第16話1 昔語り
文字数 919文字
「ある時、神石に目を付けた者がおった。そして水蛟の長に取引を持ち掛けたのだ。神石を譲ってもらえるのなら玉よりも美しく輝くものを差し上げるとな。煌びやかな宝石や大量の金銀が手に入り一族は大喜びしたらしいぞ。そうして多くの神石が島から持ち出され勾玉へと形を変えた。そしておそらくはその結果なのだろう――水蛟は力を失った」
「儂らが使える力などかつての水蛟にしてみれば児戯にも等しいものよ。水蛟はいつも玉と共にあった。儂が思うに玉は水蛟の能力を強化することができたのだろう。それがなくなったが故にかつてのような力を振るえなくなったのだと考えておる。いい神石もめっきり減った。小さな石しか掘れぬから、必然、勾玉も小さくなる。その小さな勾玉で作られたのが新式よ。儂も長いこと古式並みの勾玉は削っておらぬ。とはいえ儂は名人だからな。新式でも名姫と名高い
「