第15話3
文字数 1,127文字
布の上に置いた勾玉が囲炉裏の明かりを反射してチラチラと輝いているので手に取ってみる。
床に置かれたぐい呑みが空になっていることに気が付いた葵が火酒を注ぐ。
その様子をじっと十水さんは見つめていた。
膝立ちになった葵はしゅるりと音をさせて胸元を緩める。
豊かな胸が半分ほどまろび出て、揺らめく明かりに白く浮かび上がる。
その中央に葵色の勾玉が輝いていた。
「ウーム……驚いた。この儂が見ても流派がわからぬとは。しいて言えば西魚か。江口にも見えなくはないが。まァ、この形を源流として西魚や江口が生まれたのだと言われれば納得できるか。いいものを見せてもらった。感謝する」