55 女神の落泪・後篇

文字数 707文字



 スマホを弄る。
 出雲国の国引神話の美保崎にある美保神社。祭神はタカミムスヒの娘の、オオクニヌシさんの妻のミホメと、コトシロヌシさん。ゆえに美保神社という。
 やはり妻神がいた。
 だ、だけど神話で政略結婚。だからオオクニヌシさんの本意でない。だいたい、ミホメはコトシロヌシさんの実母でない。継母と祀るか。ふつう夫婦、または実の母子だろう。
 さらにスマホを弄る。祭神は、じつは沼河の姫。そして沼河の姫とオオクニヌシさんの実子のミホのススヒコ。ゆえに美保神社という。ミナカタヌシさんの真名。
 オオクニヌシの妻神は多く、沼河の姫も……。泪で読めない。
 近隣国の姫を娶りまくり。泪が溢れる。
 180柱の子神を作りまくり。泪が落ちる。
「いや、違うッ。ぜったい、チャラ男のナムヂさんだッ。オオクニヌシさんはッ、眼鏡好男子は、違うッ」

『ええ、戦法を変えました』

 オオクニヌシさん、眼鏡は私の攻略武具でないよね。

『キイの国に居られたとき、時々、本家に伺って作ってましたから、ツクヨミさまの好みにぴったりのはずです』

 オオクニヌシさん、違うよね。

「ツ、ツクヨミ、どうした。鼻水が出てる。お、女子(オナゴ)がみっともない。は、早く拭け」
「鼻水じゃないッ」
 ドゴッ。
 首に巻いてたタオルで元凶(最強の軍師)の布で作られた頭を叩く。弾かれて壁に当たる。
「ごめん。わざとだから」
「ツ、ツクヨミはオレの扱いが、ど、どんどんとぞんざいに、なる」
 泪を拭い、大きく溜息をつく。
「そう、かな」
 クエビコさんの体に干してたブラジャーを取る。ドライヤーで乾かしながら、転がってる頭に応える。
「クエビコさんがいないと困るから」
「オ、オレは、も、物干竿か」
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