62 シラフの泪・前篇

文字数 1,238文字



 出雲国は、別天ツ神(造化三神)で先代黄泉大神のカミムスヒさま、天ツ神(地母神)で当代黄泉大神のイザナミさま、元・天ツ神(三貴神)で次代黄泉大神のスサノヲさんに関わる。カミムスヒさまはキューピーちゃん(スクナヒコさん)の母神、店長の祖母神、出雲神(カムド族)の祖神。出雲大社の境外摂社、神魂伊能知奴志神社に祀る。別名は命主社。
 対比のように伊勢国は、タカムスヒ、イザナギ、高天原の日神に関わる。日の沈む出雲国と日の昇る伊勢国。

 出雲国と伊勢国は神剣に関わる。
 スサノヲさんは神逐で出雲国に降りる。
 八岐大蛇退治神話でスサノヲさんはムラクモの剣を手にいれる。高天原の日神に献じ、神剣となる。天孫降臨神話で天孫神ホノニニギが賜る。
 スサノヲさんの佩剣の、ハバキリの剣が毀れるほどの硬度な鉄剣。ハバキリの剣はカムド族が鍛えた銅剣。ムラクモの剣はオウ族が鍛えた鉄剣。
 オウ族の鍛冶技術を継ぎ、さらに硬度な鉄剣を鍛えるホヒ族。オウ族を遂いやり、カムド族を負かし、ムラクモの剣とともに出雲国の採鉄権、製鉄権、統治権を献じる。ムラクモの剣は出雲国のレガリア。
 天ツ神は葦原ノ中ツ国の統治権を献じるよう、国ツ神にムラクモの剣を翳し、謳う。出雲神は国を献じた、と。
 ムラクモの剣は葦原ノ中ツ国のレガリアとなる。

『剣璽を以ち国ツ大神と成る。神剣は行方不明だけどー、神璽は姫様が持ってるはず。持ってなければー、そこにあるはず。そーゆーわけ』

『わ、笑える。タカクラジは2振の神剣に、か、関わってる。神代(カムヨ)三剣の、1振はスサノヲの剣だ。ハバキリの剣。同じ社に奉じられてる。そして三剣はイセに、か、関わってる』



 斐伊川の支川・三刀屋川の川岸に、西の本陣の三刀屋(御門屋)神社が建つ。オオクニヌシさんが出雲国の国政を始めた地。カムド族の西域とオウ族の東域の境域。下り、斐伊川と合わさった地に斐伊神社が建つ。スサノヲさんが八岐大蛇を斬り倒し、ムラクモの剣を手に入れた地。カムド族とオウ族が話しあった地。なぜかイザナギがカガヒコを斬り殺したオハバリの剣の神様が祭神。もう、わけわかめ。

 三刀屋川を遡った地に出雲井神社が建つ。古の戦でワカフツヌシさんが降伏宣言を発した地。オオクニヌシさんの治めた出雲国が終わった地。じつは産屋の三刀屋神社と、殯屋の出雲井神社はちょっとだけど離れてる。
 カムド族とホヒ族が戦った地に久那子神社(久奈子神社/久奈爲神社)が建つ。美保神社から久那子神社までに万九千神社という、創祀創建不明のナゾの神社がある。前にニウヒメさんに聞いた神社だ。クエビコさんもわからないらしい。
「作者の都合かな」
「そ、そうだったら笑えない。イヅモのことは、わ、忘れたくない」
 クエビコさんの声が震える。目の処の[の]の字が滲む。泪目。
「きっと古の戦の後に建てた神社。ずっとクエビコさんは眠ってたから」
「ず、ずっとトミビコの社(大神神社)の留守神だった」
「そうだよ。きっと、そうだよ。……たぶん」
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