第23話4
文字数 751文字
懐から取り出したのはこの町の地図だった。
いくつかの場所に赤と黒でバツ印が追加されている。
赤いバツ印は北に二つ、南東に一つ、南に一つ、そこから少し北に二つ。
黒は二つあり、一つは北に、もう一つは南東についている。
思わず睨んでしまった自分に反省する。
地図と橋目さんを残していったのは彼らなりの誠意だったのかもしれない。
一刻も早く連れ戻さなければ。
蓑を身に着けた翠寿がぴょんと手を上げる。
二人は武器庫にあった短めの槍を手にしていた。
翠寿と同じく編み笠を被り、蓑を着た葵は腰に龍霞を差している。