まれている為、全貌を知らない…。
だけどひと際目立つのはラスボスがいると言わんばかりのお城。
城内では3人の会話が聞こえてくる様子…
ああ…。あれ、皇帝は何処に行ったのですか?
姿が見えません…!
皇帝なら城外でお前から授かったスキルの練習してるぞ…
さっきから聞こえる爆発音の正体は皇帝のモノか…。
そうだ。お前等…、いよいよ彼等が動き出す。その報告に戻った…
安心しろ。彼等もマイティーダークと同じ
スキル所持者で構成された3人組だ。失敗はない…!
エディール様から課された指令は…
(分かったー。ビアンラボを終わらせばいいんだねー!
大丈夫だよっ。だって、僕強いもん!)
(エディール様の為に頑張ります!
その為にはどんな手段も選ばない…。
まずは味方を騙す。話はそれから…、ですよね?)
(私の文字に不可能という文字がない事をエディール様に必ずや証明して、
彼の名に恥じないように頑張らせて頂きます…)
星のブリジス、砂塵のキルディー、そして…浮遊のエバス!!!
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