有希の冒険 模造品(2)
文字数 2,020文字
「有希ちゃん、あなたも知っている通り、私は一度闘い始めたら、相手に容赦しないことにしているの……。
この風花って子は、私のターゲットじゃないから、今なら助けてあげてもいいけど。闘いが始まったらもう遅いわよ。
お友達を止めてみる?」
だが、風花は、その耀子の台詞を馬鹿にした様に嘲笑い、取り合おうとしない。
「あら、随分な自信じゃない? 後でその台詞、後悔しないでね」
「風花! 冗談じゃないのよ!」
そう叫び、今にも乱入しそうな有希の肩を、
「有希ちゃん、風花は狐でなくとも、政木の娘なのよ。絶対負けることなど無いわ。万が一に負けることがあったとしても、死んでも譲れないプライドってものがあるのよ!」
「
有希がそれを言った瞬間だった。有希の目の前、彼女の頬を掠める様に、一発の光弾が斬り裂いていく。それは、宇宙人方の真ん中の戦士が撃ったものだ。
有希の頬の位置とは言い換えると
宇宙人の顔は、有希と
「オサキ村の棟梁…?!」
そう、その顔はオサキ村の棟梁のものだった。だが、
「違う……。あれは真久良さんじゃない。あれは……、父よ……」
だが、有希の言葉に、
こうして、風花と耀子の闘いは、有希の懸念を他所に遂に始まってしまう……。
不意を突いた風花の指鳴らしは、耀子の額に当たり、彼女の頭をジャブでも受けたかの様に頭を後方にスイングさせた。だが、彼女の攻撃はそれだけの結果でしかない。スイングも止まり、額に赤い痕を残した耀子は、表情が残忍なものに変わり、口角を上げゆっくりと笑みを浮かべる……。
「風花の指鳴らしでは、あの宇宙人を吹き飛ばすことは出来なかった……」
だが、風花はチャンスとばかりに、指を続けざまに鳴らす。しかしそれは、高速のサイドステップを踏む耀子に由って、全て
風花が、攻撃が命中しないことに不安を感じたその瞬間、耀子は逆襲を仕掛けた。
高速で風花に近づき、耀子は風花の右肩を右手の人差し指で突いたのである。
その指は、人間のものとは思えない程に長く、そして固く鋭く変わり、風花の右肩を刺し貫いていく。この攻撃で、風花は肩を痛め、唯一の攻撃手段である指鳴らしを封じられた。
耀子は指を元に戻すと、直ぐに右手を引き、その至近距離から右のボディブロウを叩き込む。質量を増加させた
その一撃は相当威力があったらしく、風花は体を前に折り曲げたまま、その動きを止めてしまう。
「うん、今ので、内臓の1つか2つは破裂しただろうな……」
耀子はそう言うと、今度は左のフックを風花の右顎に叩き込んだ。
風花は大きく吹き飛んで、腹を両手で押さえたまま地面に倒れ込む。これで風花は、体をくの字にしたまま、自らの力で起き上がることが出来なくなった。
耀子は風花の髪の毛を掴んで無理矢理引きずり起こすと、再びボディに左のレバーブロウを叩き込む。
耀子はゆっくりと風花のところへと歩いて行く。そして今度は、彼女の喉首を左手で掴み、頭上高く吊るし上げる。月宮盈、そして有希も得意とするワンハンドネックハンギングツリーだ。
高々と掲げあげられた風花は、少しの身動きも出来ず、狩られた獲物の様相を呈している。逆に耀子の姿は、猟師が狩り殺した獲物を誇らしげに自慢する姿そのものだった。
「風花と言ったな。どうだ気分は……?
さあ、これからお前の皮を剥いで、ジビエの獲物らしく下拵えしてやろう。ちょっとした解体ショーだ……。
そうだな、先ず右目から抉ってやろうか? それとも左目からがいいか?
何だ? 返事も無いのか? つまらん」
耀子は風花に反応が無いので、観客席の
「おい、