第48話、張飛、酒に酔って曹豹を殴る
文字数 8,605文字
今、河南の地、南陽にあって、勢い日増しに盛大な袁術は、かつて、この地方に黄巾賊の大乱が蜂起した折の軍司令官、袁紹の弟にあたり、名門袁一族中では、最も豪放粗剛なので、閥族のうちでも恐れられていた。
「即時、城中の紫水閣へ、諸将に集まれと伝えろ」
袁術は気色を変えていた。
城内の武臣文官は、
「何事やらん?」と、ばかりに、蒼惶として、閣に詰め合った。
袁術は、曹操からきた書面を、一名の近習に読み上げさせた。
劉備玄徳、天子に奏し
年来の野望を遂げんと
南陽侵略の許しを朝に請う
君と予とは
また、年来の心友
何ぞ黙視し得ん
ひそかに、急を告ぐ
乞う
油断あるなかれ
と、次に袁術は声を大にし、面に朱をそそいで罵った。
「劉備とは何者だっ。つい数年前まで、履を編み蓆を売っていた匹夫ではないか。先頃、みだりに徐州を領して、ひそかに太守と名のり、諸侯と列を同じゅうするさえ奇怪至極と思うていたに、今また、身のほどもわきまえず、この南陽を攻めんと企ておるとか。――天下の見せしめに、すぐ兵を向けて踏みつぶしてしまえ」
令が下ると、
「行けや、徐州へ」と、十万余騎は、その日に南陽の地を立った。
大将は、紀霊将軍だった。
一方、南下して来た劉備の軍も、道を急いで来たので、両軍は臨淮郡の盱眙(安徽省・鳳陽県東方)というところで、果然、衝突した。
紀霊は、山東の人で、力衆にすぐれ、三尖の大刀をよく使うので勇名がある。
「匹夫劉備、なにとて、わが大国を侵すか。身のほどをわきまえよ」
「勅命、わが上にあり。汝ら好んで逆賊の名を求めるか」
と、劉備も云い返した。
紀霊の配下に荀正という部将がある。馬を駆って、躍り出し、
「汝ごときを、相手になされるわが君ではない。いざ来い」
荀正は、槍を振り回し、勇奮猛闘、汗みどろにかかった。
戦い戦い浅い河の中ほどまで二騎はもつれ合って来た。関羽は、面倒くさくなったように、
と獅子吼一番して、青龍刀を高く振りかぶると、ざぶんと、水しぶき血しぶき一つの中に、荀正を真二つに斬り捨てていた。
荀正を討った勢いで、劉備の軍は紀霊の軍を攻め立てた。
紀霊も追われて、南陽の全軍は潰走しだした。淮陰のあたりまで退いて、陣容を立て直したが、劉備あなどり難しと思ったか、それから矢戦にのみ日を送って、にわかに、押してくる様子も見えなかった。
と、張飛は張切って、日夜、望楼に立ち、家兄劉備の軍旅の苦労をしのんで、自分も軍衣を解いて牀に長々と寝るということもなかった。
「さすがは張将軍である」と、留守の将士も服していた。彼の一手一足に軍律は守られていた。
きょうも彼は、城内の防塁を見廻った。皆、よくやっている。城中でありながら士卒も部将も、野営同様に、土に臥し、粗食に甘んじている。
彼は、士卒の中を、賞め歩いていた。――が、その感賞を、張飛は、言葉だけで、世辞のように振りまいて歩いているのは、なんだか気がすまなかった。
「弓も弦を懸けたままにしておいては、ゆるんでしまう。たまには、弦をはずして、暢びるのもよいことだ。――その代り、いざとなったら直ぐピンと張れよ」
こういって、彼は、封印しておいた酒蔵から、大きな酒瓶を一箇、士卒に担わせて来て、大勢の真ん中へ置いた。
「さあ飲め、毎日、ご苦労であるぞ。――これは其方どもの忠勤に対する褒美だ。仲よく汲みわけて、今日は一献ずつ飲め」
「将軍、よろしいのですか」
部将は、怪しみ、かつ、おそれた。
「よいよい、おれが許すのだ。さあ卒ども、ここへ来て飲め」
もとより士卒たちは、雀躍してみなそこに集まった。――だが、それを眺めて、少しぼんやりしている張飛の顔を見ると、何か悪い気がして、
「将軍は、お飲りにならないのですか」と、訊ねた。
張飛は、首を振って、
と、立ち去った。
しかし、他の屯へ行くと、そこにも不眠不休の士卒が、大勢、城壁を守っているので、
また、酒蔵から運ばせた。
彼方の兵へも、此方の兵へも、張飛は、平等に飲ませてやりたくなった。酒蔵の番をしている役人は、
「もう十七瓶も出したから、これ以上はおひかえ下さい」と、扉に封をしてしまった。
城中は、酒のにおいと、士卒たちの歓声に賑わった。どこへ行ってもふんぷんと匂う。張飛は、身の置き所がなくなった。
「お一杯くらいはよいでしょう」
士卒のすすめたのを、つい手にして舌へ流しこむと、もうたまらなくなったものか、
「こらこらっ。その柄杓で、それがしにも一杯よこせ」
と、渇いている喉へ水でも流しこむように、がぶがぶ、立て続けに二、三杯飲んでしまった。
「なに、酒蔵役人がもう渡さんと。――ふ、ふ、不埓なことを申すやつだ。張飛の命令であるといって持ってこい。もし、嫌の応のといったら、一小隊で押しよせて、酒蔵を占領してしまえ。……あはははは」
幾つかの酒瓶を転がして、自分の肚も酒瓶のようになると、彼はしきりと、
「わははは。いや愉快愉快、誰か勇壮な歌でも唄え。其方どもがやったら俺もやるぞ」
酒蔵役人の注進で、曹豹が、びっくりして駆けつけて来た。見ればこの態たらくである。――唖然として呆れ顔していると、
「これ! 貴公はもう忘れていたのか。あれほど広言した誓約を」
「なに。馬鹿なとはなんだっ。この芋虫めッ」
いきなり酒柄杓で、曹豹の顔を撲りつけ、あッと驚くまに、足を上げて蹴倒した。
曹豹は、勃然と怒って、
「おのれ、なにとて我れを辱めるか。よくも衆の前で蹴ったな」
起き直って、つめ寄った。
張飛は、その顔へ、虹のような酒の息を吐きかけて、
「蹴倒したが悪いか。大将たる俺に向って、猪口才なことを申すからこらしめたまでだ」
とまた、鉄拳をふり上げて、曹豹の顔をはりとばした。
「わははははは、見ろ、見ろ、曹豹のやつが、俺に撲られた顔を抱えて逃げてゆく態を。ああ愉快、あいつの顔はきっと、樽のようにふくれあがって、今夜一晩じゅううなって寝るにちがいない」
ふらふらと近づき、張飛は、陳登の着物の帯を握った。
そのまま腰に乗せ、ぶわりと投げた。
陳登は地面を幾度か転がり、壁に当たって意識を失った。
他の兵を相手にも、角力を取ろうと云いだしたが、誰も寄りつかないので、
と、大手をひろげて、逃げ廻る兵を追いかけまわした。まるで、鬼と子供の遊戯の図でも見るようであった。
一方の曹豹は、熱をもった顔を抱えて、
と、顔のずきずき痛むたびに、張飛に対する恨みが骨髄にまで沁みてきた。
ふと、彼は怖ろしい一策を思いついた。早速、密書をしたためて、それを自分の小臣に持たせて、ひそかに、小沛の県城へ走らせた。
小沛までは、幾らの道のりもない。徒歩で走れば二刻、馬で飛ばせば一刻ともかからない。およそ四十五里(支那里)の距離であった。
ちょうど、呂布は眠りについたばかりのところだった。
そこへ腹心の陳宮が曹豹の小臣から事情を聞きとって、密書を手に、入って来た。
「将軍、お起きなさい。――将軍将軍、天来の吉報ですぞ」
「寝ている場合ではありません。蹶起すべき時です」
と、ようやく身を起して、曹豹の密書を見ると、いま徐州の城は張飛一人が守っているが、その張飛も今日はしたたかに酒に酔い、城兵もことごとく酔い乱れている。明日を待たず兵を催して、この授け物を受けに参られよ。曹豹、城内より門を開いて呼応仕らん――とある
「天の与えとはこのことです。将軍、すぐお支度なさい」
「待て待て。いぶかしいな。張飛はこの呂布を目の敵にしている漢だ。俺に対して油断するわけはないが」
「張飛の勇は恐るべきものだが、彼の持ち前の酒狂は、乗ずべき間隙です。こんな機会を逸したら、二度と、風雲に乗ずる時はありません」
「しかし、劉備を裏切るのはな、何かと世話になってるし」
「常のあなたにも似合わぬことを、今更そんなことを気にしてどうするんです。こんな機会をつかめぬ大将なら、私は涙をふるってあなたの側から去ります」
呂布もついに意を決した。
赤兎馬は、久しぶりに、鎧甲大剣の主人を乗せて、月下の四十五里を、尾をひいて奔った。
呂布につづいて、呂布が手飼いの兵およそ、八、九百人、馬やら徒歩やら、押っとる得物も思い思いに我れおくれじと徐州城へ向って馳けた。
「戦場の劉使君より火急の事あって、それがしへ使いを馳せ給う。その儀について、張将軍に計ることあり。ここを開けられよ」
と、打ち叩いた。
城門の兵は、楼からのぞいたが、なにやら様子がおかしいので、
「一応、張大将に伺ってみた上でお開け申す、しばらくそれにてお控えあれ」
と、答えておいて、五、六人の兵が、奥へ告げに行ったが、張飛の姿が見あたらない。
その間に、城中の一部から、思いもよらぬ喊の声が起った。曹豹が、裏切りをはじめたのである。
城門は、内部から開かれた。
とばかり呂布の勢は、潮のごとく入って来た。
張飛は、あれからもだいぶ飲んだとみえて、城郭の西園へ行って酔いつぶれ、折ふし夕方から宵月もすばらしく冴えていたので、
と、一言、独り語を空へ吐いたまま前後不覚に眠っていたのであった。
だから幾ら望楼の上だの、彼の牀のある閣などを兵が探しまわっても、姿が見えないはずだった。
そのうちに、
喊の声に、眼がさめた。――剣の音、戟のひびきに、愕然と突っ立ち上がった。
猛然と、彼は、城内の方へ馳けだして行った。
が、時すでに遅し――
城内は、上を下への混乱に陥っている。足につまずく死骸を見れば、みな城中の兵だった。
気がついて、馬にとび乗り、丈八の大矛をひッさげて広場へ出てみると、そこには曹豹に従う裏切者が呂布の軍勢と協力して、魔風の如く働いていた。
と、張飛は、血しおをかぶって、薙ぎまわったが、いかんせん、まだ酒が醒めきっていない。大地の兵が、天空に見えたり、天空の月が、三ツにも四ツにも見えたりする。
いわんや、総軍のまとまりはつかない。城兵は支離滅裂となった。討たれる者より、討たれぬ前に手をあげて敵へ降服してしまう者のほうが多かった。
「逃げ給え」
「ともあれ一時ここを遁れて――」と、張飛を取り囲んだ味方の部将十八騎が、無理やりに彼を混乱の中から退かせ、東門の一ヵ所をぶち破って、城外へ逃げ走って来た。
張飛は、喚いていた。
まだ酒の気が残っていて、夢でも見ているような心地がしているものとみえる。
すると、後ろから、
と、百余騎ばかりを従えて、追いかけて来る将があった。
前の恨みをそそがんと、腕ききの兵ばかりを選りすぐって、追いつつみに来た曹豹であった。
張飛は、引っ返すや否、酒の残る体で、その百余騎を枯葉のごとく蹴ちらして、逃げる曹豹を、真二つに斬りさげてしまった。
血は七尺も噴騰して月を黒い霧にかすめた。満身の汗となって、一斗の酒も発散してしまったであろう張飛は、ほっとわが姿を見まわして、
呂布は、呂布らしい爪牙をあらわした。猛獣はついに飼主の手を咬んだのである。
けれど彼は元来、深慮遠謀な計画のもとにそれをやり得るような悪人型ではない。猛獣の発作のごとく至って単純なのである。欲望を達した後は、ひそかに気の小さい良心にさえ咎められているふうさえ見える。
それかあらぬか、彼は、徐州城を占領すると、即日城門の往来や町の辻に、次のような高札など建てて、自身の心に言い訳をしていた。
公布
われ久しく劉備が恩遇を享く。今、かくのごとしといえども、忘恩無情の挙にあらず、城中の私闘を鎮め、利敵の徒を追い、征後の禍根を除きたるまでなり。
それ軍民ともに速やかに平日の務めに帰し、予が治下に安んぜよ。
と、兵士たちを戒めた。
後閣には、劉備の家族たちが住んでいた。しかし、落城と共に、召使いの婦女子を除いて、その余の主なる人々はみな逃げ落ちたことであろうと思っていたところ、意外にも、奥まったほの暗い一室に、どこか気品のある老母と若い美婦人と幼な児たちが、一かたまりになって、じっと、たたずんでいるのを見出した。
呂布は、すぐ察した。
ひとりは劉備の母。
その傍らにあるのは夫人。
手をひいている幼な児たちは劉備の子であろう。
老母は、なにもいわない。
夫人もうつろな眼をしている。
ただ、白い涙のすじが、その頬をながれていた。
「夫人。ご母堂。――安心するがよい。わしは御身らのごとき婦女子を殺すような無慈悲な者ではない。……それにしても、主君の家族らを捨てて、逃げ落ちた不忠な奴輩は、どの面さげて、劉備にまみえるつもりか、いかに狼狽したとはいえ、見さげ果てた者どもではある」
呂布は、傲然と、そう呟きながら、部将を呼んで、いいつけた。
「劉備の老母や妻子を、士卒百人で守らせておけ、みだりにこの室へ人を入れたりなどしてはならんぞ。また、護衛の者どもも、無慈悲なことのないようにいたせよ」
呂布はまた、そう云いわたしてから、夫人と老母の姿を見直した。こんどは安心しているかと思ったからである。
――が、劉備の母も、夫人の面も、石か珠のように、血の気もなく、また、何の表情も示さなかった。
涙のすじは、止めどなく、二つの面にながれている。そして物をいうことを忘れたように、唇をむすんでいた。
さて、劉備のほうでは、留守の徐州にそんな異変が起ったとは知るはずもなく、敵の紀霊を追って、その日、淮陰の河畔へ陣をすすめていた。
黄昏ごろ――
関羽は部下を従えて、一巡り前線の陣地を見廻って戻ってきた。
すると、歩哨の兵が、
「敵か」
「敵らしいぞ」と、野末のほうへ、小手をかざしてさわぎ合っている。
見ると、なるほど、舂きかけた曠野の果てから、夕陽を負ってとぼとぼとこっちへ向って来る一群れの人馬がある。
関羽も、いぶかしげに見まもっていたが、そのうちに、こちらからたしかめるべく馳けて行った兵が、
「張大将だ。張飛どのと、ほか十八騎の味方がやって来られるのだ」と、大声で伝えてきた。
関羽はいよいよ怪しんだ。ここへ来るわけのない彼が来たとすればこれは、――吉事でないに決っている。
顔を曇らして待っていた。
程なく、張飛と、十七、八騎の者は、落武者の姿もみじめに、それへ来て駒を下りた。
関羽は、彼の姿を見たとたんに、胸へずきと不吉な直感をうけた。いつもの張飛とは別人のようだからである。元気もない。ニコともしない。――あの豪放磊落な男がしおれ返って、自分の前に頭を下げているではないか。
「面目ない、生きてお身や家兄に合わせる顔もないんだが、……ともかく罪を謝すために、恥をしのんでこれまでやって来た。どうか、家兄に取次いでくれい」
と、力なく云った。
兎も角と、関羽は張飛をともなって劉備の幕舎へ来た。劉備も、
張飛は平蜘蛛のようにそれへ平伏して、徐州城を奪われた不始末を報告した。――あれほど誓った禁酒の約を破って、大酔したことも、正直に申し立てて面も上げず詫び入った。
「ぜひもない。だが母上はどうしたか。わが妻子は無事か。母や妻子さえ無事ならば、一城を失うも時、国を奪わるるも時、武運だにあらばまたわれにかえる時節もあろう」
張飛らしくもない蚊の啼くような声だ。彼は鼻をすすって泣きながら云った。
「愧死しても足りません。大酔していたため、ついその……後閣へ馳って、城外へお扶けするいとまもなく」
「では、ご母堂も、ご夫人も、お子様たちも、呂布の手にゆだねたまま、汝れひとり落ちてきたのかっ」
「ああっ、この俺はどうしてこんな愚物に生れてきたか、家兄おゆるし下さい。――関羽、嘲ってくれい」
張飛は、泣きながら、そう叫んで、二つ三つ自分の頭を自分の拳で撲りつけたが、それでもまだ「愚鈍なる我」に対して腹が癒えないとみえて、やにわに剣を抜いて、自ら自分の首を刎ね落そうとした。
突然、剣を抜いて、張飛が自刃しようとする様子に、劉備は、びっくりして、
と、叫んだ。
あっと、関羽は、張飛の剣を奪り上げて、
「武士の情けに、その剣で、この頭を刎ね落してくれ。なんの面目あって生きていられようか」
と、慟哭した。
劉備は、張飛のそばへ歩み寄って、病人をいたわるような言葉でいった。
「張飛よ。落着くがいい。いつまで返らぬ繰り言をいうのではない」
優しくいわれて、張飛はなおさら苦しげだった。むしろ笞で打ッて打ッて打ちすえてほしかった。
劉備は膝を折って彼の手を握り取り、しかと、手に力をこめて、
「古人のいった言葉に――兄弟ハ手足ノ如ク、妻子ハ衣服ノ如シ――とある。衣服はほころぶもこれを縫えばまだまとうに足る。けれど、手足はもしこれを断って五体から離したならいつの時かふたたび満足に一体となることができよう。――忘れたか張飛。われら三人は、桃園に義を結んで、兄弟の杯をかため、同年同日に生るるを求めず、同年同日に死なんと――誓い合った仲ではなかったか」
「われら兄弟三名は、みな至らない所のある人間だ。その欠点や不足をお互いに補い合ってこそ始めて真の手足であり一体の兄弟といえるのではないか。そちも神ではない。劉備も凡夫である。凡夫のわしが、何を以て、そちに神の如き万全を求めようか。――呂布のために、城を奪われたのもわしの不徳のいたすところでもある。またいかに呂布でも、なんの力もない我が母や妻子まで殺すような酷いこともまさか致しはすまい。そう嘆かずと、劉備と共に、この後とも計をめぐらして、我が力になってくれよ。……張飛、得心が参ったか」
張飛は、鼻柱から、ぽとぽとと涙を垂らして、いつまでも、大地に両手をついていた。
劉備のことばに、関羽も涙をながし、そのほかの将も、感に打たれぬはなかった。
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