114 ニクの男神とミトくん

文字数 2,670文字



 天智系皇統に複し、桓武天皇は天武系皇統の平城京を廃し、新しい宮所(宮都)を造る。平安京。
 天武天皇の死後、佛力(法力)を強めた平城京の佛教。祭りごとを司り、政(マツリゴト)も関わる。南都六宗(平城六宗)。桓武天皇は南都六宗に代わる、佛教を考える。
 天智天皇の近江大津宮のあった近江国滋賀郡で産まれた最澄。桓武天皇の勅命で比叡山(日枝山)に延暦寺を建てる。天台宗は、神佛習合で日枝神社(のちの日吉神社/日吉大社)と混ざり、南都六宗を潰し、天智系皇統を、平安京(宮城)を護る。
 天台宗は、徳川家も、江戸(江戸城)も護る。
 明治維新の神佛判然(神佛分離)、佛教排斥(廃佛毀釈)で佛力を弱めた。だけど天台宗は日本会議(神道政治連盟)に加わり、政に関わる。別れた日蓮宗(法華宗)の付宗が政に関わる。飛鳥昭雄も怖くて書けない。笑える。
 なぜか出雲大社に天台宗の鰐淵寺があったり、神宮に関わったり、八幡信仰や稲荷信仰や熊野信仰に関わったり。
 出雲国と紀伊国の熊野を変え、熊野大社と出雲大社、熊野本宮大社の祭神をスサノヲさんに変える。八幡神も、稲荷神社や外宮の祭神のウガメ(ウカヒメ)も変える。陰陽道も天台宗により占術から咒術へと変わる。

『道教の北斗七星の神様は、なんと天台宗の佛様に変わるわけだ』



「キキキぃ」
 将星のキリンは天を仰ぎながら呟く。気になって私達も仰ぐ。
 太陽の黒点か。いや、太陽に陰られたものが、大きなものが落ちてくる。
「そうか」
 戦隊モノのセオリーどおりならば、次の展開は……。

「コケぇぇぇぇ」叫び声とともに落ちる。

 ドゴゴゴッ。
 地が響く、鳴る。地震。空も響く、鳴る。空振。地中の土砂が、空中に舞い、ゆっくりと落ちる。土砂の中で、ゆっくりと大きなものが動く。
 額に貳捌の入墨が彫られた巨大ロボ。
「髭(くちひげ)の巨大ロボ。なんか見たことがある」
 ワカフツヌシさんでなく、えーと……。
 肩に、私に左腕を斬られたニクの男神(肉の入墨の男神)。
 アドレナリンが湧きでる。(読者は1年前の)昨日の戦を思いだす。
「だけど巨大ロボは、あまり動かいんじゃないの」ニクの男神を冷たくあざわらう。

「コケぇぇ。叩き潰せぇ、握り潰せぇ」手に持った鼓を打つ。
 巨大ロボが両手を振りまわしながら走る。

「なんとッ。走れるのかッ」
「な、なるほどッ、攻撃は、さ、最大の防御だッ」クエビコさんが嬉しそうに叫ぶ。

「コケぇぇ。ジャンボマッ……、いや、ミトくんッ。オジャマ虫をぉぉ潰せぇぇ、ツクヨミをぉぉ潰せぇぇ」走る。
「そうか。ジャンボマッ……」逃げる。
 東日本のシラヒゲの神様。巨大な蕃神。海を越えた進撃の巨神。
 ミト(ミナト)神。水戸(水門)の神様。川口(川の出口・海の入口)を護る塞神。外宮摂社の御食神社、伊勢国度会郡の水戸神神社の祭神。
 一説に津(港)を護る住吉神社の本来の祭神という。さらに潮汐を司る月神、内宮別宮の瀧原宮の祭神、そしてイヅメ(伊豆能売神)やセッちゃんと同神という。
「ということは、……」
 ついで。ヤマト(山戸/山門)は山の出口、里の入口。つまりフモト(麓)。やっぱ塞神を祀る。

 政争で負け、信濃国に逐われたイヅメの後裔一族。一族の巫は鬼の紅葉伝話となる。常陸国の神話で、さらに後裔一族は常陸国に逐われたとある。平安京から信濃国、常陸国へと逐われる。
 なんと作者のチョー長い論説は伏線だったのか。こんな伏線回収だったのか。

「コケぇぇ。オジャマ虫をぉ潰せぇぇ。コケぇぇ。ツクヨミをぉ潰せぇぇ」叫び歌う。

 ニクの男神をミトくんが走る。
 私、クエビコさんを抱えたワカヒコくん、カゲヒコさんが逃げる。ニクの男神を乗せたミトくんが追う。スサノヲさん、オオクニヌシさん、ワカフツヌシさんが追う。ミトくんの破壊行為がなければ、いいオトナが鬼ごっこ。神話の代表格神様が公園で鬼ごっこ。
「よ、読んだことが、あるッ。たしか中野の、こ、古書店で立ち読んだ本だッ」
 クエビコさんとワカヒコくんは図書館だけでなく、書店も行く。
 鬼ごっこの起源は宮中行事の追儺。節分の豆まき。古代中国で新年(立春)の前日に行われてた鬼神(疫神)を払う儀式。のちに鬼を払う(追う)人が、鬼に払われる(追われる)ようになり、鬼ごっことなる。民明書房刊[鬼ごっこの歴史]より。
 クエビコさんのムーな話のネタは、ムーな本、トンデモな本だ。実話かわからないけれど、書いた人の欲望だらけ。
「こんなかんじねッ」走りながら叫ぶ。
 世界の変化で隠世と現世の堺界があやふやになり、現世に隠世の影響が現れる。公園に旋風が起きる。ミトくんが降り立った時の地震で集まった、近所の人達が見てる。旋風で土煙、砂埃が舞い上がる。
「狹くて戦いにくいッ」スサノヲさんが叫ぶ。
「はい。遊具に塞がれます。あと、視界が、……」ワカフツヌシさんが惑う。
「3方は挟みこみにくい。とりあえず2方に別れましょう」
 オオクニヌシさんが言い、回りこむ。隠世で遊具を通りぬけられるけれど、舞い上がる土煙や砂埃で視界が悪く、振りまわすミトくんの長い両手で間合が詰めにくい。
「コケぇぇ。オジャマ虫をぉ潰せぇぇ。コケぇぇ。ツクヨミをぉ潰せぇぇ」叫び歌う。

「カゲヒコさんはッ、戦わないのッ」走りながら叫ぶ。
「ウン、オレは剣神でないッ。鍛冶神だッ。剣を鍛えても、剣は振らない。アー、だいたい、あんな巨躯に剣が通じるかッ」走りながら叫ぶ。
「よ、読んだことが、ある。滅亡の書で、そ、空を覆い、死を運ぶ巨(オオ)いなる兵(ツワモノ)の神。古代人が創った神だッ。く、平国の、神だッ」抱えられながら叫ぶ。
「クーさんッ、ウルサイよ、ウルサイッ」抱えながら、走りながら叫ぶ。
「か、鍛冶族が、戦勝祈願のため造った巨いなる兵の神像は、28像ッ。シラヒゲの社に、か、隠し祀るッ。まさか動くとはッ」抱えられながら叫ぶ。
「すでに元ネタがわからないッ」走りながら叫ぶ。
「ツーちゃんッ、ウルサイよ、ウルサイッ」睨みながら、走りながら叫ぶ。
「イ、イヅメの鬼道(オヌカミのミチスベ)で、う、動かしたかッ」
「なんとッ」
「ウルサイよッ、ウルサイッッ」
 権利者も、私も気づかないような、ふざけた設定。法務担当者も悩むような設定。



 天台宗に潰された南都六宗。
 だけど南都六宗は天台宗の密教に、咒術的儀式に大きく関わる。イヅメの鬼道に、陰陽道に大きく関わる。
 そして今も法相宗(興福寺と薬師寺)、華厳宗(東大寺)、律宗(唐招提寺と西大寺)の3宗が残る。今もいざなぎ流、八咫烏陰陽道として残る。
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