仮面舞踏会の終わり(6)
文字数 1,619文字
萌香は、寧樹が最初からこの展開を予知していたのでは無いかと思ってしまう。だが、実際は彼女も、この応接室に入ってから考え出したことなのだ。
「1人目のゲストがいらしたわ」
応接室に慌てて駆けこんで来たのは、なんと萌香の実父、入生田重雄であった。
「お父様……」
応接室にいた面々も、驚いて言葉を失っていたが、当の重雄も想定外の風景に呆然とするしかなかった。
「紹介しましょう。萌香のご尊父、入生田重雄氏です。彼には『ご息女の正体がばれてしまい、異星人解放戦線に捕まってしまった』と偽りを伝え、ここに来て貰いました」
「貴様ら、騙したな!!」
あまりの人物の登場に我を忘れてしまった萌香であったが、少し気になることが寧樹の説明にあり、ふと我に返った。
「ちょっと待って! 寧樹、私の正体は、お父様はご存知ない筈ですわ。それなのに、どうして、正体がばれたと言われ、お父様が慌ててここに来たと云うのですか?」
「違うわよ、お嬢様ってのは萌香のことじゃないの……。異星人討伐隊には、重雄氏のお嬢様が2人いらっしゃるのよ……」
それを聞いた板橋隊員が、少し態とらしい高笑いを上げた。
「知っていたのに黙っていたの? 本当に性格が悪いわねぇ……」
「そうねぇ……、ついでに紹介しておきましょうか? 重雄氏の長女、板橋羽根子さん。彼女は、異星人解放戦線の疑いがある小田原隊長を監視させる目的で、異星人討伐隊に潜入していたの。重雄氏の命令で……」
それには湯本隊員が質問を加える。
「でも、なんで実の娘をスパイなんかに使うんだ? それに異星人解放戦線の疑いって何のことだ?」
「それは私自身が説明しましょうか?」
板橋隊員が説明を買ってでる。
「私は萌香さん違って妾腹、入生田に認知されていない身なのよ。そうは言っても、入生田重国は簡単に認知などしてくれないでしょう? 父がそんなこと言い出したら、父の方が勘当されてしまいますもの……。それで異星人解放戦線の幹部の尻尾を掴んで、重国氏に私の存在を認めさせようって考えた訳なのよ……。で、小田原隊長、隊長は本当に、異星人解放戦線の幹部だったの?」
「ああ、そうだ。私の本当の名前は鈴木挑。間違いなく異星人解放戦線の幹部さ!」
小田原隊長のカミングアウトに、板橋隊員がまた態とらしく高笑いをする。
「これは、これは。隊長は本当に、人類の裏切り者、異星人の味方だったんだ……」
それに少しムッとしたのか、風祭隊員も声を荒らげて正体を現した。
「俺も異星人解放戦線だぜ。俺の本名は天空橋架。挑の兄貴の義理の弟だ!」
だが、その険悪な雰囲気を押し留めたのは、萌香の身体を借りた寧樹だった。
「少しお待ち頂けますか? 2人目のお客様が、ドアの外で聞き耳を立てて、ずっとお待ちの様ですので……」
寧樹の言葉に、全員の視線が入口のドアに集まる。
「お入り頂けますか? 宮城野さん」
そう言われて入って来たのは、間違いなく入生田家の運転手である宮城野だった。
「こちらは、入生田家で主に萌香の送り迎えを担当されている運転手、宮城野さんです。勿論、只の運転手ではありません。彼は異星人解放戦線の一員で、解放戦線の命で重国氏の調査と萌香の護衛をなされておりました」
宮城野は頭を掻きながら照れ笑いをする。
「宮城野さん……、あなた……」
「お嬢様、騙していて申し訳ない。と言っても、お嬢様はご存知だったって事ですね」
「いいえ。でも、宮城野さんがわたくしを護って下さっていたのは、ずっと知っていました。ですから、騙されたなどとは少しも思っておりませんわ」
そして、萌香の口から、そのまま寧樹の言葉が続けられる。
「役者が揃ったようですので、そろそろ、この仮面舞踏会のカーテンコールを始めましょうか……。じゃぁ、先ず萌香から。あなたの言葉で、私に憑依された経緯、私が見せた未来、そして。叔母さんから提示されたゲーム……、これらについて、皆様に説明をしてくれないかしら?」
「1人目のゲストがいらしたわ」
応接室に慌てて駆けこんで来たのは、なんと萌香の実父、入生田重雄であった。
「お父様……」
応接室にいた面々も、驚いて言葉を失っていたが、当の重雄も想定外の風景に呆然とするしかなかった。
「紹介しましょう。萌香のご尊父、入生田重雄氏です。彼には『ご息女の正体がばれてしまい、異星人解放戦線に捕まってしまった』と偽りを伝え、ここに来て貰いました」
「貴様ら、騙したな!!」
あまりの人物の登場に我を忘れてしまった萌香であったが、少し気になることが寧樹の説明にあり、ふと我に返った。
「ちょっと待って! 寧樹、私の正体は、お父様はご存知ない筈ですわ。それなのに、どうして、正体がばれたと言われ、お父様が慌ててここに来たと云うのですか?」
「違うわよ、お嬢様ってのは萌香のことじゃないの……。異星人討伐隊には、重雄氏のお嬢様が2人いらっしゃるのよ……」
それを聞いた板橋隊員が、少し態とらしい高笑いを上げた。
「知っていたのに黙っていたの? 本当に性格が悪いわねぇ……」
「そうねぇ……、ついでに紹介しておきましょうか? 重雄氏の長女、板橋羽根子さん。彼女は、異星人解放戦線の疑いがある小田原隊長を監視させる目的で、異星人討伐隊に潜入していたの。重雄氏の命令で……」
それには湯本隊員が質問を加える。
「でも、なんで実の娘をスパイなんかに使うんだ? それに異星人解放戦線の疑いって何のことだ?」
「それは私自身が説明しましょうか?」
板橋隊員が説明を買ってでる。
「私は萌香さん違って妾腹、入生田に認知されていない身なのよ。そうは言っても、入生田重国は簡単に認知などしてくれないでしょう? 父がそんなこと言い出したら、父の方が勘当されてしまいますもの……。それで異星人解放戦線の幹部の尻尾を掴んで、重国氏に私の存在を認めさせようって考えた訳なのよ……。で、小田原隊長、隊長は本当に、異星人解放戦線の幹部だったの?」
「ああ、そうだ。私の本当の名前は鈴木挑。間違いなく異星人解放戦線の幹部さ!」
小田原隊長のカミングアウトに、板橋隊員がまた態とらしく高笑いをする。
「これは、これは。隊長は本当に、人類の裏切り者、異星人の味方だったんだ……」
それに少しムッとしたのか、風祭隊員も声を荒らげて正体を現した。
「俺も異星人解放戦線だぜ。俺の本名は天空橋架。挑の兄貴の義理の弟だ!」
だが、その険悪な雰囲気を押し留めたのは、萌香の身体を借りた寧樹だった。
「少しお待ち頂けますか? 2人目のお客様が、ドアの外で聞き耳を立てて、ずっとお待ちの様ですので……」
寧樹の言葉に、全員の視線が入口のドアに集まる。
「お入り頂けますか? 宮城野さん」
そう言われて入って来たのは、間違いなく入生田家の運転手である宮城野だった。
「こちらは、入生田家で主に萌香の送り迎えを担当されている運転手、宮城野さんです。勿論、只の運転手ではありません。彼は異星人解放戦線の一員で、解放戦線の命で重国氏の調査と萌香の護衛をなされておりました」
宮城野は頭を掻きながら照れ笑いをする。
「宮城野さん……、あなた……」
「お嬢様、騙していて申し訳ない。と言っても、お嬢様はご存知だったって事ですね」
「いいえ。でも、宮城野さんがわたくしを護って下さっていたのは、ずっと知っていました。ですから、騙されたなどとは少しも思っておりませんわ」
そして、萌香の口から、そのまま寧樹の言葉が続けられる。
「役者が揃ったようですので、そろそろ、この仮面舞踏会のカーテンコールを始めましょうか……。じゃぁ、先ず萌香から。あなたの言葉で、私に憑依された経緯、私が見せた未来、そして。叔母さんから提示されたゲーム……、これらについて、皆様に説明をしてくれないかしら?」