第24話2
文字数 1,275文字
葵を先頭に浜田屋を目指す。
代官屋敷を出た時には強かった雨と風が落ち着きつつあった。
目まぐるしく天候が変わる中、足を速める。ガシャガシャと鎧の立てる音が耳に煩い。
眉庇越しに見た空は墨色がかった
青鈍色は古くは喪服などの衣の色に使われた凶色だった。嫌な予感がする。
浜田屋が紅蓮の炎に包まれていた。
黒煙が雨に負けることなく吹き上がっている。
腕力のない翠寿に代わって男の体を抱き上げる。
血の気を失った顔は間違いなく三島さんの家来の一人、片寄さんだった。
体を起こそうとするけど、もうその力もないようだ。
見ると鎧の腹の辺りに穴が開いている。
地面には大量の血が流れていた。まるで燃え盛る炎の赤を照り返しているみたいだ。
思い切り濡れた地面を叩きつけると赤い飛沫が鎧を汚した。
なんであの時、ちゃんと二人を説得しなかったんだ!
きちんと話し合っていればこんなことにはならなかっただろうに!