第27話4
文字数 1,148文字
あの夜から二日が過ぎていた。
浜田屋の火は十水さんが〈
上空に巨大な水球ができたかと思うと、無造作に燃える建物に落とすという実に荒っぽい消火方法だった。
お陰で火事はおさまってくれたけど建物は跡形もなくなってしまった。
あれでは大雑把と言われても仕方がないだろう。
なお、宿屋の主人は魂が抜けた表情で残骸の前にしばらく立ち尽くしていたそうだ。
片寄さんと外山さんの遺体は回収して、三島さんたちと共に葬ることになった。
ただ一人残された橋目さんが彼らの菩提を弔っていくそうだ。
それから更に一日が経過した。
土を蹴り上げて馬が駆けてくる。
馬上にいるのは操心館の制服を着たほの香姫だ。
階段の前で馬から飛び降り、一段飛ばしで駆け上がってくる。
階段下を見ると数騎の騎馬が到着していた。
天色の君はほの香姫が乗ってきた馬の手綱を握って落ち着かせている。
当然、護衛役の筒針さんの姿もあった。