第7話2
文字数 905文字
それでも見慣れない景色に興味はあるようで、キョロキョロと辺りを見渡している。
赤く色づいた海に島が浮かんでいる。
あれが水蛟たちの暮らす
浜辺に並ぶ小舟を横目に町へと向かうことにする。
五つの長い影が進行方向に伸びている。
海から吹き寄せる風を防ぐための松林を抜けていく。
見上げると黒い雲が空に広がりつつあった。
軽口をたたき合いながら道なりに進んでいく。
返事はない。
紅寿が僕を見つめて何か言いたげにしていたので、頷いて行動を促す。
頭巾を脱いだ紅寿は鼻をつまんだままぴたりと耳を扉に押し付けた。
しばらくそうしていたけど首を横に振る。