83 ハッピーなカラス・中篇

文字数 2,322文字



 私の住む埼玉県さいたま市もカモの地名とカモ神社があった。
 スサノヲさんを祀る大宮氷川神社に行ったとき、色々と調べてた。

 さいたま市北区宮原町。町名の宮は大宮(氷川神社)でなく、賀茂別雷神社の分祀の加茂宮(加茂神社)。かつてカモ族が住んでた鍛冶村だ。高崎線宮原駅もあるけれど、埼玉新都市交通伊奈線加茂宮駅もある。鴨川が流れ、住人にとり氷川神社よりも加茂神社が親しまれる。まあ、私も親しまない。弟神を待つのも、弟神のおさがりもイヤなので。
 そして隣の越谷市に蒲生の字名がある。綾瀬川が流れ、かつて蒲が生えてた蒲生村だ。一説に蒲が生える地をカモといい、転じてガモウ(蒲生)という。また、水辺に生える草を総じて茅、または蒲という。ということは宮原町も蒲原が広がってたんだろうか。鈴石で有名な滋賀県蒲生郡日野町、淀川の川口の大阪府大阪市城東区蒲生。水辺に生える蒲の根本に、鉄分の含んだ水が固まり、鈴石(褐鉄鉱石)が成る。
 ついで。越谷市に宮内庁の埼玉鴨場がある。カモの地で蒲を採り、鴨を狩る。ラッキーマンやバクマンを生む。ついでのついで。宮内庁の鴨場は、ほかに新浜鴨場がある。カモの地で后を娶る。ついでのついでのついで。色々な蒲。菖蒲、蒲柳、蒲葵、蒲公英。蒲焼、蒲鉾、蒲魚。蒲団。蒲黄。調べたら色々とある。



 川、池沼や湖などの水辺に棲む鳥の巣や帰巣性は、鉄(鉄鉱石)と関わる。
 鴨は、川、池沼や湖などの水辺に棲む小さな鳥の総称。羽蟲。のちに家畜化で家鴨となり、野生の鴨は真鴨(野鴨)となる。真虫。字源は鳴き声を表す[甲(kap)]とツクリの鳥の会意&形声文字。カモの語源は浮(ウカ)む鳥、囂(カマ/カマビス)し鳥(囀り騒がしい鳥)など。
 囀り騒がしく帰ってきた鴨を狩る。ネギを土産に帰ってきた良い鴨は良い贄となる。悪い烏は良い鴨を随える。

 全国各地の貝塚で鴨の骨が見つかった。鳥獣の中で鉄分(ヘム鉄)が多い鴨。昔は、人は体内で作れない鉄分を貝と鴨で摂ってた。

 そして貝や鴨も体内で鉄分を作れない。体外からの摂取。貝や鴨に鉄分が多いのは棲む川、池沼や湖と関わる。砂鉄を求め、全国各地へ移る鍛冶族にとり、鴨は動物性蛋白質だけでなく、ビタミンB2、鉄分、良質な脂質の摂れる山の幸。ランニングシャツにニッカボッカ。肌は褐色に焼け、短髪のマッチョ。鴨を食べ、鉄(鈴石=褐鉄鉱石や砂鉄=磁鉄鉱石)を採り、鍛える。
 ガテンに大事な獲物だ。



 川を掬い、川砂鉄を採る。川を遡り、山に辿りつく。山砂鉄を見つける。山を掘り、崩し、山砂鉄を採る。オウ族は川砂鉄を求め、飛鳥川で檜隈の姫と遇う。オウ族は山砂鉄を求め、三輪山(御諸山)でトミビコさんと遇う。色々と揉める。頭の、長のオオクニヌシさんがくる。
 三輪山の隣の巻向山(纏向山/穴師山)に建つ穴師大兵主神社。穴師坐兵主神社、巻向坐若御魂神社、穴師大兵主神社の3社。今の大神神社摂社の檜原神社が昔の巻向坐若御魂神社という。祭神は、一説にオオクニヌシさん。穴掘(山砂鉄の採鉄)の護り神。掘られるのは三輪山。鉄穴(カンナ)山。神様の隠れる神奈備(カンナビ)山。隠れるのは鉄の神様。他人に岩石を掘りださせないため、砂鉄を摂られないため、禁足地となる。
 兵主神社は山陰地方、とくに但馬国(兵庫県北部)に多い。近江国に兵主神社(兵主大社/滋賀県野洲市)があり、兵主(ヒョウス)神は採鉄や製鉄、鉄器の護り神となる。
 さらに兵庫県の語源が、一説に兵庫(ツワモノクラ)で、兵主(ツワモノヌシ)神は鉄製兵器の護り神、武神となる。

 かつてオオクニヌシさんの統治は出雲国に始まり、北上で山陰道の伯耆国、因幡国、丹波国、北陸道の若狭国、高志国。南下で石見国に及んだ。そして山城国と大和国へオウ族を移した。いや、ヤタノカラスが一部のカモ族を随え、大和国から山城国へと移ったという。やっぱ鴨川で砂鉄が採れた。
 大和国に始まり、畿内五国に及んだ天ツ神の統治。丹波国は山陰道と北陸道と、畿内の要衝地。国ツ軍と天ツ軍の緩衝地。丹波国は要衝地、緩衝地だけでなく、丹砂が採れた。
 古の戦が始まり、天ツ軍が勝った。のちに丹波国、但馬国、丹後国に別けられた。
 出雲国で、カムド族の権力が強まり、オウ族とカムド族の関係が崩れはじめたとき、オウ族に異装の神様が訪れた。異装の神様は大和国を治めたという。異装の神様が、友好の手を差しだした。
 オウ族は、異装の神様に順(マツラ)うホヒ族と、順わないオウ族に別れた。
 カモ族は、ヤタノカラスに随うホヒのカモ族と、随わないカモ族に別れた。

 そして。ヤタノカラスの孫は賀茂別雷命。賀茂別雷神社、さいたま市北区宮原町の加茂神社の祭神。出自は祖父のヤタノカラスよりもわからない。有名な神社の、神話に出ない無名な祭神。江戸時代までの平安京の後方(北方)を護る神様。そういえばホヒヒコも後方を護りたがった神様だ。必殺な簪に気をつけなければ。なんのこっちゃ。



 カモ族の関わる鴨川は、岩屋山金光峯寺(志明院)の神降窟の湧水に始まり、京都府京都市北区上賀茂(賀茂別雷神社)、京都市左京区下鴨泉川町(賀茂御祖神社)を通り、桂川(葛野川)に流れそぐ。金光峯寺はオウのカモ族の役小角(賀茂役君)が創建。平安京の北西の乾(戌亥)の天門として空海が再建。平安京を遂われたエイリアン(魑魅魍魎)が棲む。
 鴨川は滋賀県も流れる。比良山の湧水に始まり、滋賀県高島市鴨を通り、琵琶湖へと流れいる。高島市は近江国と若狭国を結ぶ北陸道の要衝地で、鴨川とともに安曇(アド)川も流れる。近江牛に続く近江鴨の肥育が始まる。
 カモ族はアヅミ族や近江国の鍛冶族と関わる。
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