第21話2
文字数 1,171文字
「柿田が殺されたこともあり、昨夜からは二人一組で見回りに出していました。ですが山綱と小丸が朝になっても戻らず……二人とも抵抗した様子もなく、腹を槍で一突きされていました。先にやられたのは小丸だと思われます。あの山綱が刀を抜いてすらいなかったのが解せませんが……」
三島様の家来は小者に至るまで戦闘能力のある者を揃えていた。
武士であった山綱さんは中でも一番の剣の使い手だったという話だ。
そんな人が戦うことなく殺されたのだから相手はかなりの手練れかあるいは――
「あくまで可能性の話です。それに顔を知っているのは身内に限りません。町での知り合いだったとも考えられますからね。何より夜の見回りですからいくら明かりを持っていたとしても人相の判別は付きにくいでしょう。背格好が似ている人が名前を騙ったりしたら瞬時に判断するのは難しいと思います」
「相手が九十九かどうかはともかく手突槍でしたか。そのような短い槍を持ち歩いている可能性は考慮しておくべきでしょう。早速、情報を共有しておきます。貴重なご意見をいただきました。入れ替わりで私も見回りに出ます。不吹殿たちはお休みください。それでは失礼いたします」
障子が閉まると沈黙が部屋を支配した。