54 女神の落泪・前篇

文字数 739文字



 ミナカタヌシさんを調べる前に眠ってた。

 翌朝。広縁に出ると窓外が濡れてた。霧雨。……雨は嫌い。
 剣を振り、シャワーを浴び、ドライヤーで髪を乾かしながらスマホを弄る。
 ミナカタヌシさんも、ナゾの多い神様。出雲国の神話に出ない、真名はわからない。ただ、御名方(御名の方)という高貴な神名の神様。たぶんかっこいい。

 九州北域の海人の、黥面文身のムナカタ(胸形)族。
 または諏訪大社は、かつて南方刀美神社。九州南域に分祀の南方神社がある。つまり九州南域、または南方の、南洋の海人のミナカタ族。……なんかつまらない神名だった。
 一族は青潮(対馬海流)で、筑紫国から高志国までの北海(日本海)を領海とした。昔の、宗像大社の沖ノ島の前方の対馬島、隠岐島や佐渡島が本拠地。九州南域の隼人と関係もあった。のちに一族は高志国に移り、カムド族と姻戚となり、出雲国に移った。そして古の戦で一族は高志国に戻り、さらにアヅミ族のクメ水軍に諏訪国へ遂われた。
 宗像大社は、今はミナカタヌシさんと関係のない一族が奉じてる。祭神もミナカタヌシさんと関係はない。
 
 ミカヅチヲに腕を捥がれたミナカタヌシさんは、まさに蛇。地主神の蛇神と合わさり、諏訪湖に沈められる。諏訪湖の水神と合わさり、鎮められる。だけどミナカタヌシさんはラッキーだった。コッソリと地主神の神統を継ぎ、武神として崇められ、全国に祀られる。
 海人族は定住地がない。漁場に合わせて移り住む。アヅミ族も天ツ神に順い、行動域、生活圏を拡げ、全国各地に一族の名を残す。昔の科野国(信濃国)安曇郡、今の長野県安曇野市にアヅミ族の奉じる穂高神社が建つ。ミナカタヌシさんの一族も、北海(日本海)側の地名に一族の名を残す。北海はミナカタヌシさんの一族の領海だ。
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