115 ホウオウなキリン

文字数 1,699文字



 ダイダラボッチは全国各地で伝わる巨人。山を造る伝話は東国(東日本)に多い。上毛三山の榛名山、赤城山、妙義山、筑波山、浅間山、平尾山、戸隠山などの山は、ダイダラボッチが関わる。常陸国の神話で、常陸国那珂郡の晡時臥山(朝房山)は、村人に頼まれたダイダラボッチが動かしたとある。だけど村人は礼を言わず、ダイダラボッチはなにも言わず、隠世に隠れ、忘れられる。
 ……なんか忘れたことがある。

「ダイダラボッチは山を造ったりッ、池沼や湖を掘ったりッ」走りながら叫ぶ。
「ツーちゃんッ、ウルサイよ、ウルサイッ」私を睨みながら、走りながら叫ぶ。
「オ、巨(オオ)いなる兵(ツワモノ)の神は、地震の神だッ。古の神だッ。隠れてるから見えないッ。天ツ神の畏れる、隠ヌ神(鬼神)だッ。居ても見ないッ。見えないから随わせられないッ。まさに、ま、順わぬ神、だッ」ワカヒコくんに抱えられながら叫ぶ。
「クーさんッ、ウルサイよ、ウルサイッ」クエビコさんを抱えながら、走りながら叫ぶ。
「なんとッ、地震の神様かッ」
「……ツーちゃんッ、ウ、ウルサイよ、ウルサイッ」
 抱えながら、睨みながら走るワカヒコくんの息が上がってる。遅れぎみ。
 走ってるからでなく、ワカヒコくんは体力が、神力が下がってる。弱まってる。

「コケぇぇ。オジャマ虫をぉ潰せぇぇ。コケぇぇ。ツクヨミをぉ潰せぇぇ」

「そうかッ。忘れてたッ」
 ニクの男神は私だけを狙う。(読者は1年前の)昨日の戦を思いだす。
「ワカヒコくんッ、別れてッ」
「エー。ボクたちは別れるのッ。ボクは捨てられるのッ」
 追いつく。ワカヒコくんは弱まった神力をへこたれない性格で補ってる。
「捨てませんッ。だいたい、つきあってませんッ」
「カゲヒコさんもッ」
「アー、オレらは別れるのかッ。アー、オレは捨てられるのかッ」
「捨てませんッ。だいたい、つきあってませんッ。エーのボクもッ、アーのオレもッ、どーでもいーからッ、別れてッ。滑り台の陰に隠れてッ」変わった形の滑り台を指す。
「「どーでもいーの(か)ッ」」

「キキキぃ。ぼくもいるぞぉ」
 べつの滑り台の上の将星のキリンが叫ぶ。

「そうかッ。キリンも忘れてたッ。まさかッ、隠れてたのかッ。戦況が変わって現れたのかッ。ほんと将星なのかッ」
 
「キキキぃ。使えない鎖はぁオジャマ虫だぁ。ぼくのぉシン・神威をぉみせてやるぅ」
 滑り降りる。鎖と、付けてたパワーリストとパワーアンクルを投げ捨てる。
 両足を揃え、両手を伸ばす。なんのポーズだろうか。
「極星のぉぉホウオウぅぅぅぅ、変身ッ」
 なんとッ。麒麟は鳳凰に変わるのかッ。見ためは変わらないけれど。
 四神(四獣)とべつに、古代中国で麒麟、霊亀、応龍、そして鳳凰で四霊。頭は鶏、頸は蛇、胴前は麟(雌のキリン)、胴後は鹿、背は亀、頷は燕、尾は魚。玄武もびっくり。
 ついで。鳳が雄、凰が雌で番で鳳凰。麒麟も麒が雄、麟が雌。虹もじつは雄。雌は蜺。

「ポーズに鶏や、蛇や、麟や、鹿や、亀や、燕や、魚的要素がないけれどッ」

「奥義ぃぃぃぃ、天翔ぅぅ十字鳳ぅぅぅぅ」



「カゲさんッ、クーさんを持ってよッ」
「ワ、ワカヒコッ。オレをオジャマ虫と、お、思ってるのかッ」
「ク、クーさんッ、ウルサイから、……オ、オジャマ虫ッ」さらに息が上がってる。
 じぶんの限界がわかるらしい。悔しいけれど防具袋をカゲヒコさんに渡す。
「よしッ。逃げるの、やめッ」私はとまる。
 私は国ツ神を率いる女将(オカミ)ツクヨミ。
 まずは私が動かないと、主役が動かないと、戦況は変わらない。展開は変わらない。
 タカヒメに笑われたくない。キューピーちゃんに戦わせたくない。
「カゲヒコさんッ、ワカヒコくんとクエビコさんをよろしくッ」
「ツーちゃんッ」
「来いッ、コゾーッ」
 カゲヒコさんに引かれるワカヒコくん。ずっと私を見てる。調神社を思いだしてる。
「大丈夫ッ、ワカヒコくんッ。私はツクヨミだからッ」



 一説に天台宗の密教の影響は南都六宗でなく、フエフキ族やヲハリ族の、ヤマトのアヤ族の咒術的儀式という。八咫烏陰陽道。
 カラス衆は神代から現代まで、いまだ時の権力者とともにある。
 いまだムーな話も続く。
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