召喚されしもの(4)
文字数 1,772文字
萌香の姿の寧樹は、大悪魔女帝に『悪魔能力封じ』取得の由来を語り続ける……。
「修兄は成長すると、範囲を0に出来るようになった。それで、自分の能力が『悪魔能力封じ』であり、そのフィールドを拡大・縮小できることを知った。でも、修兄は、それを敢えて言い触らしはしなかった……。
特別な意味があった訳ではないわ。修兄はその時、両親を含め、人と付き合いを殆どしていなかったからよ。
叔母さんたちは、通常魔封環をしているでしょう? 特に敵意を持っていない修兄が、大悪魔能力を有効にしても、分からなかったみたいね。
それに気付いたのは、私の師匠の盈さんだった。偶然広がっていた修兄のフィールドに触れ、彼の能力を理解したのよ。
盈さんは、修兄にこう言ったそうよ。
『お前は大悪魔能力が無くても十分強い。 それに加え、その能力があれば、お前は誰にも負けない。有希以上の、最強の大悪魔になれる。修一、お前、その能力は絶対に人に教えるな。耀子や鉄にもだ!』
それで修兄は、誰にも自分の能力を話さなかったし、コピーもさせはしなかった……」
「もう! 修君。母親にまで内緒で……」
「今回、私がサーラに頼まれたのを聞いて、修兄は耀子叔母さんと戦うんじゃないかってこと予想したのね。私に秘密を打ち明けてくれて、自分の能力をコピーさせてくれたわ。叔母さんを止める様にって……」
「なんで母親に教えてないってのに、従姉妹にはコピーまでさせるのよ! 修君って本当、若い女の子には甘いんだから……。高校の時分からそうだったわ。あいつ、あん時も晶ちゃんにデレデレしちゃってて……」
話が変な方向にいきそうだったので、寧樹は話を闘いの方に戻すことにした。
「さぁ、攻撃魔法も、大悪魔能力もお互い封じられたわ。叔母さん、ギブアップするなら今の内よ!」
「有希ちゃん、馬鹿にするのも、いい加減にして欲しいわね!」
そう言って大悪魔女帝は、寧樹に軽快なステップで近づき、右の前廻し蹴りで彼女の側頭を狙った。寧樹は不意を突かれ、それを喰らってしまう。だが、ダメージは殆ど無い。続いて大悪魔女帝は、その場で垂直にジャンプし、踵落としで彼女の頭頂を狙う。だが、これも寧樹の右腕にブロックされ命中しなかった。
ここで、寧樹は、バランスを崩した大悪魔女帝に中段横蹴りを見舞う。これを空中で腹部に受けた大悪魔女帝は、大きく前方に吹き飛ばされた。そして、ころがりながら反対側の壁に激突してしまう。
「ご免ね、耀子叔母さん。単純な格闘では叔母さんに勝てないけど、私、『攻撃力強化』と『防御力強化』の魔法を自分に掛けまくってるのよ!」
確かに、大悪魔女帝の華麗な空中殺法は見るべきものがある。だが、重力操作などが使用できない大悪魔女帝の攻撃は相当に威力が低下していた。それでは防御力をアップしている寧樹には、ダメージを与えることなど出来はしない。
それに対し、寧樹の蹴りは甘いものであったが、攻撃力をアップしていた為に、それだけで大悪魔女帝は何メートルも蹴り飛ばされてしまったのである。
「叔母さんが『攻撃力強化』と『防御力強化』を掛けても、私より魔法力が劣るから、人間に毛が生えた様なもの……。でも、私にはそれとは別に、悪魔能力に影響されることのない異星人共生型強化人間が、直ぐ隣に控えているのよ……」
その言葉に、今まで隅で様子を見ていた小田原隊長が前に進み、萌香の脇に立つ。
「彼には既に『攻撃魔法避け』を掛けてあるわ。さ、チェックメイトね!」
寧樹の台詞に、大悪魔女帝はゆっくりと立ち上がってから彼女に言い返す。
「本当、あったま来るわね~! あなたやチョウ君もだけど、修君にもよ!! 有希ちゃんに若し格闘で負けたりしたら、素直に勝ちを譲ってあげる心算だったんだけど、そこまで言われると、私だって少しは意地悪したくなって来るわ……」
「まだ何か手があるって言うの?」
大悪魔女帝は、その場で呪文を唱える。魔法攻撃をしようとしている様だ。
「攻撃魔法は、私には効かないわよ!」
「違うわ。これは召喚魔法よ。有希ちゃんなら分かるでしょう? シタデルの外、深海にもう来ているわよ。それは……」
寧樹は、強烈な不快感に襲われた。それは寧樹が有希と名乗っていた時空で、以前に感じたことのある感覚だった。
「これは……、レビアタン……?!」
「修兄は成長すると、範囲を0に出来るようになった。それで、自分の能力が『悪魔能力封じ』であり、そのフィールドを拡大・縮小できることを知った。でも、修兄は、それを敢えて言い触らしはしなかった……。
特別な意味があった訳ではないわ。修兄はその時、両親を含め、人と付き合いを殆どしていなかったからよ。
叔母さんたちは、通常魔封環をしているでしょう? 特に敵意を持っていない修兄が、大悪魔能力を有効にしても、分からなかったみたいね。
それに気付いたのは、私の師匠の盈さんだった。偶然広がっていた修兄のフィールドに触れ、彼の能力を理解したのよ。
盈さんは、修兄にこう言ったそうよ。
『お前は大悪魔能力が無くても十分強い。 それに加え、その能力があれば、お前は誰にも負けない。有希以上の、最強の大悪魔になれる。修一、お前、その能力は絶対に人に教えるな。耀子や鉄にもだ!』
それで修兄は、誰にも自分の能力を話さなかったし、コピーもさせはしなかった……」
「もう! 修君。母親にまで内緒で……」
「今回、私がサーラに頼まれたのを聞いて、修兄は耀子叔母さんと戦うんじゃないかってこと予想したのね。私に秘密を打ち明けてくれて、自分の能力をコピーさせてくれたわ。叔母さんを止める様にって……」
「なんで母親に教えてないってのに、従姉妹にはコピーまでさせるのよ! 修君って本当、若い女の子には甘いんだから……。高校の時分からそうだったわ。あいつ、あん時も晶ちゃんにデレデレしちゃってて……」
話が変な方向にいきそうだったので、寧樹は話を闘いの方に戻すことにした。
「さぁ、攻撃魔法も、大悪魔能力もお互い封じられたわ。叔母さん、ギブアップするなら今の内よ!」
「有希ちゃん、馬鹿にするのも、いい加減にして欲しいわね!」
そう言って大悪魔女帝は、寧樹に軽快なステップで近づき、右の前廻し蹴りで彼女の側頭を狙った。寧樹は不意を突かれ、それを喰らってしまう。だが、ダメージは殆ど無い。続いて大悪魔女帝は、その場で垂直にジャンプし、踵落としで彼女の頭頂を狙う。だが、これも寧樹の右腕にブロックされ命中しなかった。
ここで、寧樹は、バランスを崩した大悪魔女帝に中段横蹴りを見舞う。これを空中で腹部に受けた大悪魔女帝は、大きく前方に吹き飛ばされた。そして、ころがりながら反対側の壁に激突してしまう。
「ご免ね、耀子叔母さん。単純な格闘では叔母さんに勝てないけど、私、『攻撃力強化』と『防御力強化』の魔法を自分に掛けまくってるのよ!」
確かに、大悪魔女帝の華麗な空中殺法は見るべきものがある。だが、重力操作などが使用できない大悪魔女帝の攻撃は相当に威力が低下していた。それでは防御力をアップしている寧樹には、ダメージを与えることなど出来はしない。
それに対し、寧樹の蹴りは甘いものであったが、攻撃力をアップしていた為に、それだけで大悪魔女帝は何メートルも蹴り飛ばされてしまったのである。
「叔母さんが『攻撃力強化』と『防御力強化』を掛けても、私より魔法力が劣るから、人間に毛が生えた様なもの……。でも、私にはそれとは別に、悪魔能力に影響されることのない異星人共生型強化人間が、直ぐ隣に控えているのよ……」
その言葉に、今まで隅で様子を見ていた小田原隊長が前に進み、萌香の脇に立つ。
「彼には既に『攻撃魔法避け』を掛けてあるわ。さ、チェックメイトね!」
寧樹の台詞に、大悪魔女帝はゆっくりと立ち上がってから彼女に言い返す。
「本当、あったま来るわね~! あなたやチョウ君もだけど、修君にもよ!! 有希ちゃんに若し格闘で負けたりしたら、素直に勝ちを譲ってあげる心算だったんだけど、そこまで言われると、私だって少しは意地悪したくなって来るわ……」
「まだ何か手があるって言うの?」
大悪魔女帝は、その場で呪文を唱える。魔法攻撃をしようとしている様だ。
「攻撃魔法は、私には効かないわよ!」
「違うわ。これは召喚魔法よ。有希ちゃんなら分かるでしょう? シタデルの外、深海にもう来ているわよ。それは……」
寧樹は、強烈な不快感に襲われた。それは寧樹が有希と名乗っていた時空で、以前に感じたことのある感覚だった。
「これは……、レビアタン……?!」