第23話、呂布の裏切り
文字数 4,450文字
と、帳中へ迎え入れた。
李粛も、
と、外へ誘った。
呂布は、
と、陣中ながら酒宴をもうけて歓待に努める様子は、心の底からよろこんでいるふうだった。
酒、たけなわの頃を計って、
李粛がいうと、
李粛は一言のもとに、
聞きもあえず李粛は、たずさえてきた金銀珠玉をそれに取りだして、
と、李粛はすり寄りささやいた。
陣帳風暗く、夜は
丁原は、
と、振向いた。
血相の変った呂布が剣を抜いて突っ立っていた。
呂布は、躍りかかるや否や、一刀のもとに、丁原を斬り伏せ、その首を落した。
黒血は燈火を消し、夜は惨として暗澹であった。
呂布は、狂える如く、中軍に立って、
と、大呼して馳けた。
中軍は騒ぎ立った。去る者、従う者、混乱を極めたが、半ばは、ぜひなく呂布についてとどまった。
この騒ぎが揚ると、
と、李粛は手を打っていた。
やがて直ちに、呂布を伴い、
と、董卓のよろこびもまた、非常なものであった。
翌日、特に、呂布のために盛宴をひらいて、董卓自身が出迎えるというほどの歓待ぶりであった。
呂布は、贈られたところの赤兎馬にまたがって来たが、鞍をおりて、
と、
董卓もまた、
と、手をとって、酒宴の席へ迎え入れた。
呂布は、有頂天になった。
しかもまた、黄金の
呂布は、
董卓はもう怖ろしい者があるのを知らない。その威勢は、旭日のように
自分は、前将軍を領し、弟の
思うことができないことはない。
――が、まだ一つ、残っている問題がある。帝位の廃立である。李儒も特に反対はしなかった。
董卓は、省中に大饗宴を催して再び百官を一堂に招いた。
洛陽の都会人は、宴楽が好きである。わけて朝廷の百官は皆、舞楽をたしなみ、酒を愛し、長夜にわたるも辞さない酔客が多かった。
董卓は、大会場の空気を見まわして、そう察していた。
時分は好し――と、
彼は、卓から起って、一場の挨拶を試みた。
初めの演舌は、至極、主人側としてのお座なりなものであったから、人々はみな一斉に
董卓は、その沸騰ぶりを、自分への人気と見て、
「さて。――いつぞやは遂に諸公のご明判を仰いで議決するまでに至らなかったが、きょうはこの盛会と吉日を
と、現皇帝の廃位と陳留王の
熱湯が
「…………」
「…………」
誰も彼も、この重大問題となると
すると、一つの席から、
中軍の校尉
袁紹は、敢然、反対の口火を切っていった。
董卓は怒鳴った。
座席を振り返ってみても、みな目をそらすばかりで反応はなかった。
袁紹は、身をふるわせながら、席を蹴って飛び出した。
その夜のうち、彼は、官へ辞表を出して、遠く
剣をあげて、雷の如くいった。
並いる百官も、
董卓は、かくて、威圧的に百官に宣誓させて、また、
「ですが、元来、袁紹という人物は、思慮はあるようでも、決断のない男です。それに天下の大勢を知らず、ただ憤怒に駆られてこの席を出たものの、あれは一種の恐怖です。それよりもっか、足元を固めることが重要かと、袁紹は喰らわすに利をもってし、彼を一郡の太守に封じ、そっとしておくに限ります」
他の二人も、それに賛意を表した。
口々からでる
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