63話:動き出したエバス!シャウトシグマの謎の光!!
文字数 3,127文字
【前回のあらすじ】
小町『エジェテール』の古城でクロスとドルシードのバトルが行われていた。
ドルシードのスキル『握爆(あくばく)』の魔の手が
クロスに襲い掛かる。ただ禁忌スキルの方が強い事を証明させられてしまって、敗北。
皇帝、そしてアンドルディシアメンバー「レイディア」の手により磔、そして刻印を入れられてしまい
クロスは奴等に捕虜されてしまう中、奴等のスキを付いて
シルヴィンとインバの2人、無事に脱出成功。彼の味方がいる
ヒルハイドタワーへと向かう事に…。
****
ここは小町『エジェテール』郊外――。
周りを山岳で囲まれている為、今2人がいる場所と外に繋がる道が分からなく八方塞がり状態。
ちょっと待って…!
なんで外に繋がる抜け道的なモノ無いの!?
ってか俺、ここにどう入って来たんだっけ…。
せっかくここまで来たのに…。
ただ…今居る場所がこの町の入り口です。
と言う事は少なからずこの道で正解なんですけど…。困りましたね…
また鎧兵の間のように"謎解き"というモノが必要なんでしょうか…。
早くここから出ないと、奴等に見つかるかもしれないのに…。
ちょっと待て…。ここに一本道があるのに先に何もないなんて可笑し過ぎる…
小町『エジェテール』を抜けられるまでもう一方という所で立ち止まっていた2人…。
ただ、機転を利かしたシルヴィンの発言がこの山岳地帯から抜けられる唯一の手掛かりと思い
インバを連れて一本道の先に向かい始める。
****
その頃、ヒルハイドタワーの最上階――。
先程まで王座の間でバトルしていたクロス対ドルシード戦の結果、そしてクロスの状況を
皇帝、そして暗躍組織「アンドルディシア」に伺っていた。
もちろんです。そちらの方では何か動きがありましたか…?
はい。お陰様でクロスに刻印を入れ捕虜する事に成功致しました。
これでジハイド、ライオット含めいつでも操る事が可能です…
エディールさん…、貴方の兄が大いに役に立ってくれましたよ…
そうですか。さすが私の兄です…
久し振りにお話をさせてくれませんか?
聞こえてますよ。久し振りだな、エディール…。
こうやって話すのも何ヶ月ぶりだろう。思い出話に更けている暇は無いぞ…。
刻一刻と皇帝の計画は動いているんだ…。もちろん分かっていますよね?
もちろんです、兄上…。奴等はもうすぐ10階に来ます。
次に送り出すのは暗殺者…、ゼロシード。
黒鴉のスキルで目に物言わせて見せましょう…。
皇帝にもう一回変わってくれませんか?
分かりました…。
弟のエディールが代わって欲しいとの事です…
クロスを捕虜した事に祝いの盃をドルシード、ルディア、アージェスと共に交わしていた
皇帝は手に持っていたグラスを置き、再びエディールと会話を交わし始める。
変わりました。どうしましたか?
何か良い報告でもあるんですか?
クロスピアとシャウトシグマに関して彼がお聞きしたい事があるみたいです…
エバスさん、丁重に皇帝とお話するようにお願いします。
分かった…。皇帝と話するのは本当に久し振りですね。
持ち出されたシャウトシグマが皇帝の手に渡ったと聞きました…。
はい。もちろん手元に…ん、何ですか…
この光。ひ、光は嫌いなんです。ま、眩いですね…。
エバスさん、シャウトシグマが光り出しました。
どういう現象が起きているか教えて貰えませんか?
玉座に立てかけてあったシャウトシグマから突如として発生した輝く程に満ち溢れた光が
闇に溢れた皇帝、暗躍組織アンドルディシア周辺に立ち込め、逃げるかのように剣の元から立ち去る。
剣が光り出すのもやはり何かの原因…。
その剣を監視していたエバスに皇帝は問い詰める。
やはり…。皇帝、すみません…
シャウトシグマが光っている理由は、"クロスピア"と共鳴し合っているんです…。
消滅した筈でしたけど、これは大誤算です…。
あの中にはもう1人匿っている人がいるんですよ…
ルディース…。すみません、エディール様…、そしてレイディア様…。
私が貴方達の身内を匿っていました…。彼だけが唯一皇帝の言い成りに背いたので…
やはりエバスさんは後でお仕置きが必要ですね…
ルディースが皇帝の指示に背いた事は知っています。
ただ家族を匿うって言うのはどうかしてるんじゃないのか…?
早く見つけ出せ。兄上が怒ってないとでも思ってるのか?
エバス…と言ったな。
白蛇に噛まれたくなかったら大人しく言う事を聞け…。
シャウトシグマが光ったと言う事は、このクロスウッドの何処かにクロスピアが
出没する合図と見て解釈して良いんだな…。
はい…。
クロスピアのシステムの一部にシャウトシグマの力を利用させて頂きました…。多分その影響だと…
そうですか…。とりあえずルディースさんを早く見つける事に専念して下さい。
レイディアさん、エディールさんの身内なので、丁重におもてなしをするように…。
分かりましたか?
皇帝の手元にあるシャウトシグマが突如光り出す…、
それは再びこのクロスウッドの何処かに一度光となって消滅した筈のクロスピアが戻って来るサイン。
そこにはジルバやレサリアと同じように"エバスに逆らった罰"として
部屋に閉じ込められていたレイディアの次男に当たるルディースが匿われていた。
ただ、何処に再び現れるかは全く予想出来ない為、エバスは裏口からスキル「浮遊」を使って
ヒルハイドタワーの非常階段から地上へと降り立つ。
その時、聞き慣れた男性の声が聞こえた為、振り向くと…
あれ、貴方…。何でこんな場所に居るんですか?
捕らわれた筈だと思ったのですけど…。ん、何か違和感が…
【クロス(シルディート)】
おいおい…、何処を見てるんだ。
エバスさん、俺はシルディートだぞ…!
刻印入ってないだろ…。本物は古城で皇帝の手により捕虜されたぜ。
そうでしたね…。
ちなみにシルディートさんはここで何をしているんだ?
クロスの兄、グレイスを探している…
皇帝から始末するようにと指示が下されたんだ。お前、何処にいるか知ってるか?
そんな事知りませんよ…。
私もこの地に再び降り立つクロスピアの事で頭一杯なんです…。
はぁ…、ルディースさんを匿うんじゃありませんでした。
お前も大変だな。お互い仲間同士だ…。目的達成の為、頑張ろうぜ…!!! じゃあな。
それぞれが各々(おのおの)の目的を果たす為
再びクロスウッドで交錯し始めようとする中…
エバスはかつてブリジスとキルディーと交わした"とある会話"を思い出していた。
(ルディースは物語の鍵を握る人物です…。
エバス様、何処に監禁するんですか?)
(新たに取り入れたこの指紋システム搭載の扉に閉じ込めろ。
そうですねえ。以前手に入れた娘ミフィールの指紋で良しとしましょう…!
私は手袋を常に嵌めているので、使えないんでね…。)
(ただ、エバス様…。この指紋1回だけしか使えないようです。
再びこの部屋に入る際はどうしたらいいんですか?)
(いつでも入れるようにミフィールを連れて歩くんだ。
姉はグライド研究所でグラスと共に働いているとエディール様から聞かされている…
お願い出来ますか、ブリジスさん、キルディーさん?)
そう、以前ミフィールが必要と言っていたブリジスとキルディーの発言…
それはシャウトシグマの事ではなく、ルディースを監禁している部屋に入る方法。
どっちにしても重要アイテム、重要人物の為、重ねて考えてしまったに過ぎない…
再びこの地に訪れる消滅した筈のクロスピアに匿っている彼を
見つけ出す為、ミフィールがいるビアンラボへ向かい始める…。
ビアンラボ…か。あの時以来の再会…、心が躍りますね…。
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