第18話2
文字数 870文字
途端、周囲が暗くなった。
いきなり照明のスイッチを切ったみたいだ。
暗闇は人を不安にさせる。
時間が経てば経つほど焦燥は募り、精神を不安定にさせる。
視界が失われてからたいして時間は経っていなかったのだろう。
相変わらず空は厚い雲に覆われたままだ。
澪が指差す先に黒い山のようなものがある。
周囲を覆っていた暗闇――黒い霧が一所に集まって形を成したのか。
頭部は兜を被っているかのようだった。
両肩には大袖らしきものが下がり、体のラインに沿うような形状をした鎧で体を覆っている。
腰から太ももあたりを守る板状のものは草摺か。
そして左手に持っているのは巨大な弓だ。
巨大であるというのはそれだけで力を持つ。
対峙する者の心を折るには十分だ。
鎧武者の頭部がゆっくりと下を向き、僕らを視界に収める。
突然上がった叫び声。
槍を構えた翠寿が飛び出していた。