79話:ブリジスの弟グリア登場!蒼き海とクランチャードの実態!!
文字数 4,019文字
【前回のあらすじ】
シルディートが女嫌いになった理由……
その原因を作ったのは当時ヒルハイドタワーの
職員であるアルク、そして弟のオルガを持つ妹リフィー。
せっかく作って来てあげたお弁当を台無しにしてしまい、そして兄弟2人揃って
悪の道へと進めてしまった事。
心にトドメていた想いを吐き出すかのように左目に傷を入れてしまう。そしてその場から逃走……。
けれども、まだ彼には心の何処かでは謝罪する気持ちがあり
シルディート自らビアンラボにやって来て、申し訳ないと深々とお辞儀をして謝罪。
そして自分の口から、"暗躍組織「アンドルディシア」の脱退" を決心する事に……。
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ここは海産業会社「クランチャード」、所長室――。
窓から見える風景は水平線の向こうまで見えそうな大海原、晴れ渡る大空、そして
優雅に空を飛んでいるカモメ。本当に海が大好きなスタッフに囲まれながら
様々な"海"にまつわる仕事を事業内容としている。
所長を任されているのはフロスト――。
幼少期、両親の影響で海に連れて来て貰い " 海は生命の源" と言われた事を感銘に受けた事から
一生懸命勉強をして、現在28歳にしてその座に辿り着いた。
窓の淵に手を当て、所長室の窓から
外にいる当職員であるグリアの浜遊びを
まるで息子を世話しているかのように笑顔で見つめている。
浜辺で子供のように遊んでいたグリアの兄は、
夜空で燦然と輝く星を観る事を趣味にしているブリジス。それと同様に
彼は陽の光で水面が綺麗に反射している光景を見るのが好きな為、
兄弟揃ってキラキラしている物が大好き。
フロスト所長に呼ばれ、元気よく
所長室に足を運び、沢山の写真が飾られているホワイトボードの前に立つ。
どこまで広がるこのクロスウッドの海は謎だらけ。
年中無休、四六時中という言葉がお似合いのクランチャードのスタッフ一同は
″ニューディスカバリー!(新たな発見) ″ をモットーに仕事をしている。
それこそ海には沢山の発見がある。まだ発見されてない海産物。
深海にしか住めない魚、所謂深海魚。そして多発する海難事故。
その全てを ″追究″ する事を当社が行っている。
会社や研究所と言う場所さながら、窮屈なイメージがあるかもしれない。
その代わり、フロストだけは違う。本当に海好きなスタッフ1人1人を本当に大切にしていて
全ての部署を回り、配属されている人の悩みや相談を親身になって受け答えする。それが所長の役目。
そこに映っているのはフロストと……
時は同じく、クランチャード研究室――。
新たな海産物を捕獲したと一報を受けたグリアはもう既に到着済み。しかしながら
リュートがいない為、部屋の中にあるデカい水槽近くにある柵に腕を乗せて待っていると
水面から泡が立ち、彼の目の前で自分愛用のスノーケル、ゴーグルを外していく。
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脱衣を終えたリュートは手に持っていた水中カメラを持って来る。
もちろんそこには先程水槽の中で撮影した海産物が映っているようで、
早く見たがっているグリアの為、特殊な現像をする前の状態で見せ始める。
このクロスウッドの近海では絶対に捕獲が出来ない
テラキリングと言った大きな魚が映りこんでいる……。
捕らえた魚の正体はテラキリング。
クロスウッドの近海に偶然入り込んでしまった魚。大きな歯牙で獰猛な姿をしている事から
現実世界で言う所のサメに似ているけれど、目を間近で見ると可愛く、そこまで怖くはない。
普段はもっと温かい地域に住んでいる為、もしかしたら彷徨ってこのエリアに
入り込んでしまった可能性も高い……。
リュートが偶然にもレックスが到着した様子を目撃した事で
グリアはさっきから研究室と所長室を行き来していた。
ブリジスと同じように彼もまた少年のように無邪気で無垢な性格をしている為笑顔も素敵で、クランチャードのスタッフから愛されている。
辛い仕事も彼からしたら苦じゃない。
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再び、ここは所長室――。
猛ダッシュして荒い息を立てて「うおおお!」とあまり発さない言葉を口にしながら
フロスト所長とレックスの元に戻って来た。
①カチッと音がするまでアウトプットにシールドを差し込む。
②アンプの電源が入って事ない事を確認。
③アンプのボリュームが0になっている事を確認。
④シールドをアンプのインプットに差し込む。
⑤アンプの電源を入れる。
さすが一流のギタリスト。何度もこの一連の流れを行っている為お手のモノ。
そしてチューニング。チューナーをヘッドに取り付けて6弦のベグをEではなく、Dにしていると……
このアンプ、GAINが最大10。
そして音の周波数を調整するイコライザーのBASSとTREBLEが8。
俺はいつもこのセッティングでこのギターの音色を出している。これは何という手法だ?