97 ヲハバリの剣のC&C・前篇

文字数 1,814文字



 カガヒコを斬り殺したヲハバリの剣。スサノヲさんのハバキリの剣と同じくハバ(蛇)を斬る剣という説、鋭く聳えた山のように鋭い剣という説、さらにヲハリ族の長の佩剣という説がある。
 のちに中ツ国の国譲神話で、天父神イザナギの佩剣の神様とミカヅチヲは親子となる。
 イザナミさまの屍に生じた神様。火雷大神。賀茂別雷命の親の火雷大神もただの雷神でなく、噴火雷の神格化。つまり地母神イザナミさまが産んだカガヒコは火神でなく、火山の神様となる。火山の神様の血と屍に生じた神様は多い。噴火と、三穢の畏怖の神格化。具象化。悪魔か。チェンソーマンか。

『あ、新しき信仰に、古き信仰は、順わぬ古の神はジャマとなる。侵攻は、新しき権力者に随わせる、新しき神に順わせることだ。信仰は、つねにリセット。出生と死は、あ、天ツ神の忌む、白穢、黒穢。噴火は、天ツ神の治める世に災禍を齎す。溶岩(マグマ)は地母神の血。産穢、赤穢、だ』

『し、神話に合わせ、石神(イシカミ)信仰の古の神はイザナミとなった。イザナミとして祀った。古の神を、地母神イザナミとして地鎮(トコシズメ)の岩で、か、隠した。明治政府の、神話の上書保存だ。天武が正当を曰うための、古の神や国ツ神を順わせるための神話。明治政府は、国家神道の根元として神話の上書保存を行った。高天原の日神の正統と、皇統の正当を曰い、人を順わせる、国を治める神話とした。千引岩は、維新前の神々を鎮める神鎮(カムシズメ)の岩、だ』

 原・熊野信仰は熊野カルデラの噴石の石神(イシカミ)信仰と水神信仰。天武天皇により隕石、丸石の日神信仰と、明治政府により石神(シャクジン)信仰と変わる。
 イザナミさまは熊野市の花窟神社に祀りなおされる。千引岩は花ノ窟(岩屋)。高天原の日神が籠った天ノ岩屋。イザナミさまは籠らされる。祀りなおされる。例祭の御縄掛神事はイザナミさまを祀りなおす花の祭。千引岩の前の王子ノ窟(聖ノ窟)にカガヒコは祀られる。籠らされる。
 たぶんカガヒコは世界の変化の、物語の展開の大事な鍵を持ってる。だからカガヒコは黄泉国の特別室で眠ってる。スサノヲさん、オオクニヌシさんのツテで遇えるけれど、黄泉国は黄泉神のほかは死なないと堕ちれない。遇えない。うーむ。



 雷神を祀る雷神社は山形県や福島県、千葉県に多い。同じく雷電神社は群馬県や栃木県に多い。雷電社、雷電神社の本社はミカヅチヲの祀る鹿島神宮でなく、群馬県邑楽郡の雷電神社。雷電社、雷電神社の祭神はミカヅチヲでなく、火雷大神。落雷は東国(関東地方と東北地方)に多いけれど、東国平国の鹿島神宮のミカヅチヲは関わらない。鹿島神宮の建つ茨城県は、栃木県や群馬県と比べて少ない。利根川に沿って雷雲が流れるため、千葉県のほうが多い。ただし茨城県も南域は多い。邑楽郡の雷電神社とともに有名なつくば市の金村別雷神社。祭神は別雷大神。社名、神名で賀茂別雷神社の賀茂別雷命の分祀と思ったけれど、違う。本物の雷神。つまりミカヅチヲも、賀茂別雷命も、偽物の雷神だ。
 賀茂別雷命も、ミカヅチヲも、火山の神様を、地震の神様を、海や山の持主の神様を、地主神を、古の神様を鎮め、土地を譲らせるため、遣わされた雷神。

 落雷の祟りと、雷が誘う雨の恵み。畏怖と畏敬。雷電社、雷電神社は雷鎮祈願だけでない。降雨と豊穣祈願もある。雷のプラズマ(放電現象)で空中の窒素は雨に溶け、降って地中に溶ける。窒素は生物の必要元素。だけど植物の葉は窒素をとりこめないので、溶けた窒素を根がとりこむ。雷の落ちた処に青竹を立てる。標縄を張り、紙垂を垂らし、稲の豊穣を願う。紙垂は雷を表す。稲に昼日と夕立(雷雨)は必要。稲妻。本来は稲夫。雷は稲を孕ませる、実らせる。そんな感情の共有が、記憶や記録の共有、意識や知識の共有となり、共有の雷神を創る。だけどミカヅチヲも、賀茂別雷命も、なんで偽物(噴火雷の神格化)なんだろうか。
 ついで。
 火(炎)も、火の玉(球雷)も、有明海や八代海の不知火も、オーロラも、プラズマ。プラズマは、固体、液体、気体に次ぐ物質の第4の状態。悪霊(モノノ怪)の所為で、エクトなプラズマ。
 ついでのついで。雷神が夕方に降りたつので夕立。雨が降って地が固まる。
 パルス(バルス)が弾けて展開は転がる。
 リーテ・ラトバリタ・ウルス・アリアロス・バル・ネトリール。

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