第25話1 炎の中の再会
文字数 714文字
「別に誰でもよかったんです。槍が使える体であればなんだって。この体は身長も筋力も足りませんが、それを補えるだけの技を逢初は持っています。ですがこの年頃の体も悪いことばかりではありません。相手が油断をしてくれますから仕事がやりやすいですし」
ああ、そうか。
三島さんたちを殺したのはこいつだったのか。
低い位置から放たれた腹部を貫く槍の一撃。
小柄な町娘が道端で倒れているなり、困っている様子ならば町の治安を預かる武士として声をかけずにはいられない。
いくら警戒していようとも槍の九十九ならば相手の懐に入った時点で勝負は決まっている。
だから三島さんたちは刀を抜くことすらなく殺されていたのか。
頭の中で線と線が繋がった。
十水さんが雷を落とした訪問者。そいつがあの夜、奥山田さんを襲ったのではないか。
それは当然、こいつの仲間だ。
勾玉を入手したその仲間は僕に成りすまして庵を訪れたのだ。
人形を集めていた奴らにとって勾玉状態とはいえ古式の機巧姫が手に入るのなら実行に移すだけの価値があったのだろう。