第2話3
文字数 1,194文字
調練場の模擬戦はまだ続いている。
派手に攻め立てているのは天色の機巧武者だ。有効打を与えようと右に左に薙刀を振り回す。
それを深藍は時に下がって、時に刀でいなしている。
ギリギリでそれができるのは相手の動きがよく見えているからだ。
この世界では機巧姫は限られた相手としか連れ合いになれない。
それにも拘らず関谷に侵入し暗躍していた
鍵となるのは日影が落としていった数珠のような道具だ。
質の良い勾玉の欠片で作られた数珠を身につけていればどんな機巧姫とも共感できるらしい。
それが事実なら人形作りが盛んな関谷は一気に戦力を増強することが可能になる。
本来は仕方がないで片付けられる問題ではない。
こんな状況を長く続けられないのは当然のことで、このままだと遠からず破綻するのは目に見えている。
だから無理が利いている間に事態を改善する必要があった。
澪が所有する水縹の君は勾玉に不具合があって動けないでいる。
茅葺さんの話によると、この修理は勾玉の専門家である
幸いなことに関谷には腕のいい須玉匠が住んでいる。
生憎と半月ほど出かけているという手紙が茅葺さんのところに届いていたけど、そろそろ戻っている頃合いだ。