98.1 ヲハバリの剣のC&C・新中篇

文字数 8,000文字



 いつのまにか雷は龍と成れない、天意に随わない、順わない蛇を鎮める。苛める。譲らせる。オマエのモノはオレのモノ、オレのモノもオレのモノ。ジャイアニズム。

『今は、蛇は嫌われてる。昔の蛇神はどうなっちゃったの』
『へ、蛇神は、いなくなる。稲作が始まるまえ、水辺は人にとり山の幸の集まる処だ。蛇神は山の幸を齎す神。やがて田が作られ、川が曲げられ、稲作が始まる。蛇神は悪神(害獣・害鳥・害虫)を殺すが、毒で人も殺す。ゆえに祀りあげられる』

『い、いつのまにか蛇は蕃国(トナリノクニ)の龍となる。地下から現れる蛇でなく、天上から現れる龍となる。蛇神(幼体)は龍神(成体)となる。お、降りて山神となり、川神となり、田の神となる。龍神になれなかった、お、堕ちこぼれ蛇神は田に立たされる。タダのカカシとなる。カカシは龍神の、いや、蛇神の成れのはてだ』

 伏見稲荷大社の田中大神は田んぼの護り神。じつは田んぼの祟り神。祟り神は大神として祀りあげられる。祀りあげられた祟り神は護り神となる、と思いたい。笑える。田中大神はカカシの神様説もあるけれど、田んぼの見えない悪神説もある。いもち病。病因は、なんと窒素が多すぎ、雨が多すぎ。笑え、……ないか。



 古代中国で龍神と雷神は同神。雷は天に棲む龍。雨を降らせる。雨後に虹となって地に降りる。[神]は、示(饌台)と申の形声文字。申は猿(申)でなく、じつは雷の象形文字。雷は天威と天意を申す。龍のイメージの元は江南(長江の南域)に棲む鰐。鼉龍。大きな蛙。鰐の神格化が龍でなく、雷の具象化のためのイメージ。
 稲作とともに、アマ(海)の彼方から龍がやってくる。龍のイメージが日本列島に伝わる。龍は雷という設定は伝わらない。だからミカヅチヲも、賀茂別雷命も、偽物だけど雷神。だけど龍神でない。さらに鰐を見てないため、知らないため、なぜかイメージの元は蛇となる。大蛇がデコって龍。伝話で、鰐は降雨時に川面に現れて鳴くとある。龍神は川神、池沼や湖の神様となる。
 蕃国の原作(古代中国の神話)をしっかりと読まないで映像化が始まる。設定は見たけれど、中国語が読めない。まあ、かっこいいので設定はどうでもよい。見た目。

 スマホを弄る。
 まずは鰐を見てないならば、知らないならば因幡白兎神話の和邇(ワニ)はなにか。
 神話で、じつは和邇の正体は書かれてない。淡水域生物の鰐説と、海水域生物の鮫や鱶説があるけれど、兎は海を渡る。天孫降臨神話で、龍神は海底の龍宮に棲み、娘神を山のサチヒコとウガヤフキアエズに嫁がしたとある。娘神の正体は八尋和邇。獰猛なサメをワニザメという。龍神は海水域海神と成る。
 ワニザメを崇めたワニ族。富士山本宮浅間大社に奉じるフジ族も、もとはワニ族。

 つぎは和邇の正体が鮫や鱶ならば、なんで龍のイメージの元が蛇なのか。
 まずは鮫や鱶は一部の海人族だけが崇めるマイナーな神様。だけど蛇や海蛇は山人族や大部の海人族が崇めるメジャーな神様。メジャーなほうがイメージが伝わりやすい。
 稲作とともにアマ(海)の彼方からかっこいいデザインの龍神がやってくる。龍神はアマ(天)を翔ける設定。かっこいい。蛇神は恵みと祟りを齎す。龍神は恵みだけ、稲作に必要な水を齎す。足もなく、足音もなく這う蛇神は、……いらない。
 蛇神信仰は龍神信仰に上書保存。
 蛇神信仰。
[虫]の語源は水辺や水中に棲む小動物。蛙、蝌、蝟、蜆、蛸、蟹、蠍、蝦、蝎など、色々な虫。非実在動物の蛟(ミヅチ)も、非動物の虹も虫。鳥は羽虫、魚は鱗虫、獣は毛虫。[虫]の字源はヘビの象形文字。つまり代表格小動物は蛇。狩猟の時代、山の幸は冬となって減り、春となって増える。地下から虫が現れる。蛇が現れるころ、色々な虫、草花も現れる。虫を食べる大動物が現れる。蛇は山の幸を、恵みを齎す山神のミサキ神。そして脱皮。蛇は生と死、再生や蘇生の象徴。とくにマムシは卵胎生。出産の護り神として神聖化。真の虫。だけどマムシとヤマカガシと西南諸島に棲むハブは毒がある。山奥で、山神の神域で許しなく山の幸を獲ったら祟りを齎す。自然の畏敬と畏怖の象徴。
 蛇は、本来は山の水辺に棲む。山が崩され、池沼や湖が埋められ、森が墾かれ、川が曲げられる。田んぼが広げられる。狩猟の時代から農耕(稲作)の時代へと変わる。山の蛇という名のヤマカガシは餌を求めて里へ下り、田んぼに、人の作った水辺に棲む。追ってマムシも棲む。蛇は田んぼの害獣や害鳥や害虫を殺すけれど、毒で人も殺す。
 カカ(カガ)は蛇の古名。一説にカカシ(カガチ)は蛇神という。

『人は裸虫。人も水辺に棲む小動物なんだ。マムシは、田んぼの中で裸蟲も含めた色々な蟲の天敵なんだ』

『い、家康は、湿原に江戸を作った。山を崩し、池沼や湖を埋め、森を墾き、川を曲げるか。畑を、田を広げるか。す、栖を作るか。作りながら思った。人が神に成る方法、だ』

 出雲国の海蛇神信仰のセグロウミヘビも卵胎生。4時間も無呼吸で水中にいられる水棲の爬虫。海蛇の中で神聖化。毒もあり、海のマムシ。旧暦10月の台風で恵曇ノ浦にうちあげられる。台風後の豊漁。海の幸を、恵みを齎す海神のミサキ神。一説に海水からの水分補給ができないため塩分濃度の薄まった降雨時の海面に上がったら、うちあげられたという。海蛇は這えない。

 恵むけれど祟る実在の蛇よりも、恵むだけの非実在のかっこいい龍を選ぶ。褒めるけれど怒る蛇よりも、褒めるだけのかっこいい龍を選ぶ。デレツンな蛇よりも、デレデレな隠ヤンのかっこいい龍を選ぶ。



 スマホを弄る。
 つぎはなんで雷神が龍神と成れない、天意に順わない蛇神を鎮めるのか。地を譲らせるのか。龍神が龍神と成れない蛇神を鎮めるならば、ジャイアニズムでなんとなくわかる。だけどミカヅチヲも、賀茂別雷命も雷神。さらに偽物の雷神(噴火雷の神格化)。なんで本物の雷神でないのか。
 オリジナルの設定。
 天意に順った地の蛇神がミヅチと成り、天に昇り、かっこいい龍神と成る。ミヅチは原作にないオリジナルの神様。原作で幼い龍の蛟龍の、蛟の字にミヅチの読を当てる。設定考証で、蛇神信仰は龍神信仰に上書保存。龍神は天ノ川の神様。雨とともに降りて地上の川の神様となる。池沼や湖の神様となる。地下に浸みて湧水の神様となる。湧水地や井水地に、採水地に祀らる。農耕に必要な水を齎す。
 龍神に成れなかった、いや、天意に順わなかった蛇神。コネで成れたけれど天意に順わず、地上に降りた龍神。天意に順わなかった龍神や蛇神は水害や土砂災害を起こす。地下の龍神や蛇神は地震を起こす。龍神や蛇神の恨み、妬み、嫉みが穢れとなる。祟りとなる。祟りは禍い(災い)となる。
 禍いは直さなければならない。祟りは鎮めなければならない。穢れは浄めなければならない。恨み、妬み、嫉みは誅して(殺して)おかなければならない。

 常陸国の神話の夜刀神も、イザナミさまも、カガセヲも、古の戦でカゲヒコさん、スサノヲさん、オオクニヌシさん、ワカヒコくんも、そして私(ツクヨミ)も、天ツ神に順わず、天ツ軍と戦い、負け、鎮められ、隠さる。史話は神話よりも奇なり。



 断層が連なると地質学で構造線。九州地方から関東地方までの日本列島を貫く最大の構造線の中央構造線。糸魚川静岡構造線の交差点にある諏訪湖までの西日本は地上で見られる。露頭や崖。まさに地下に棲む龍神(蛇神)の体。山が連なると山脈。断層が連なると民俗学で地脈、または龍脈。
 中央構造線は凝り固まった古い断層で、断層運動は少なく、地震は少ない。中央構造線上に建つ古社。古社の建つ地は龍穴といい、龍神(蛇神)が暴れないように押さえつけるため建てたらしい。まあ、壊れないから古社なんだけど。西日本は露頭や崖が神体の神社が多い。じつは龍神、蛇神信仰の元は石神(イシカミ)信仰。一説に西日本に多い大元信仰も今は豊穣祈願の信仰だけど、昔はイシカミ信仰という。石見国(島根県石見地方)の石見神楽の大元神社。スサノヲさんの八岐大蛇退治神話の神楽で有名。さらにタカヒメと関わる厳島神社の境外摂社の大元神社も、近江国の鍛冶族やハタ族と関わる宇佐神宮の境外摂社の大元神社も、いずれ元社と呼ばれる。神体は巨石のイシカミ信仰。
 イシカミは蛇神となり、龍神となり、石神(シャクジン)に押さえつけられる。

 諏訪湖からの東日本は、中央構造線は中央地溝帯(フォッサマグナ)の土砂、富士山や浅間山などの火山灰で隠れて地上で見られない。時々、台風や地震で露頭が現れるけれど龍神(蛇神)は隠れ、龍脈は見られない。見られないため諸説がある。諏訪湖から鹿島灘へと続くらしい。鹿島灘に鹿島神宮と香取神宮が建つ。龍神(蛇神)が暴れないように諏訪大社上社本宮で頭を、鹿島神宮で尾を要石で押さえつける。または鹿島神宮で頭を、諏訪湖でぐるりと巻き、香取神宮で尾を押さえつける。まさにシャクジン信仰。ミカヅチヲはミナカタヌシさんを押さえつける。鎮められ、祀りあげられ、出雲国(葦原ノ中ツ国)と諏訪国は譲られる。



 大和国(中ツ国)も、出雲国や諏訪国と同じく蛇神信仰があった。
 大和国の地主神のオオモノヌシ(トミビコさん)は、オウのカモ族の崇める蛇神。神話で、ヤタノカラスの娘を娶ったとある。産まれたホトヒメは神武天皇に娶られる。合わせて大和国を譲られる。だけど崇神天皇の時代、オオモノヌシは祟る。祀りあげられる。祀りあげられた祟り神は護り神となる、と思いたい。トミビコさんは護り神となったのか。
 桓武天皇はホヒのカモ族とハタ族に山城国を譲られる。だけど欽明天皇の時代、山城国の地主神の賀茂大神は祟る。祀りあげられる。祀りあげられた祟り神の賀茂大神は、護り神の賀茂大神(賀茂別雷命)となる。山城国の神話で、火雷大神はヤタノカラスの娘を娶り、賀茂別雷命が産まれたとある。

 スマホを弄る。
 まずは火雷大神が噴火雷の神格化ならば火山があるはず。乙訓坐火雷神社の後方に加茂勢山(ポンポン山)がある。火山でない。山城国に火山はない。畿内五国は、地震は起きるけれど、火山はなく、噴火は起きない。そして山城国は雷が多い。やっぱ雷神か。
 火雷は噴火雷説のほかに雷光説と、落雷火災説がある。いずれ本物の雷神。たしか賀茂大神の祟りは長雨。もしかしたら雷が光り続けたかもしれない。もしかしたら雷が落ちつづけたかもしれない。もしかしたら落雷火災が起きたかもしれない。そして祟り神の賀茂大神(火雷大神)をヤタノカラスの娘が祀りあげ、雷が鎮まり、雨が止み、護り神の賀茂大神(賀茂別雷命)が生じる。山城国の神話で、賀茂別雷命は天に昇ったとある。

 賀茂大神も、もとはオウのカモ族の崇める蛇神。オオモノヌシと同神。出雲国も、大和国も、山城国も譲らされる。棲む地を奪われる。蛇神の賀茂大神は雷神の賀茂別雷命となる。祟る蛇神は雷神に鎮められ、棲む地は譲らされる。
 出雲国の神話に国譲神話はない。だけど国譲神話の神社はあり、社伝で国譲を伝える。ホヒ族が建てた神社。のちにイヅモ族となり、全国各地に国譲神話の神社を建てる。
 賀茂別雷命は神話で出ない。だけど山城国の神話、賀茂別雷神社の社伝で出る。ホヒのカモ族が嘯いた神話、社伝。賀茂別雷命はミカヅチヲに肖った神様か。もしかしたら賀茂別雷命は山城国の国譲神話のため創られた神様かもしれない。
 天武系皇統は正当(正統)な皇統でなく、治めた大和国は正当(正統)な皇都でない。崇神・応神・継体・天智系皇統が正当(正統)な皇統であり、山城国が正当(正統)なシンの皇都である。大和国は、神武天皇からの崇神・応神・継体系皇統の皇都。桓武天皇は山城国の遷都でしくじってる。もしかしたらからの遷都に正当(正統)な理由が欲しかったかもしれない。
 だけどホヒのカモ族はヤタノカラスの娘の後裔でなく、兄の後裔という設定。賀茂別雷命はホヒのカモ族の祖神でない。甥神。しくじっても正当(正統)な理由がある。
 しくじらず、ホヒのカモ族はただのカモ族となり、全国各地のカモ族をまとめる。全国各地の贄をまとめる。太政官内蔵寮の頭の申食国政大夫となる。贄殿は宮所(宮殿)に設けられ、管理を任される。



 スマホを弄る。
 ミカヅチヲは、じつは雷神でない。神名は神話(古事記)で建御雷だけど、史話(日本書紀)で武甕槌。オオモノヌシを祀りあげる大神神社。摂社に高宮神社(神坐日向神社)がある。祭神は建甕槌(ミカヅチヲ)。大神神社に奉じる一族の祖神。
 一説に塞神や岐神の甕の神様という。神話で、ミカヅチヲは出雲国平国の前に、古の戦の前に、カガセヲを大甕山に鎮めたとある。常陸国の神話で、多賀郡(日立市)に神様の棲む山と人の住む里の堺界に大甕を埋めたとある。甕を埋めたり、梲を立てたり、人が神様の神域へ入らないように、神様が人の領域へ入らないように塞ぐ神様。堺界の神様。
 ミカヅチヲは本物も、偽物も雷神でない。塞神や岐神と同神。

 中央構造線はもうひとつの構造線と交わる。地上で見られないため仮説で棚倉構造線、または柏崎千葉構造線という。糸魚川静岡構造線と棚倉構造線の間が中央地溝帯。断層が線状になると構造線。面状になると構造帯。没んだ構造帯を地溝帯という。中央地溝帯は日本列島で最大の地溝帯。東日本(東国)と西日本(西国)の堺界、縄文文化と弥生文化の堺界は糸魚川静岡構造線、または棚倉構造線(柏崎千葉構造線)。

 火山の多い日本国土。火山があるかぎり、噴火が起きるのは当然である。世界の1割の火山(活火山)が日本国土にある。つねに造山活動、火山活動、断層運動は起きる。つねに噴火は起きる。噴火で現れた噴石、地震で顕れた露頭の神様のイシカミ信仰。噴火や地震の畏怖と畏敬。とくに噴火。噴火の、火の力は地の生気や生力を、水を、草花や木を、色々な虫を蘇らせる。蛇神信仰の大元のイシカミ信仰。
 とくに東日本は富士、乗鞍、鳥海、那須火山帯と火山帯だらけ。富士火山帯は中央地溝帯にあり、チョー活動中の火山が多い。西日本は火山が少ない。ゆえに東日本は噴石の、西日本は露頭や崖のイシカミ信仰という。
 神様に、八幡神や佛様のような人格はない。[武神彼氏]に出る神様はおいといて。
 恵むけれど祟る神様。祟るけれど恵む神様。自然の中で生き続けるかぎり、人格のない神様の気儘は、自然の気象は、しかたがない。ないので、なにも言わないので巫が神言を伝える。人格のない神様が巫に託す。神託。
 つまり神言は自然に対する共有の意識や知識の認識化、具象化。
 人が同じ土地に住めば地勢(地質・地形)や気候に対する感情は似る。そんな感情の共有が、記憶や記録の共有、意識や知識の共有となり、共有の神様を創る。神様はだれのために、なにのために創られるのか。神様は自然の中で人が生き続けるために創られる。神様が祟れば畏れ、恵めば敬う。巫の伝える神言に畏まる。

 中央地溝帯は火山だけでない。縄文時代の住居遺跡も多い。一説に縄文時代の全人口の1/3が中央地溝帯の火山の山麓に住んだという。
 住みやすいけれど、生きやすいけれど、やがて噴火が起きます。気をつけましょう。
 祟られやすい地と時を、恵まれやすい地と時を代々の巫が継ぎながら伝える。地名は神言の神格化。塞神や岐神は共有の意識や知識の神格化。かつて自然災害が起きた地を知らせる神様。人が神様の神域へ入らないように、神様が人の領域へ入らないように塞ぐ神様。堺界の神様。だけど地名は変えられ、塞神や岐神は壊され、山は崩され、海、池沼や湖は埋められ、森は墾かれる。川は曲げられる。
 地は神様のモノから人のモノへとなる。国は国ツ神(地主神)のモノから天ツ神のモノへとなる。国を譲られた神話が書かれる。国ツ神が傲慢な天津神を祟る。事故が、自然災害が起きても、祟られても祀りあげればいい。鎮めればいい。だけど事故が、自然災害が起きる。鎮めても、祀りあげても祟る。
 忘れるな、と叫ぶ。

 ミカヅチヲは東国と西国の国堺に祀られた神様。いつのまにか東国を譲らせる神様、東征の神様となる。天意に順わないイシカミや龍神(蛇神)を、天ツ神に順わない星神を、国ツ神を、高天原の日神の後裔に順わない蝦夷を鎮める神様となる。出雲国(葦原ノ中ツ国)を、大和国(中ツ国)を、東国を譲らせる神様となる。鎮護国家の神様となる。



 中央構造線と合わさる棚倉構造線も凝り固まった古い断層で、断層運動は少なく、地震は少ない。龍穴に建つ鹿島神宮が蛇神のミナカタヌシが暴れないように押さえつける。

『だけど2016年に熊本地震が起きた。中央構造線に建つ阿蘇神社が壊れた』
『日奈久断層と布田川断層が震源です。九州の中央構造線も火山灰で隠れてます。地下に隠れた断層を見つけることはたんへんといいます。地震が起き、新しい断層を見つかることもあります。また、地震が起き、新しい断層ができることもあります』

 天武天皇を苦しめた伊豆半島以西の西国(西日本)の南海トラフと関わる地震は、なぜか天智系皇統に復したあと、以東の東国(東日本)の三陸沖と関わる地震へ変わる。大陸プレートの北米プレートと海洋プレートの太平洋プレートの堺界にある日本海溝で起きるプレート型地震(海洋型・海溝型地震)を三陸沖地震という。
 869年の貞観地震。1611年の慶長三陸地震。1677年の延宝八戸沖地震。1763年の宝暦八戸沖地震。1793年の寛政地震。1856年の安政八戸沖地震。1896年の明治三陸地震。1933年の昭和三陸地震。1968年の十勝沖地震。1978年の宮城県沖地震。1994年の三陸はるか沖地震。
 そして2011年3月11日の東北地方太平洋沖地震。
 プレートが動いて断層ができる。断層が動いて地震となる。いつ、断層型地震(内陸型・直下型地震)が起きるか。2004年の新潟県中越地震、2008年の岩手・宮城内陸地震など。棚倉構造線も影響を受ける。

 茨城県は地震が多い。ミナカタヌシさんを鎮めたミカヅチヲは地鎮の神様となる。
 塞神や岐神、国譲、鎮護国家の神様が、なんで偽物の雷神(噴火雷の神格化)になるのか。本物の雷神でないのか。

 雷神を祀る神社の本社はミカヅチヲの祀る鹿島神宮でなく、群馬県邑楽郡の雷電神社。祭神はミカヅチヲでなく、火雷大神。本物の雷神。落雷は東国(関東地方と東北地方)に多いけれど、茨城県は栃木県や群馬県と比べて少ない。南域は多いけれど、金村別雷神社が建つ。祭神はミカヅチヲでなく、本物の雷神。やっぱミカヅチヲは噴火雷の神格化、偽物の雷神か。

 スマホを弄る。
 噴火雷の神格化ならば、茨城県に火山は、……ない。地震は多いけれど火山はない。

 スマホを弄る。
 中国に地震はあるけれど、火山はない。異装の神様は噴火を知らない。

 異装の神様が流れついた地は西国で唯一火山の多い九州。霧島火山帯の阿蘇山、桜島、霧島連山、開聞岳。噴火中の火山を逃れ、瀬戸内海と紀伊水道を渡り、ついた紀伊半島で奇岩に、露頭に驚く。母国のかっこいい峡谷にない、噴火で模されたかっこわるい奇岩。そしてかっこわるい奇岩や崖を石神、露頭を蛇神として崇める蛮族。日のある天でなく地を崇める蛮族。

『じ、神武征東神話で、熊野で塞ぐ国ツ神は、なぜか女神。または女の族長、だ。石神(イシカミ)信仰は、地の、古の神の畏敬だ。水も、草木も、地から生じ、地へと還る。そして再び生じる。出生と死。さ、再生や蘇生の祭、だ。祭を司る巫が族長となり、母系血統の女が長を、信仰を継いだ。天ツ神は、順(マツラ)わぬ巫がジャマとなる』

 蛮族の巫を、ミカヅチヲに授かった剣で斬り殺す。
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