75話:天国と地獄!クリストビレッジとヒルハイドタワー!!(前編)
文字数 4,210文字
ビアンラボでエンディアと対峙した際に、
自分の身を滅ぼすかのようにずっと一方的に攻撃を喰らっていた事を
皇帝の父親である『ドルシード』に指摘されてしまい説教をされていた。
そんな中、彼等の会話により玉座の後ろに見える部屋には氷塊に閉じ込められている人物が
古城の所持者であるキシャーロック一族の息子、タナトスである事が判明――。
彼は以前からリオルドと交流があった為、事前にこの小町『エジェテール』に仕掛けた謎を
知っている。古城の2階でずっと回っていたホログラムが途絶え始め、映写機が止まるかのように
ザーッ と言う効果音を出しながら郊外にいたインバとシルヴィンの目の前で
徐々に山岳地帯が消えて行く。
そしてエジェテールがとうとう姿を現し始めて、ビアンラボから北東の位置に点在する事が判明……。
ここは小町『エジェテール』から山岳地帯を隔てた限りなく1番近い村、"クリストビレッジ"。
グレイザーのスキル「枯渇」により第2の死の森/村と化した"デュードビレッジ"。
エディールとオルーム扮するシルディートにより崩壊した"シャランアゾール"と同じように
この大陸を巡る者にとって特化した場所でもある。
インバとシルヴィン、ゼルシードだけではない……。
クリストビレッジを訪れていた冒険者も徐々と消えていく山岳を
目の当たりにしてしまった為、「信じられない!」「嘘だろ!」と驚愕の目をしながら
村役場へと駆け付ける光景が見られる。
急ぎ早でやって来た冒険者と共に外に出て山岳があった方を見る村長。
普段から見慣れている山岳地帯が一瞬として消えた事を信じられずに首を振っている。
古城の2階でリオルドとシェリアが使っていた部屋に設置されていた
ホログラムが動いていた事は誰も知る由もない。
【????】
何を見たのですか?男性の冒険者2名と共に、消えた山岳に関して村長と談話している光景を見つけた
暗躍組織「アンドルディシア」のメンバー、ルディアとシルディート、
そして皇帝の父親であるドルシードが現れ、
見てはいけねえな……! と非情過ぎる目で罵詈雑言を浴びせられていた。
ここにいるルディアさんとシルディートは暗躍組織のメンバーですよ。
山岳地帯が消え、崩壊した町を知ってしまった以上、
この村は崩壊させて頂きます……!
そう…、変装のスキルは
同じキャラに何度も扮していると変装するまでに ″時間短縮″が可能になる。
今までだったらオルームになるまで3分掛かっていたけれど、今は一瞬でオルームに変貌出来て
彼が放つ棘のある言葉も更にエスカレートしてしまう……。
武器を持たない冒険者が潔く攻撃を出そうとひたすらダッシュする。
今まで彼に立ちはだかってきた人は全員スキル所持者であり、
攻撃を出して来ているせいか拍子抜け状態。
さっさとトドメを刺そうと、未だかつてない程の威力を誇るパンチを腹部に入れ
勇敢にも立ち向かった冒険者は吹き飛ばされ、
木造で出来た村役場は音を立てて崩れて行く……。
攻撃がダッシュかよ。そんなの誰だって出来る……。
赤ちゃんだってバランス感覚、精神的な発達によりハイハイが出来るようになるんだぞ。
要するに学習能力ゼロだ。はい、赤ちゃん以下!
ハハハ、言い返せる気力もないだろうな。冒険者失格、ほら遊具で遊んで来な!!
じゃあ何でダッシュして来たんだ?
武器こそ持って無くたって、パンチとかキックとかあるだろ。
闇雲に走っても無駄、所詮何も出来ないエセ冒険者なんだ。全く、笑えるぜ……!
無能な奴はただ死を迎えるだけ。どうせクリストビレッジ物共、
木っ端微塵になるんだ……。さてと……
暗躍組織『アンドルディシア』メンバーは幹部『マイティーダーク』より血も涙も無い。
救援を求めたり、何処に逃げても絶対に逃がさない――。
嘲る態度を取りながら公衆の面前で始末するのも当たり前。
嘆いても、謝罪しても決して彼等の前では無意味……。
ただ、クリストビレッジの村長としての意地がある為、
村長は彼の目の前に両手を大きく広げ、これから頑張って勇者を目指す冒険者の旅路を願い始める。
村長の見る影を失い、真下に大きな穴を開けながら
周辺の木造の家屋、ショップなどは一瞬にして粉々となり
暗躍組織『アンドルディシア』の存在意義を示した……。
それと同時に2人の若い冒険者も、クリストビレッジと共に命を絶ってしまった……
次々にクロスウッドを地に落として行く姿はまさにマイティーダーク同様、狂喜乱舞。
そして、彼の攻撃もビクともしないルディア、ドルシードは無傷状態。
もちろんです……!
未だに明らかになってない皇帝の正体、
そしてリリカルラビットを使った計画の全貌。
最終章へと向けていよいよ、決意のシャウトシグマ編(第2章)は
終幕へと向けて決戦が始まろうとしていた。今日はその前夜に過ぎない――。
現在の時刻は夜19時……。
既に後から来たビアンラボの精鋭部隊はジルバ達、
そしてナギを助けに飛び降りたブル達も無事に戻って来て、全員合流済み。
明日の事がどうなるか分からない瀬戸際だと言うのに、ただ純粋に
皆と一夜を共に過ごしたいブルやブリジスの好奇心に皆の心が動かされてしまう。全貌は後半へ……