第1話1 模擬戦
文字数 816文字
八相の構えで高く掲げた刀身が銀色に輝く。
長い柄に反りのある刀身を取り付けた
三十二間の
胴鎧は前面と背面の二面を留める二枚胴。
胴からぶら下がる七間五段の
鋭い掛け声を一つかけて天色が大きく足を踏み込む。
相対する
空を切った薙刀の刀身はくるりと回って右中段でピタリと止まる。
天色が構えるのを確認してから、深藍は手にした反りの強い太刀を体ごと突き出す。
手首の動きだけで天色は刃を迎撃。
そのまま互いの右側をすれ違う。
一歩踏み込んでから深藍は横薙ぎを右後方へ向かって放つ。
天色は体を回転させながら右手一本で長い薙刀を振り回す。
間合いにいた深藍がわずかに頭を下げると、大きな水牛の角のような
すれ違うタイミングで深藍が刀を振れば模擬戦は終わっていた。
一歩踏み込んだせいで天色との距離が離れてしまったことを、深藍を操る
だからあの動きはわざとそうしたとみるべきだ。