第54話 詰問
文字数 551文字
朦朧とした意識の中に、数人の男たちの話し声が流れ込んでくる。だが、低い早口でのやりとりは、何を話しているのか聞き取れない。
男たちの声をぼんやりと耳にしながら、唯音はうっすらと眼を開けた。
窓の高い、薄暗い部屋。硬いベッドに自分は寝かされていて、すぐそばにリュウの顔があった。背後には中国服を来た男たちが立っている。
「リュウ……」
まだはっきりしない頭で彼の名を呼び、ふうっと息をついた時。
突然、先刻の出来事が脳裏に甦った。
様子のおかしかった彼。公園を出たところに車が止まっていて、自分は拉致されたのだ。
とっさに身を起そうとして、唯音は顔をしかめた。
起こしかけた体を、再びどさりと横たえる。かがされた薬の後遺症だろうか、ひどい頭痛と吐き気がした。
「大丈夫か? 手荒な真似をしてすまなかった」
リュウが手を伸ばし、背中にふれようとする。が、唯音はそれを音を立てて払いのけた。
「さわらないで!」
唯音の瞳が彼を射る。
「なぜ、こんなことを……なぜなの!?」
返答は、無言。
「答えて、リュウ!」
激しく詰問する唯音に、周囲にたつ男たちが気色ばんだ。リュウを片手で彼らを制する仕草をすると、二人だけにしてくれないか、と告げた。
敵意に満ちた視線を唯音に向けながらも、黙ってうなずき、男たちが出ていく。
男たちの声をぼんやりと耳にしながら、唯音はうっすらと眼を開けた。
窓の高い、薄暗い部屋。硬いベッドに自分は寝かされていて、すぐそばにリュウの顔があった。背後には中国服を来た男たちが立っている。
「リュウ……」
まだはっきりしない頭で彼の名を呼び、ふうっと息をついた時。
突然、先刻の出来事が脳裏に甦った。
様子のおかしかった彼。公園を出たところに車が止まっていて、自分は拉致されたのだ。
とっさに身を起そうとして、唯音は顔をしかめた。
起こしかけた体を、再びどさりと横たえる。かがされた薬の後遺症だろうか、ひどい頭痛と吐き気がした。
「大丈夫か? 手荒な真似をしてすまなかった」
リュウが手を伸ばし、背中にふれようとする。が、唯音はそれを音を立てて払いのけた。
「さわらないで!」
唯音の瞳が彼を射る。
「なぜ、こんなことを……なぜなの!?」
返答は、無言。
「答えて、リュウ!」
激しく詰問する唯音に、周囲にたつ男たちが気色ばんだ。リュウを片手で彼らを制する仕草をすると、二人だけにしてくれないか、と告げた。
敵意に満ちた視線を唯音に向けながらも、黙ってうなずき、男たちが出ていく。