悪魔たちの休日(2)
文字数 1,648文字
「耀子。耀子は今でも悪魔やっているの?」
「まさか、もうお婆ちゃんよ。これじゃ悪魔じゃなくて山姥になっちゃうもの……」
「山姥か、それは言い過ぎ。せいぜい美魔女ってとこかな」
「な訳ないじゃん。早苗こそどうしたのよ? そんな格好して……。若い男の子でもナンパして、
「ははは。一応、これでも外交官夫人様だからね~。
「脱いだら凄いって?」
「そう、凄い中年太り……。って、そんなこと言わすな~」
「ギャハハハ……」
2人は女子高生の頃に戻った様に、人目も
「美魔女って言えば、
「
早苗は怪訝そうな表情を浮かべる。
そう言えば……、
妖狐である
「うん、何でもない。私の勘違い……」
「そういえば……。あ、いいや……」
「どうしたの?」
早苗は話し
「兄貴……、鉄男君はその後……、見つかったの?」
「あ、テツ? そうか、早苗ちゃんは知らないんだ。ご免、ご免。気使わせちゃったね。あの馬鹿は見つかったよ。それも、事もあろうか潜伏先で彼女をこしらえて、今では奥さんと娘の3人で、幸せに暮らしているよ」
「良かった……。彼とも逢いたいな。結構いい男だったし、彼女がいなければ、あたしが恋人に立候補しても良かったんだけどね」
「あんなのと付き合っていたら、外交官夫人なんて羨ましい身分にはなれないよ。
それに四六時中、あいつの浮気に悩まされるからね」
「ははは、耀子は相変わらず辛辣だなぁ。でも、浮気性はどっちかって云うと、耀子の方じゃないのかなぁ?」
そう言ってから、早苗は少し眉間に皺を寄せて首を傾けた。
「あれ? でも……、そう言えば、鉄男君って、誰と付き合ってたんだっけ?」
耀子は表情を硬くした。そして、少し間をおいてから、耀子は年のせいと悩んでいる早苗に言葉をかけた。
「早苗、私は早苗が私を覚えていてくれて本当に嬉しかった。早苗はどう?」
「え? そんなの決まっているじゃん」
「そうだよね。私たち中高の間、ずっと一緒だったものね」
「いろんなことがあったし、耀子とは、悪い思い出なんて殆ど無かったけど……。悪い思い出だって、悲しい出来事だって、私の大切な青春の1頁だぞ。そう簡単に忘れたくはないじゃん。
ま、年喰ってからのことは、結構よく忘れるんだけどね……」
「だよね……」
耀子はそう言うと、バッグから小さなお守り袋を取り出し、その中身を出した。それは枯葉の様な色をした小さな人型だった。
「う~ん。言った
早苗は耀子の取り出した物を見て、済まなそうに謝った。
「違う、違う。これは早苗との思い出の品じゃないよ。ハハハハハ……」
耀子は笑ってそれを窓の外に飛ばす。だがそれは、ゴミになったりもせず、幻の様に空気に溶けて消えて行った。
「何? 紛らわしいことして。今日は耀子の奢りね。お~し、あんみつ三杯は食べるぞ~! それも白玉つきで!!」
「いいわよ。でも、どう? いっその事、温泉にでも泊まりに行かない? 勿論、私の奢りで……」
「耀子ぉ。流石に突然の泊りがけは、あたしでも無理だよぉ」
「想像の世界でよ。実際は1分も経たないから大丈夫。安心して!」
「なら良いよ。でも、現実のあんみつの方も、ちゃんと奢って貰うからね」
耀子と早苗は、また笑いあった。