103 敗者の剣のC&C

文字数 2,348文字



 上社(本宮と前宮)と下社(春宮と秋宮)の4社で諏訪大社。じつは上社と下社は創祀創建の所以が異なる。上社本宮は、もとは建御名方富命神社、または南方刀美神社。ミナカタヌシさんを祀る。
 ミナカタヌシさんの一族は、一説に青潮(対馬海流)で南洋諸島から台湾島、五島列島を経て九州西域へと流れついた海人族。筑紫国から高志国までの北海(日本海)を治め、九州南域の隼人のアタ族と関係もあったという。一族は高志国に移り、カムド族と姻族となり、出雲国に移る。そして古の戦で高志国へ帰り、アヅミ族のクメ水軍に諏訪国へ遂われる。宗像大社はミナカタヌシさんと関係のない一族が奉じる。祭神もミナカタヌシさんと関係はない。高天原の日神とスサノヲさんの誓の(ウケイ)で生じた子神、五男神三女神の三女神を祀る。五男神は、天孫神ホノニニギの父神のカチハヤヒ(オシホミミ)、ホヒヒコ、カゲヒコさんの父神のアマヒコ、近江国に関わるイクヒコ、熊野国と大隅国に関わるオオスミヒコ。
 信濃国を経て大隅国、薩摩国、日向国の守護職に命じられた島津忠久がミナカタヌシさんを九州南域に祀ったため、九州南域に諏訪神社(南方神社)が多い。帰郷。
 上社前宮は地主神を祀る。蛇神信仰、石神(イシカミ)信仰の起源の諏訪信仰の神様。アソ族が奉じる。下社は石神(シャクジン)信仰の神様。または農耕(稲作)を司る神様。諏訪信仰は、下社により鎮火や地鎮信仰、征東征夷により戦勝信仰となる。

 御柱祭は7年毎に行われる諏訪大社の例祭。御柱となる樅を伐り、曳き、4社の社殿の四方に神木として建てる。神様の宿る神体を、山中に生きる神体を伐り、曳き、建てる。
 なんでだろうか。スマホを弄る。

 和歌山県の熊野那智大社の摂社・飛瀧神社と、イザナミさまを祀る花窟神社で行われる扇祭。熊野速玉神社の摂社・神倉神社と、熊野信仰の発祥地の阿須賀神社で行われる御燈祭。火を讃える祭でなく、人の鑽りだした火で山の火(噴火)を鎮める祭。
 扇祭は飛瀧神社から熊野那智大社へと那智滝の神を迎える例祭。祭に隠れ、こっそりと花窟神社から熊野那智大社へとイザナミさまを神代(カムシロ)に憑かせて迎える前日祭の神事が行われる。そしてイザナミさまが帰れないよう、神代を捨てる。
 大きな祭は、だいたいは祭の起源となる祭りごと、政(マツリゴト)の神事があり、祭に隠れて前日に行われる。だいたいは創祀創建に関わる祟り。葵祭の御阿礼神事(御蔭祭)。禍い(災い)が起きないよう、祟りを鎮める神事。

 御柱祭に隠れ、こっそりと行われる前日祭の神事。あるんだろうか。……わからない。
 わかったのは、御柱に選ばれた樅に標として薙鎌を打つ神事。小倉神社と境の宮諏訪神社で行われる薙鎌打神事。諏訪国の国堺の標として薙鎌を打つ。



 諏訪国(信濃国諏訪郡)は天武天皇と持統天皇が関わる。
 南海トラフの地震が続くなか、684年に伊豆大島の噴火と、統治下の畿内五国の白鳳地震。天武天皇は科野国(信濃国)に遷都を考えたけれど、685年に浅間山の噴火。686年に天武天皇はショックで倒れる。持統天皇はアソ族に浅間山の山神(浅間神)を鎮めるよう命じる。鎮まったけれど……。
 天武天皇の死後の691年。持統天皇は、祖母の皇極天皇(重祚で斉明天皇)の神威を得るため戸隠神社を建てる。皇極天皇は644年に定額山善光寺を建ててる。戸隠神社の別名は戸隠山顕光寺。主神はタヂカラヲでなく、須波(諏訪)神。ミナカタヌシさん。
 善光寺も、顕光寺も、創建にミナカタヌシさんの一族が関わる。
 769年に宇佐神宮の神言事件が起き、770年に天智天皇の孫が光仁天皇となる。天武系皇統が絶え、天智系皇統に復する。桓武天皇は神宮とともに善光寺を排する。

 なんで持統天皇はミナカタヌシさんを祀りながら、ミカヅチヲに斬り殺させたんだろうか。やっぱ物語の展開と関わる大事な鍵を持ってるんだろうか。
 なんで持統天皇はミナカタヌシさんを諏訪国に鎮めたんだろうか。やっぱ世界の変化と関わる大事な鍵を持ってるんだろうか。
 なんで持統天皇はミナカタヌシさんを諏訪国に祀ったんだろうか。
 やっぱ遇いたい。
 そして。御柱祭に隠れ、こっそりと行われる前日祭は、神事はある。スマホを弄る。

 Click & Collect。



 厳(イカ)しき神様と斎(イツ)しき神様は同神。一説に厳しき神性(荒魂)のオオモノヌシ(トミビコさん)と斎しき神性(和魂)のオオクニヌシさんは表裏関係、補完関係で同神という。

『オオクニ殿が羨ましかった。ワカヒコの話を聞くたびに、羨ましかった。ニギハヤヒと義兄弟の契を交わしたときは嬉しかった。姫、ニギハヤヒを責めないでください。どうしてもワタシは、ニギハヤヒを憎みきれません』

 神威の強い神様を神威の強い巫が鎮める。祟る神様の贄(生贄)となり、殺される。死んだ巫は娘神となる。永遠に鎮める神様となる。

『そ、そうだ。神のために殺される。まるで、に、贄だ。笑える』

『か、巫が人であるかぎり、生きてるかぎり神格化とならない。し、死んで神となる』

 高天原の日神とスサノヲさんの誓で生じた三女神を祀る厳島神社。本来の祭神は三女神でない。さらに島神でなく海神。潮流や潮位に関わる島で、荒れる海神に海人族の巫が斎く(仕える)。宗像大社の建つ玄海(玄界灘)も同じ。
 瀬戸内海も、玄海も航海の要衝地。やがてアマ(海)の彼方から異民族がやってくる。異装の神様。蕃神。一族の生業が漁撈から海運へと替わったのか。漁撈の一族が海運の一族に代わったのか。祭神も変わる。アマ(天)の神様に仕える。今の厳島神社と宗像大社はアヅミ族のクメ水軍の後裔一族が奉じる。なんとイヅメとイワドノヲも関わる。
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