第22話4
文字数 858文字
主のいなくなった代官屋敷はまるで火が消えたみたいに静かだ。
部屋の前に片膝をついた片寄さんと外山さんがいる。
自分たちだけでという気持ちはわからないでもない。
でも大切なのは三島さんたちを殺した者を確実に倒すことのはずだ。
仇討ちを手伝ってもらったとしても結果は同じ。その価値が減るわけでもないだろう。
面子とか体面とか矜持とかそういうものが大切だというのは理解できる。
それはゲームクリエイターとして僕だって持っているものだからだ。
ゲームを遊んでくれた人を楽しませる。そこにプライドを持って仕事をしてきた。
日本の歴史においても武士は名誉を殊の外、大切にしていた。
特に鎌倉時代の武士は名誉が傷つけられたとなれば相手の一族を討ち滅ぼすまで戦ってもいる。
戦国時代でも家名のために自らの命をなげうつ武士の話には枚挙に暇がない。