第5話2
文字数 1,071文字
なるべく大きなヘビの脱皮した皮が必要だという茅葺さんの依頼で山に入ったんだけど、眠っていた蛇の尻尾をうっかり澪が踏んでしまったからさあ大変。
鎌首を持ち上げた大蛇に睨みつけられた時は死を覚悟したほどだ。
幸いにもヘビが苦手とするにおいが強いものを葵が撒いてくれて事なきを得たけど、今後は無策で突っ込むのは控えようと心に誓ったものだ。
みんなの視線が葵に集まる。
心なしか葵はドヤ顔だった。
狼の姿になることができる人狼のように猿の姿になれる種族を
ましら、サトリとも呼ばれる彼らもまた人間ではない。八岐の一種族だ。
手先が器用で知恵に富み、身軽で木登りが上手い。
サトリといえば人の心を読む妖怪としても知られているし、
猿酒は木の窪みに果実などが落ちて自然発酵したお酒のことだ。
お酒に弱い澪は猿酒を飲んでベロベロに酔っぱらった。
再びみんなの視線が葵に集まる。葵は明らかにドヤ顔をしていた。
いやまあ、美人のドヤ顔っていうのも悪くないなあって思いますけどね?