77 誘われない東山泉涌寺

文字数 779文字



 京都府京都市の東山泉涌寺。
 神宮親拝に、わりきれない明治天皇。明治政府にこそっと勅命。
 室町時代(南北朝時代)から安土桃山時代までの歴代天皇の葬儀を行い、鎌倉時代の86代後堀河天皇から江戸時代の121代孝明天皇までの歴代天皇の陵墓がある。のちに明治政府は天智天皇、49代光仁天皇からの歴代天皇皇后の尊牌を置く。北朝の天皇は含みながら、天武系皇統は排される。現代に継がれる天智系皇統の菩提寺。隠れ宗廟。

 神話で、天智天皇は病死、大友皇子は自死とある。神話を書かせたのは天武天皇。天武天皇の討死かもしれない。
 1870年、明治政府は大友皇子に39代弘文天皇の諡号を贈る。皇位を嗣いだかもしれない。神話も、史話も、勝者の、時の権力者の事情で書かれたり、書き換えたり、読み変えたり。

 天武系皇統は絶たれたけれど、血統は、じつは継がれてる。高市皇子の後裔の高階氏。6子の舎人皇子の後裔の清原氏。清少納言で有名。後裔氏族は生きてる。
 もしかしたら、……かもしれない。

「クエビコさん、もしかしたら天武系皇統は日神的神格から月神的神格へと変えられた、かもしれないね。内宮は、高天原の日神は、明治政府が動いて天智系皇統の皇祖神となった。明治政府は神話の上書保存を行った。わりきった昭和天皇は剣璽を伴って神宮親拝を行った」スマホを弄る。
「そ、そうだな。……ツクヨミ。も、もしかしたら、オレが動けたならば世の理(コトワリ)を変えられた、かもしれない。ツクヨミは戦わなくてすんだ、かもしれない。す、すまない」
「……クエビコさん。物干竿は必要」
「ツ、ツクヨミ。もしかしたら、オレが動けたならば、な、殴ってたかもしれない」
「動けなくてよかった」
「げ、現実は、史実と、事実と異なる。オレは動けない」
「きっと自走物干竿になれる。さきに思うことが大事。言挙げ。クエビコさんが教えてくれた」
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