第68話 銃撃
文字数 778文字
「さあ、君たちもまっすぐ歩きたまえ」
大佐もまた三人の後ろから銃を持って歩き出す。
双方がゆっくりと歩み寄っていく、息のつまるような時間。
そして唯音と三人の男たちがすぐ間近まで迫った、その刹那。
活動家たちにとって、意表を突いた出来事が起きた。
大佐が唯音の腕をつかんでいた男に拳を振り上げた。男は不意打ちをくらって唯音と銃の両方を離す羽目になる。
同時に、三人の男たちが目隠しをほどき、銃を抜いた。
「唯音、こちらへ!」
大佐が叫び、唯音に向かって腕を伸ばす。
何が起きたのか、混乱し、とまどう唯音に三人のうちの一人が叫ぶ。
「我々は活動家ではありません。貴堂大佐の部下です。あなたは早く逃げてください!」
言われるまま、唯音は反射的におじのそばへと走り寄った。銃を手に悠哉も駆け寄ってくる。
「この先に車が待たせてある。そこまで走るんだ!」
背後では撃ち合いが始まっていた。何発もの銃声が夜の静寂に反響する。
埠頭の入り口に止めた車まで、あと二、三十メートルほどだった。窓から大佐の部下が身を乗り出している。
もう少し、唯音が安堵まじりにそう思った時だった。
不意に倉庫の陰から人影が現れ、立ちはだかった。先回りした敵だった。
「汚い手を使いやがって!」
男が罵りながら銃口を向け、とっさに貴堂大佐も銃を構えた。
だが、まだ狙撃された傷が癒えず、片腕の不自由な大佐より相手の方が早かった。銃声が響き、大佐の体が崩れ落ちた。
唯音の悲鳴が深夜の埠頭に響き渡った。
「おじさま──!」
「大佐!」
さらに銃声が続き、悠哉の肩先を弾が貫通する。持っていた銃がはじけ飛び、悠哉は肩を押さえて地面に膝をついた。
「唯ちゃん、逃げろ!」
しかし唯音は金縛りにあったように、おじのそばから一歩も動けなかった。
身じろぎもせずにいる彼女に銃口が狙いを定め、引き金に指がかけられる。
大佐もまた三人の後ろから銃を持って歩き出す。
双方がゆっくりと歩み寄っていく、息のつまるような時間。
そして唯音と三人の男たちがすぐ間近まで迫った、その刹那。
活動家たちにとって、意表を突いた出来事が起きた。
大佐が唯音の腕をつかんでいた男に拳を振り上げた。男は不意打ちをくらって唯音と銃の両方を離す羽目になる。
同時に、三人の男たちが目隠しをほどき、銃を抜いた。
「唯音、こちらへ!」
大佐が叫び、唯音に向かって腕を伸ばす。
何が起きたのか、混乱し、とまどう唯音に三人のうちの一人が叫ぶ。
「我々は活動家ではありません。貴堂大佐の部下です。あなたは早く逃げてください!」
言われるまま、唯音は反射的におじのそばへと走り寄った。銃を手に悠哉も駆け寄ってくる。
「この先に車が待たせてある。そこまで走るんだ!」
背後では撃ち合いが始まっていた。何発もの銃声が夜の静寂に反響する。
埠頭の入り口に止めた車まで、あと二、三十メートルほどだった。窓から大佐の部下が身を乗り出している。
もう少し、唯音が安堵まじりにそう思った時だった。
不意に倉庫の陰から人影が現れ、立ちはだかった。先回りした敵だった。
「汚い手を使いやがって!」
男が罵りながら銃口を向け、とっさに貴堂大佐も銃を構えた。
だが、まだ狙撃された傷が癒えず、片腕の不自由な大佐より相手の方が早かった。銃声が響き、大佐の体が崩れ落ちた。
唯音の悲鳴が深夜の埠頭に響き渡った。
「おじさま──!」
「大佐!」
さらに銃声が続き、悠哉の肩先を弾が貫通する。持っていた銃がはじけ飛び、悠哉は肩を押さえて地面に膝をついた。
「唯ちゃん、逃げろ!」
しかし唯音は金縛りにあったように、おじのそばから一歩も動けなかった。
身じろぎもせずにいる彼女に銃口が狙いを定め、引き金に指がかけられる。