第9話2
文字数 1,062文字
互いのぐい呑みを軽く掲げる。
まずは縁に唇を付けて湿らせるように口内へ火酒を迎え入れた。
口の中一杯に広がる香りと舌先を刺すような刺激。
鼻から息を吐くとより強く香りを感じることができた。
ゆっくりと飲み込むと喉が焼けるような感覚がある。
蒸留させてあるので、いつも飲んでいるお酒よりアルコール度数が高い。
ただしまだ若くトゲがある。
年を経た泡盛やウィスキーのような角の取れた丸さはない。
紅寿と翠寿は果実を絞った水を頼んでいた。
それを両手で持ってこくこく飲む。
ついつい飲み過ぎてへべれけになって家に戻ったことだってある。
呆れ返った妹が差し出した水を飲んで一息つくと、「お兄ちゃんお酒臭い!」と言われたものだ。
水だけどね。